恋文
さよなら
と
はじめまして
別れ
と
出会い
どこか虚しいこの季節。
いつだったか
私はある男の子をすきになったことがある。
甘く、淡く
始まりも終わりもわからないもので
恋だったのか、と聞かれると少し自信がない。
ラムネソーダの瓶に
ころんと入っている透明なビー玉と同じ輝きを持つその記憶は、
年を重ねれば重ねるほど
美しさを増してゆく。
素敵な物語の1ページ。
繰り返し想い浮かべ、
現実に打ち消される。
でも消えない。
消えて欲しくないから。
記憶を廻る旅に出掛けると、いつも出会うのは
ほろ苦く、それでいて哀しい思い出のカケラ。
楽しい光のものばかりじゃない。
これも消えない。
本当は消えて欲しくないから。
今の自分はどうしてこうなったのかな。
旅の途中、草原に足を放り出して考える。
人と触れ合うことの演技。男子への緊張。
いつの間にか怖くなって震えてた。
だから、今此処にある想いは
恋と呼んでいいのか
わからないけど、そうだといいなと思う。
君と話せるだけで
私はとても幸せな気持ちになれるから。
手を伸ばして、
君の輝きをずっと感じていたいな。
冬が過ぎ、春が来ようとしている今日この頃。
春、どうか来ないで。
別れの季節が来ようとしている。
この想いは強く深くなってしまった。
二人それぞれの道を歩き出してしまったら
もう
会えることはないでしょうね。