灰の空の少年
村の空は、決して青くはなかった。まるで神が天に灰色の墨をこぼし、それを放置して腐らせたかのように、鈍く、濁っていた。その下には、大地が屍のように横たわっていた。かつて木材と希望で築かれた家々は、今では炭となった骸骨に変わり果てていた。風は塵を運び、焦げた肉の匂いを引きずっていた。鳥たちさえも、歌うことを忘れてしまった。ただ空だけが、口を開けたまま、沈黙のうちにすべてを飲み込んでいた。
少年は、屋根のない、焼け落ちた家の残骸の階段に座っていた。顔と腕には塵がまとわりついていたが、拭おうともしなかった。意味などなかったからだ。
その隣には、死んだ犬が横たわっていた。硬直し、開いたままの目は、少年と同じ空を見つめていた。
少年はもう泣かなかった。涙はとっくに干上がり、土に吸い込まれるか、毎日解き放たれてゆく魂とともに風に運ばれていった。
名前など、もう意味を持たなかった。誰が今さら呼んでくれるというのか。
空腹は、もはや習慣になっていた。呼吸のように、体の一部になった。痛みは、意識する必要すらなかった。それは今、彼の筋肉に縫い込まれ、骨に刻まれているのだから。
かつて、母がいた。夜に浮かぶ歌声があり、闇が忍び寄る時に髪を撫でる温かな手があった。今では、風が壁の隙間から吹き抜けるだけだ。
かつては、腹を空かせながらも笑っていた弟がいた。だが今では、その瞳の色すら思い出せない。
あの日、兵士たちは何の前触れもなくやってきた。 雨のない嵐のように、村を焼き尽くし、銃弾と炎だけを残していった。
畑は燃やされ、抵抗した男たちは撃たれ、逃げ遅れた女たちは蹂躙された。
彼と弟は、床下に隠れていた。彼は弟の口を手で塞いだ。
だが、幼子の泣き声は土に埋められない。 死と同じく、銃弾も年齢を問わない。
彼は埋葬したかった。 だが、大地は凍っていた。 だから、彼はただ見ていた。台所の傍、まだ微かな温もりを残す焦げた木のそばで、小さな体が青ざめていくのを。
三日。それが、彼が最後に口にした食べ物——隣家の瓦礫から見つけた、焼け焦げたパンの欠片——から経った時間だった。
舌はもう味を知らなかった。
彼は自分がまだ生きているのか、それとも死ぬ礼儀すら持たぬ亡霊なのか、確信がなかった。
その夕暮れ、彼は立ち上がった。 体は煙のように曖昧で、今にも消えそうだった。 行き先は分からなかった。ただ、ここにはいられない。それだけは確かだった。
最初の一歩は、重かった。 地面は血と泥で足を引き留めた。 裸足は裂け、血が滲んだ。 だが、痛み——それは、自分がまだ存在しているという証だった。
彼はその家——もはや家と呼べるかも怪しい——を後にした。そして、振り返らなかった。
もし振り返れば、もう二度と動けなくなると分かっていたから。
石だらけの道を、亡霊のように歩いた。
かつて緑であった畑は、今では黒く沈黙し、 動物も人も、祈られることもなく腐敗し放置された。
生き残った者たちは村に引きこもり、戸を閉ざし、隙間から彼を見ていた。 あの空っぽの目をした汚れた少年が、疫病か、それ以上の呪いを運んでくるのではと。
彼は喋らなかった。 乞わなかった。 求めなかった。
ただ、歩いた。 止まることは、腐ることだから。
夜になると、彼は死んだ木の下で獣のように丸まり、 目覚めるたびに、自分が何を夢見ていたのか思い出せなかった。
そして朝が来るたび、同じ問いが舌先に燃え上がった。 だが、声にはならなかった。ただ、そこに在るだけだった。
なぜ、僕なんだ?
世界は決して答えなかった。
ただ、風だけが返事をした——折れたバイオリンのように枝を削りながら。
そして、空は今も灰色のまま——瞬きもせず、何も感じないまま、彼を見下ろしていた。