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第7話:評価不能

バトル終了のベルが鳴り、解放試合室は静寂に包まれた。胸の奥の熱がまだ冷めやらず、ユウは掌の感覚に微かな震えを残したまま立っていた。香りがまだ体をくすぐり、呼吸が少し乱れる。

周囲の視線がユウに集まる。師匠の香坂トウマも静かに見つめている。だが、口を開く前にユウは自分の胸の奥で熱を感じる。香りが、心に触れ、体に微かに反応を残す。この余韻――勝敗を超えた感覚――を、どう表現すればいいのか、言葉が見つからなかった。

「……評価不能、だな」

師匠が静かに呟く。その声が胸の奥で響き、肩の奥まで微かな振動として届く。ユウは頷くしかない。香りが心と体に触れた結果、勝ち負けを決める尺度では語れない感覚が残ったのだ。胸の奥がじんわりと熱く、微かなときめきが指先や肩先にまで広がる。

シオンも言葉少なに微笑む。鋭い香りが空気に漂い、胸の奥で熱がさらに膨らむ。互いの心と体が香りで交錯し、戦いは物理的勝敗以上のものになっていた。ユウは呼吸を整えながら、その官能的な余韻を胸に刻む。

ミオがそっと近づき、微かに香る存在感が胸の奥をくすぐる。目が合うだけで心が震え、体の微かな感覚まで熱を帯びる。ユウは微笑みを返すが、胸の奥のざわめきは収まらない。香りが、心と体を同時に刺激し、甘くも熱い余韻を残すのだ。

「ユウくん……すごいよ」

ミオの言葉が、胸の奥の熱にさらに色を添える。香りと心理と体感が絡み合い、胸の奥で甘くざわめく。勝敗や評価ではなく、香りで触れ合った瞬間の感覚が、ユウの全身に深く刻まれる。

ユウは静かに息を吐く。掌の震え、肩の熱、胸の奥のざわめき――すべてが、香りによる官能的余韻として体に残った。香りはただの匂いではない。心と体を揺さぶる力であり、感情と存在を同時に伝える芸術なのだ。

初めての香式で、ユウはその力を実感した。勝敗は評価不能――だが、胸の奥に残る熱と余韻は、確かに存在する。指先や肩、呼吸の一つひとつが、官能的余韻として体に刻まれる。香りの力と、自分の感覚が交わる瞬間、ユウは初めて自分の道を信じる勇気を胸に抱いたのだった。

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