第5話:天才の嘲笑
教室のドアが開く音に、空気がわずかに揺れた。金髪碧眼の鷹宮シオン――クラスでも一目置かれる天才が、颯爽と現れる。モデルのような体型に白衣が似合い、存在感だけで周囲の空気を支配する。
ユウは胸の奥で小さな熱を感じる。香りではない、視線と気配が胸の奥をじんわりと締めつける。肩の奥が少しこわばり、呼吸が浅くなる。ミオの存在とは違う、緊張と期待が混ざったざわめき。
「お前が、噂の風見か」
シオンの声は低く、しかし響きは明瞭で、胸の奥まで届くようだ。
「香りだけで人の心を読む、ってのは面白いが……そんなことで勝てると思うな」
言葉の端々に挑発が混じり、ユウの胸の奥がぎゅっと締めつけられる。微かに汗が指先に広がり、掌がひんやりする感覚。香りではないけれど、体は確かに反応している。胸の奥のざわめきが、呼吸の乱れとして現れる。
シオンの香り――それはシトラスとスパイスが混ざる、鋭く尖った匂いだ。空気に広がるたび、胸の奥が熱くなる。視線を交わすだけで、互いの存在が体に干渉するような感覚。ユウは微かに肩を丸め、意識を集中させる。
「俺の香りに、跪かない感情は存在しない」
挑発的な言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。官能的というよりは、戦慄に近い。胸の奥が緊張で締めつけられ、指先や肩まで熱を帯びる。ユウは深呼吸をして、自分の香りに意識を集中させた。
初めての対決――香りで相手の感情を読み、反応を引き出す。ユウの手が微かに震えるが、胸の奥の熱は確かな自信に変わる。香りを一滴垂らすと、微かにミオの温かい視線を思い出す。胸の奥が甘くざわつき、体の芯がじんわりと反応する。香りは、心だけでなく体も揺さぶる力を持っている。
シオンの鋭い香りとユウの柔らかな香りが空気の中で絡み合い、胸の奥の熱がさらに膨らむ。互いの心を香りで読み合い、体の感覚まで刺激し合う。呼吸が少し重なり、指先が触れるかもしれない距離感に緊張が走る。
「ふ……面白い」
シオンが微かに笑った。挑発と賞賛が混ざったその表情に、胸の奥が熱くなる。胸の奥でざわめく感覚が、指先や肩にまで広がる。香りと心理が織り成す、この独特の緊張感――ユウは初めて、それを「戦いの官能」と呼べることを理解した。
胸の奥の熱を意識しながら、ユウは小さく頷く。香りは、心だけでなく体も反応させる。そして、自分の存在を確かに主張する手段にもなる。初めての試合で、ユウの胸の奥には甘くも熱い、官能的な余韻が残った。




