ソラと想羅
ある二人の少年のオハナシ。
私情ですが、近くにいても肝心なことは何も言えない"トモダチ"間に、少々寂しくなってしまって。
それでできた話です。
「つまんなかったんだ。
普通に生きてるだけなんて。」
青い空の下で彼は呟く。
何処を見ているのか知ることもできず、
自分は突っ立っているだけ。
"イマサラ"だと、
どこかで自分を嘲笑う。
無力だなぁ。
栗色の柔らかそうな髪が
風に玩ばれてワルツを踊る。
お前は悲しいのか、なんてきけない。
俺の言葉でお前は
簡単に飛んで行ってしまいそうだから。
「ねぇ、理久。
シアワセとフシアワセの境界線は、何処にあるんだろ―ね」
いつも。
いつもお前は、そうやって答えを求めようなんて
考えてもないくせに聞いてくる。
変な質問ばっかり。
本当はその問いの答えを知りたいんだろ?
「…………っ、」
喉が詰まって声が出ない。頭が痛い。
息が苦しい。
あいつの姿も
今じゃ世界がボヤけて
真っ白な鳥みたいに見えた。
――風が、吹く。
一瞬視界が元に戻ったと思ったのに、また歪む。
「理久」
名前を呼ばれたのに、
向き合うこともできなかった。
「泣いてるの?」
少し驚いたようなアイツの声。
風が止み、寂しく空気を
震わせた。
自分のつま先をじっ、と
見つめたまま
溢れた感情を頭で処理しようとしていたが
どうやら無駄のようだ。
まっすぐアイツを見る。
微かに目を見開いたように見えたが、気のせいかもしれない。
ふっと口元を緩めたのは
気のせいじゃないから。
「やさしーね、理久は」
カナシイくらい
にっこり笑う。
その力の源は一体どこにあるのだろう。