表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/56

夢愛―悲しみの果てにいる少女

今頭の中にある、物語の断片です。

「物足りないのでしょう?

この退屈だらけの世の中が。騒音の鳴り響く世の中が。

名も知れぬ何かを、ずっと探し求めてる。

ねぇ。

君の探しているものがここにあるかも…って言ったら、どうする?」


荒れ地のように寂しくて乾いている少年に、

私は思わずそう言った。

オレンジ色に染められた髪はすごく綺麗だと思ったけど、口には出さなかった。

少年は私に威嚇している。……何故?

ああ、そうか。

君の心の内を見てしまえる私が、気持ち悪いのね。

恐ろしいのね。

わかってた。

みんなそう感じてたしね。だからお客が来ないのだけど。

それにしても、最近の世の中って一体どうなっているのだろう。

人間たちは下を向かずに前を歩いているけれど、どこか機械的。

仮面のように笑って、相手のご機嫌とり。

常に闇に怯えてる。

空の蒼さに、

子供の純粋さに、

疲れたの?

一人=孤独だなんてありもしない方程式作って

何がしたいんだろう。

誰かを疎外して笑うなんてくだらないことして、

それでもなお、自分の場所だけは、と無我夢中で手を伸ばすのだ。

"おかしい"と気づく人はいるはずでしょう?

なのに、それが常識となりつつ今、騒音ばかりの世の中で小さな孤独の声がいっぱい聞こえてるの。

そして、ある日突然ぷっつりと一つ、もう一つと消えていくのだけれど、

決して減らない。

消えた瞬間にまた孤独が生まれるから。

この世から、淋しさとか虚しさとか負の感情が消えることはまずないにせよ、

私はこの薬屋に居続ける。居続けて救うことが

私の存在意義。

そのためだけにココにいる。

他人の淋しさをこれからも背負い続けるしか

居る意味はない。



………君はこの世界をどう見てる?……………




夕焼け色の少年に思いを馳せる。

諦めはしょうがないと思っている彼の目は

決して死んじゃいなかったのが不思議で。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ