夢愛―悲しみの果てにいる少女
今頭の中にある、物語の断片です。
「物足りないのでしょう?
この退屈だらけの世の中が。騒音の鳴り響く世の中が。
名も知れぬ何かを、ずっと探し求めてる。
ねぇ。
君の探しているものがここにあるかも…って言ったら、どうする?」
荒れ地のように寂しくて乾いている少年に、
私は思わずそう言った。
オレンジ色に染められた髪はすごく綺麗だと思ったけど、口には出さなかった。
少年は私に威嚇している。……何故?
ああ、そうか。
君の心の内を見てしまえる私が、気持ち悪いのね。
恐ろしいのね。
わかってた。
みんなそう感じてたしね。だからお客が来ないのだけど。
それにしても、最近の世の中って一体どうなっているのだろう。
人間たちは下を向かずに前を歩いているけれど、どこか機械的。
仮面のように笑って、相手のご機嫌とり。
常に闇に怯えてる。
空の蒼さに、
子供の純粋さに、
疲れたの?
一人=孤独だなんてありもしない方程式作って
何がしたいんだろう。
誰かを疎外して笑うなんてくだらないことして、
それでもなお、自分の場所だけは、と無我夢中で手を伸ばすのだ。
"おかしい"と気づく人はいるはずでしょう?
なのに、それが常識となりつつ今、騒音ばかりの世の中で小さな孤独の声がいっぱい聞こえてるの。
そして、ある日突然ぷっつりと一つ、もう一つと消えていくのだけれど、
決して減らない。
消えた瞬間にまた孤独が生まれるから。
この世から、淋しさとか虚しさとか負の感情が消えることはまずないにせよ、
私はこの薬屋に居続ける。居続けて救うことが
私の存在意義。
そのためだけにココにいる。
他人の淋しさをこれからも背負い続けるしか
居る意味はない。
………君はこの世界をどう見てる?……………
夕焼け色の少年に思いを馳せる。
諦めはしょうがないと思っている彼の目は
決して死んじゃいなかったのが不思議で。