11話目:今度こそ旅立ち
実は、考えも無しに【魔法の袋】を買ったのではない。もちろん、物を軽く持ち運べるのだから、この後の旅が楽になるのはもちろんなのだが、それよりも大きな問題が俺にはないことに気付いたからだ。
それは、人が生きてくための食糧や水だ。
以前の話だが、街の食糧市場を見て回っていた時に、なにげなく考えたことがあった。
俺の神技【全花召喚】で、果物や野菜をだせないかと…。で、実際やってみると、
「できた!?」
しかも、意外と簡単にできた。神技は自分の魔力を使うと習ったが、疲れることなくできた。魔力とは自分の潜在的な力らしく、この世界の住人なら誰でも持っているらしい。ただ、その力を顕現させるのは難しいことなのだが…。
そして、魔力を使えばもちろん疲れる。体力がなくなると身体が疲れるのと似たようなもので、魔力がなくなると精神的に疲れるのだ。精神的にとは、ようは何もしたくないといった、やる気がなくなるというものだ。
そんなのがバトル中にあろうもんなら、たちまち全滅の危機だろう。なので魔力を使う人間は自分の限界を把握しておかなければならないのだ。
とにかく、1個2個くらいなら全然問題なしということだ。どこまでできるかは後々検証が必要だろうが、今はとりあえず、市場の果物や野菜の種類と効果などを聞き込み覚えていかなくては。
僕は、出した果物をかじりながら必死に勉強したのだった。
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というのが、旅に出る前に分かっていた話だ。
なので、今では市場で見た種類のものなら何でも出せるようになっていた。召喚できる数もざっと数えたところ、100くらいまでなら問題なかった。もちろん大きさや形も影響するのだが…。
あと、元の世界の物だと、さらに魔力を取られてしまう。なので、この世界の物を覚えるのは必要なことだった。
それから、もう一つの水についてだが、これもこっちの果実で【水桃】という果物があり、中を割ると水が出てくるという果物だった。あちらの桃くらいの大きさなのだが、なぜか不思議なことに、水の量がバケツ一杯分くらい出てくるのだ。しかも、無味無臭という、夢の果物なのだ。なので、冒険者たちは必ずこの果物を買い、旅に備えるそうなのだ。
そんなわけで、おれの神技を使えば、確実に生きてはいけるということなのだ。何気に、戦い以外ではチート能力だったのかも…。
しかし、ここでひとつ問題がある。じつはそれほど問題ではないのだが、要は自分が異世界人で、意外と味にうるさかったりなかったり。
つまり何が言いたいかというと、果物ばかりだと飽きてしまうということだ。ほかにもサラダだけでも飽きてしまう。
ちゃんとした料理が食べたいのだが、冒険中にそれは難しいということなのだ。そこでその問題を解決するのが【魔法の袋】ということなのだ。
これを使えば、肉などの食材もさることながら、調理器具とかも持ち運び自由なのだ。鍋とかフライパンとかそんなの持ちながら冒険なんてできないっしょ。料理自体は実家でやっていたから、これで、快適冒険ライフができるよ。
その後、準備を終えた僕は、近くの街を目指すことにした。いつまでもここに滞在していてもいいことはないだろうから…。
とりあえずは、外に出て街道沿いに隣街に行くことにした。
街道沿いは、定期的に城の討伐隊が魔物を退治しているので、比較的安全に歩けるらしいので、僕は安全に旅を始めたのだった。




