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1話

「おはよう。」

「…おはよう。」

「今日もいい天気だね。」

「…」

僕の話を荒川紗季は華麗にスルーして学校に登校していく。

紗季とは生まれた病院が同じで、家は隣。そしてずっと同じ学校だ。

この16年間会わなかったことがないと言えるぐらいの幼馴染だ。今は話しかけてもスルーされるが、昔は違った。

遊びに行く時は一緒に行っていたし、なんなら結婚の約束をしたぐらいだ。だけど気づいたら素っ気なくなっていた。

紗季はこの約束をしたことも忘れているだろうな。

そんなことを思っていた放課後。

日本史の斉藤先生が「来週の月曜日までにレポートを終わらせて提出をするように。写真を一枚以上は載せるように。」と面倒くさい宿題を出してきた。

しかも写真が必要なのでパソコンが必要になるが僕はパソコンを持っていない。

ぼっちだからパソコンを貸してくれる友達がいない。いや、そもそも友達がいない。

仕方ない。紗季に貸してもらうしかない。

「紗季。パソコン貸してくれない?」

「…仕方ないわね。パソコンは私の部屋にあるからそれを使って。余計なことはしないでね。」

「大丈夫だよ。じゃあ、さっさと終わらせるね。」

僕は急いで先のパソコンに向かってレポートを作成し始めた。

レポート内容を調べようとしたら検索履歴が目に入ってきた。

な、なんだ。この検索履歴は。

[幼馴染 監禁する方法]

[手錠]

[幼馴染 惚れさせたい]

ななななななななななんだこれ!!

ちょっと待って。もしかしてこの幼馴染って僕なのか?紗季の幼馴染は僕しかいないもんな。もしかしたらこれは僕の見間違えなのかもしれない。試しに目を擦ってみたがやっぱり検索履歴はやばいものばかりだった。

「よし。見なかったことにしよう。」

「どうしたの?何か変なことでもしているんじゃないでしょうね。」

「ナナナンデモナイヨー。モウオワッタカラカエルネー。」

「怪しいわね。まあいいわ。じゃあね。」

僕は出来上がったレポートを持って急いで家に帰った。

そして次の日。

寝ていたら耳元で声がした。

「起きて。大ちゃん。朝よ。」

「あと5分だけ。」

「早く起きてデートでもしましょ。」

「デート?なんのことだ。」

僕は目を覚ました。目の前には紗季がいた。

「えぇええええ。なんで紗季がここにいるんだよ。」

「大ちゃんを起こしにきたのよ。」

今までは起こしに来たことは一度もなかったのに。

それになんか手に違和感があるなと思ったから手に視線を向けるとそこには手錠があった。

しかも僕の手がしっかりと固定されている。

「なんで手錠がつけられてるのさ。どういうことなの。」

「監禁するためよ。それにだいちゃん、昨日見たでしょ。検索履歴を。」

「ぼ、僕なんのことかわからないなー。」

「嘘よ!!!ねえ、だいちゃん。どうして嘘をつくの。だいちゃんはそんな子じゃないでしょ。私に嘘なんてつかないよね。もしも私に嘘ついてたらどうなるかわかってるよね?」

紗季の表情が一気に険しくなった。

「すみません。検索履歴見ました。許してください。」

その一言で紗季は険しかった表情を微笑みに変えた。

「最初から許してるわよ。」

僕は最初から思っていたことを紗季に聞いてみた。

「なんで紗季がここにいるんだよ。」

「監禁するためって言ったじゃない。それに今日がチャンスなのよ。」

「チャンス?」

「だって今日は両親が旅行に行っているから1人なんでしょ。この間はだいちゃんを独占できるじゃないの。」

紗季の笑顔が怖い。今までこんなに笑顔が怖いと思ったことはないのに。

「怖いよ。じゃあなんで今まで素っ気なかったの?」

「だいちゃんが悪いんだよ。どんどんカッコ良くなるんだから。素っ気ない態度を取らないと、だいちゃんへの愛がとまらなくなっちゃうの。」

紗季は照れていた。とりあえずこの状況から抜け出さないと。

「ていうか手錠外してよ。なんもできないじゃないか。」

紗季は僕の耳元でこう呟いた。

「私が世話するから安心して私に甘えてね。」

こうして紗季との監禁生活が幕を上げた。

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