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思い出のカケラ
未来に希望を持つ反面、
過ぎてゆく時間が恋しくなります。
どうやら、後ろを振り返らずには生きていけないようです。私は。
本当に欲しいものは
高価なバッグでも
高級な料理でも
素敵な洋服でめなく、
穏やかでやさしい、
懐かしい時間。
おばあちゃんがくれた
あのカリントウの味。
おじいちゃんがくれた
甘い甘い、チョコレートの味。
愛がてんこもりの
あの
ごはんの味。
当たり前に手にしていた
"あんなもの"
"こんなもの"
時間の流れのなかで
いつかはなくなって
思い出せなくなるのかな。
15歳で死んでしまった
あの子さえも…
――いやだな、
――いやだよ。
忘れたくない。
だいすきな
思い出のカケラ。