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キキョウとリンドウ

色とりどりの薔薇が咲き誇るアーチを抜ける。

アーチの傍らでは、庭師を務める隣人が、深い緑の衣服をまとい銀色の鋏で精緻なリズムを刻み続けていた。


彼らはアシュプルたちのように立ち止まったり、物思いに耽ったりすることはない。ただ黙々と、季節のわずかな歩みに合わせて古い花弁を正確に摘み取り、新しい蕾をほころばせている。気の遠くなるような絶え間ない反復作業によって、この庭園の輪郭を途切れることなく完璧な美しさへと整え続けているのだ。


「おはよう!」

テオが元気よく手を振ると、庭師は鋏を動かす一定の速度を微塵も変えることなく、ただ静かに一度だけ頷きを返した。


甘い花々の香りと共に、芳醇な紅茶の匂いが風に乗って漂ってくる。アーチの先には、白亜のガゼボが現れた。

吹き抜ける風が、甘い花々の香りと共に、芳醇な紅茶の匂いを運んでくる。


ガゼボの中央に置かれた純白の円卓を挟み、二人のアシュプルが向かい合って座っていた。

深い藍色の髪を優雅に撫で付けるリンドウと、薄紫色のドレスに身を包んだキキョウだ。二人は穏やかな微笑みを交わしながら、静かに言葉を紡いでいる。


「こんにちは!二人は今日も仲良しだね。」

テオが声をかけると、リンドウはティーカップを置いて優雅に振り返った。


「やあ、テオ。ちょうどいいところへ来た。君も一緒にどうだい?」

「いいの?ありがとう!」

テオが空いている椅子に座ると、キキョウが真新しいティーカップを取り出し、銀色のポットから琥珀色の紅茶を注いでくれた。湯気と共に、ふわりと爽やかな香りが広がる。


テオが一口飲むと、その完璧な温度と深い味わいに目を丸くした。

「美味しい!」

「ふふ、良かった。甘い焼き菓子もたくさんあるから、遠慮なく召し上がれ。」

キキョウが、三段のティースタンドに乗った色鮮やかなお菓子を勧めてくれる。


しばらくの間、テオは美味しいお茶とお菓子を堪能しながら、二人の穏やかな談笑に耳を傾けていた。ふと、テオは不思議なことに気がついた。

自分が何度カップに口をつけても、カップの中の紅茶が、最初に注いだ時の分量のまま、全く減っていないのだ。よく見れば、リンドウとキキョウのカップの中身も、常に縁の少し下、最も美しい分量のまま、変化していない。


「あのね、二人の紅茶、全然減ってないよ?」

テオが指摘すると、リンドウは満足げに目を細めた。

「そう。この紅茶にはね、どれだけ飲んでも決して減らない魔法をかけてあるんだ。」

「それに、冷めない魔法もかけてあるの。」

キキョウが楽しげに言葉を継ぐ。

「だから、いつでも最高の一口目の温度と香りが味わえるのよ。」


「へええ!魔法ってすごいね。」

魔法を使えないテオは目を輝かせると、自分のティーカップを両手で持ち上げ、中身を一気にゴクゴクと飲み干してみた。しかし、空になったはずのカップをソーサーに置くよりも早く、底から琥珀色の液体がふわりと湧き上がり、あっという間に元の分量へと戻ってしまう。


面白がって何度かカップを傾け、絶対に減らない不思議な紅茶にひとしきり感心した後、テオはふと思いついたように顔を上げた。

「そういえば、アシュプルの魔法の中には、遠く離れていてもお話ができる魔法もあるって聞いたよ。でも、二人はそれを使わずに、いつも一緒にいるね。」


「ああ確かに、それは最も基本的な魔法だね。誰にでも使えるものだが……そういえば、ここではあまり使わないなぁ。」

リンドウが首を傾げると、キキョウがカップの縁にそっと口を寄せて微笑んだ。


「だって、会ってお話しすれば済むことですもの。」

「でも、急ぎの用事の時とか、会うまでに時間がかかる時は便利じゃない?」

テオの純粋な疑問に、二人は顔を見合わせて、まるでとても不思議な冗談を聞いたかのように、くすくすと上品に笑い合った。


「急ぎの用事、ね。……テオ、私たちには、急がなければならないことなど何一つないんだよ。今日会えなければ明日会えばいいし、明日が駄目なら百年後に会えばいい。待ち焦がれる時間すらも、また一興さ。」

「そういうこと。だから、時間を惜しんで遠くから声を飛ばす必要なんて、どこにもないの。」


その言葉は、テオには少しだけ難しかった。けれど、二人がとても幸せそうにお茶を楽しんでいることだけは分かったので、テオは「ごちそうさま!」と元気にお礼を言い、ガゼボを後にした。


――そして翌日。


塔への帰り道、テオは再び薔薇のアーチを通りかかった。

ガゼボの中では、リンドウとキキョウが昨日と全く同じ席に座り、全く同じ微笑みを浮かべ、全く同じ姿勢で、楽しそうに言葉を交わしていた。

彼らの手元には、昨日から一滴も減らず、一度も冷めることのない、完璧な温度の紅茶が湯気を立てている。


テオは立ち止まることなくその横を通り過ぎながら、小脇に抱えたノートを開いた。

インクの滲まない真っ白なページに、丸っこい文字が綴られる。


『リンドウとキキョウ、飲み終わらないお茶を飲み続ける』

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