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ツブヤキ
別れの時が確実に近づいている。
見えないけれど。私の体内で時計が刻一刻。
止まってくれない。
「悲しいの?」
困った顔して笑う。
まったく、聞くまでもない。
「今生の別れ話?」
んなわけないでしょうが。五月蝿い、
黙ってよ。頼むから。
笑うなら死んで。
同情するなら滅びて頂戴。
遠くで泣いてくれるなら
こっちに来て。
力の限り抱きしめてよ。鋭い痛み、残してよ。
傷つくのはとても怖い。
けど一人はもっともっと怖くて。
呼ばれなくなった私の名は、きっと泡沫。
風と共に去っていく。