14話目:神技について
「ふう、風が気持ちいいな…。」
草原のちょっと盛りあがった丘の上で、僕は今休憩をしている。出掛けに買ってきた昼飯用のパンを食べつつ、草原の向こうを見渡していた。さすがに果物ばかりでは飽きてしまうから、たまにはこういうのもいいもんだね。来る時はずっと果物しか食べてなかったから、宿屋の飯もうまかったなぁ。
さて、今後この世界でやってく上でいろいろと調べないといけないことは意外と山積みだ。
一般常識とかは一通り習ったが、いまだにわからないのが特技についてだ。特技はたくさんあり、たいていの人が身につけることができると昨日ギルドで聞いた。だが、奥技や神技に関しては、取得者が極端に少なく、また持っていても他人には口外しないのでその内容もわからないのだそうだ。
なので、僕は不用意に取ってしまった奥技と戦闘では役立たずの神技について、調べていく必要があった。さいわい、依頼の薬草はすぐにみつかり、わざわざ神技をつかう必要もなかったので、そのぶん今から実験で使う魔力が温存されたので良かった。
「さて、さっそくやってみるかな。」
まずは、一番気になっていた薬草を召喚してみた。もちろん何の苦もなく召喚できた。まあ、これは確認のひとつだ。実際他の物では何度もやっているので、念のためである。
それからもうひとつ、図鑑で見た【エリキシルの葉】を召喚!
しかし、これは召喚できなかった。
こっちの図鑑はすべて手書きで、見たのも教会であった数冊だけだが、その中に描いてあった植物はどれも召喚できなかった。ちなみに、日本で図鑑でしか見たことのない【ドリアン】とか【ラフレシア】とかも同様に召喚できなかった。
これは、一度でも現物を見る必要があるということだろう。かなり重要なことだった。つまり、なんの当てもなく【エリキシルの葉】の採取依頼を受けても達成できない可能性があるということだ。
ということは、想像での召喚もできないってことだ。こんなことなら、植物園とかまわっておけばよかったな…。まあ、こんなことになるなんて思ってもみなかったから、しかたないのだが。
それに、一人で植物園とかいってもつまらないしね。友達とでもいければよかったのだろうけど…。そこは、聞かないでね…。
しかし、望みはある。神技の横にはLVがあったから、もしかしたらLVUPに伴って、できる様になるかもしれない。なるべく早く上げたいものだ。
それから、もうひとつわかったことがある。それは、出てきた果物の熟度が変えられるということだ。といっても、これも一度見る必要があるみたいで、例えば【みかん】を出した時のことだが、熟す前の青いみかんや熟した後の黄色いみかんなど、その時々の熟度のみかんを召喚できた。
これはつまり、乾燥した植物が必要な場合は、いちいち乾燥させずとも、現物さえ見ればすぐに乾燥物を出せるということだ。
なので、試しに【乾燥わかめ】を出してみたのだが、ほんとに乾燥した状態ででてきた。ちなみに、乾燥してない【生わかめ】も、もちろん出せた。この力を使えば、あっちの料理の再現もできそうだ。料理をする者にとっては、とてもうれしい技でもある。あいかわらず、戦闘には役にたたないが…。
今度の特技は【料理】でもとってみようかな?
そうしていろいろ実験を重ねていると、匂いにつられたのか、4足歩行の獣なお客さんが遠くの丘に見えたのだった。




