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クロシロ
痛いのと、悲しいのと。
薄墨の空 湿った空気が
僕の頭を俯かせています。
後ろめたいことは無かった筈なのに
どうして僕は唇噛むの。
指の皮、引き裂いて
流れるシズクを見つめる無感動。
痛い、痛い。
感覚神経がそう言って泣くけれど。
ここんとこ、どうにも刺激に鈍いみたいだ。
悲しむべき場面からだいぶ遅れて涙は零れる。
夢の中で笑ったあの人たちの
顔も思い出せぬまま
行き先は何処かと、
愛してくれないかと、
震えながらでも口にすればよかった。
今がとても辛いのは、
だって、
そのせいでしょ。