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ブラシック  作者: 簿沌論
7/8

部員

 俺達は部室についた。

「ようし! それじゃあ自己紹介を始める!」

翔兄しょうにいが一番奥の席に座って言う。

奥の席というのは何ていうか、小学校の時の給食の時間に机をくっつけただろう。そんな感じに並べられた机の一番奥ということだ。

「じゃあ奏君、京也君、座ってもらえるかな。」

愛海まなみ先輩が一番入り口方向の椅子を出して言った。とりあえず、それに従って俺達は座る。

すると、翔兄がおもむろに立ち上がった。

「俺がこの部の部長をしている園峰翔そのみねしょうだ! 身長は191,2センチ、体重は82,3キロ、好きな食べ物はバ・・・。」

「部長! 簡潔にお願いします!」

愛海先輩が言う。

「ん? あぁ、すまん。楽器はピアノ、キーボードを担当している。ちなみにピアノと出会ったのは・・・。」

「次はあたしの番だね!」

翔兄の言葉をに割り込んできた。

愛海先輩は翔兄の右斜め前に座っている。

「あたしは3年の西野愛海にしのまなみ! 担当はパーカッションだよ! でも大体ドラムかな。」

愛海先輩はドラムだったか。どう考えても翔兄のが似合ってるのになぁ。

「さぁ次は芽衣ちゃんの番だよ!」

そういって愛海先輩の対向席のショートカットの小さな女の子を指さした。

部室に向かっている時から気になっていたが、やっぱり部員だったのか、何年だろう、もしかして新入生だろうか。

小見島芽衣こみじまめい。パートはチューバ。」

そういうと不機嫌そうにそっぽを向いた。かと思うと、

「翔、何でこんな金髪ともやししかいないわけ? 意味わかんないんだけど。」

一瞬何を言ってるかわからなかったが、それが俺達に言ってるものだとわかった。

「芽衣、そういう言い方はよくないぞ! たしかに金髪ともやしだが、だからといって非難していいわけじゃない。」

翔兄は大事なとこを完全に無視している。

なんだと? この俺をもやし呼ばわりしやがったのかこのちびは。ていうか、なんで翔兄にタメ語聞いてんだよ。

不思議に思い靴を見てみる。

「え? 3年?」

おもわず声に出る。

「は? 今なんつった、もやし。」

カチーン、さすがにむかつく。

「いやぁ、あまりに身長が低すぎるんで新入生かなぁ、と思ったんですけど僕の間違いみたいでした。」

嫌味100%で言ってやる。

「おい、さすがに失礼だろ。」

横で京也があせっている。

「向こうからけんか売ってきたんじゃねえか。」

そうだ、俺は悪くないぞ。

「一年の分際で舐めた口きいてくれるじゃない。」

うっ、さすがに言いすぎたのか、芽衣先輩はすごいオーラで包まれていた。

「め、芽衣ちゃん、どうどう。」

愛海先輩が猛獣を扱うようにしてなだめる。

「謝っといた方がいいんじゃねえか?」

京也が俺にささやく。何か俺もその方がいい気がしてきたぞ。

「すいません、ちょっと言いすぎました。」

誠意をこめて謝った。

「ほら、芽衣ちゃんも謝って!」

愛海先輩がうながす。

「ごめん。」

全然気持ちが込められていなかった。が、いちいち言ってたら話が進まないのでやめておこう。

「次はちーちゃん! どうぞ!」

そういって愛海先輩は俺の目の前の子を叩く。

ちなみにこの人も芽衣先輩と同じく、初めて見る顔である。すごく長い髪の毛、特に前髪が印象的だ。

「か、かげや・・・えです・・・。」

ん? 全然聞き取れなかったぞ。

「もっとはっきり言わんか、影山かげやま。」

翔兄が言うと、その人はもう一度名乗った。

「か、影山智慧かげやまちえ、です。パートは、えっと、サックスです。」

ははぁ、智慧先輩はシャイなんだな。やっとこの部にまともな人を見つけることができたぞ。

さりげなく俺は喜んでいた。

「そういう訳で、自己紹介を終わりにする! あんまり遊んでいる時間はないんでな! なぜなら、来月の体育祭で演奏する事になったからだ!!」

翔兄は、はっはっはと笑い出した。

え、来月本番ってそれ本気で言ってるのか? 俺、今日初めて楽器に触れたんだかいけるのか?

「じゃあ奏君と京也君は、芽衣ちゃんと一緒に練習してくれるかな。」

愛海先輩が言う。

「は? なんで私がこいつらと練習しなきゃいけないわけ?」

芽衣先輩は猛抗議にでる。俺だってこの人とやるのは難しい気がするよ。

「何でって、金管どうしじゃん。という訳で頑張ってね~。」

そういって愛海先輩はどこかに行ってしまった。

「ちっ、仕方ないわ。とりあえず待っててちょうだい。」

そういうとやたらでかいケースのもとに行ってしまった。

「初めての練習があの人とって、大丈夫かなぁ?」

京也が心配そうにしている。ほんとに見かけによらなすぎるだろ。どんだけ気が小さいんだよ。職員室で暴言はいてたのは何だったんだ?

そんな事を思いながら、内心俺も心配でしかたなかった。

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