「インフルエンサー〜最新案件は飛騨の匠が作ったスマートな木製ベッド!?」
『インフルエンサー』は、SNSの煌びやかな世界で頂点に君臨する若きヒロイン、Emilyと、伝統の技と革新の息吹を宿す家具デザイナー・カズヤとの、偶然か必然かの出会いを描いています。現代のデジタル社会で輝く影響力と、高山の静謐な工房で生み出される匠の技。二つの世界が交わることで、新たな価値が生まれる瞬間――そんな魅力的な交錯を、読者の皆様にお届けしたく筆を取りました。なお、本作は番組「Hit’s Me Up!」の公式サイトはもちろん、Spotify、Amazon、Appleなど各種Podcastプラットフォームでも配信中です。ぜひ多彩なメディアでお楽しみいただければ幸いです。
<『インフルエンサー』>
■プロット:
人気インフルエンサーのEmily。TikTokのフォロワー数は500万を超え、1つの投稿の平均視聴回数は80万回を超える。Instagramでもフォロワーは300万人を超え、ストーリーのエンゲージメント率は常に15%以上だ。彼女が紹介する商品や場所は瞬く間に注目を集め、たった数日のうちに品薄になることも珍しくない。Emilyの影響力は、まさに「現代の広告塔」として絶大なものである。そんなEmilyのもとへ一通のDMが届く・・
<登場人物たち>
・Emily(26歳)・・・大人気インフルエンサー/Z世代のリーダー的存在
・カズヤ・・・オーダー家具のデザイナー/現代の”飛騨の匠”/飛騨の伝統技法を使いながらIOT化された家具を作っている
【資料/高山の人気インフルエンサー】
https://hidakokufu.jp/enjoy_taste_heal/227/
※追加コメントはすべて赤色
[シーン1:Emily自宅のミニスタジオ】
■SE/BT音楽/一眼レフのシャッター音(環境音)
・Emily/朝早くから新作コスメのレビュー用写真の撮影中
・Emily/Instagramにアップする画面〜みるみる「いいね」が集まってくる
・Emily/お茶を飲みながらスマホのチェック
Emily(スマホを見ながらひとりごと):
「800いいね超えた・・ま、こんなもんかな」
私はEmily。
常にエンゲージメント率15%以上を誇る人気インフルエンサーだ。
今も朝早くからEmily推しコスメを撮影中。(撮影している)
インスタにアップするとみるみる「いいね」が集まってくる。
よしよし・・と
■SE/DMの着信音
Emily:
「案件?こんな朝早くから?」
・テーブルの上の時計が6:30を指している
・DMを開くと長文のメッセージ
・メッセージをスクロールしながらカズヤの声
カズヤ:
「突然のDMですみません。いつもSNSを見ています。
Emilyさんは正直なメッセージの中に優しさを感じ てファンになりました。
僕は岐阜県高山市に住んでいるオーダー家具のデザイナーです・・」
Emily:
「高山市?」「家具のデザイナー?」
カズヤ:
「飛騨の伝統的な技法で作った家具をIOT化しようと思いました・・」
Emily:
「ふうん」
カズヤ:
「僕が作ったベッドフレームです・・」
Emily:
「写真もあるんだ。少〜し地味だけど木目がきれいね」
カズヤ:
「すごく映えるわけじゃないけど、これ釘を1本も使ってないんですよ」
Emily:
「え?どういうこと?」
カズヤ:
「木組みといって木材をぴったり組み合わせて作りました。
飛騨の匠が受け継いできた工法なんです」
Emily:
「そうなんだ。飛騨の匠?」
カズヤ:
「このベッドフレームを、友人のITクリエイターと一緒にIOTしました・・」
Emily:
「へえ〜」
カズヤ:
「頭のところにある棚の写真を見てください」
Emily:
「お、これか」
カズヤ:
「左右にブックシェルフ型のブルートゥーススピーカーを取り付けました」
Emily:
「あ、いいかも」
カズヤ:
「操作はスマホのアプリで、タイマーもかけられます」
Emily:
「やるじゃん」
カズヤ:
「頭のすぐ後ろは非接触の充電機にしました」
Emily:
「あり、だな。これ」
カズヤ:
「木の温もり・木目の美しさとIOTの融合。自信作です。
もし、お送りしてもご迷惑にならないならすぐに送ります」
Emily:
「そっかぁ・・・」
いくら案件とはいえ、
私は自分がホントにイイ!と思うモノしかアップしない。
だから写真(画像)だけじゃなくて、実物に触ってみたい。
でも、ベッドフレームかぁ・・
どうしよう・・
・微妙な表情のEmily
・少し腕組みをしたあとで、スマホのカレンダーを開く
・アップの表情、少しだけ口元がゆるむ(口角が上がる)
[シーン2:カズヤのデザイン工房】
■SE/工房の環境音
・カズヤ/ベッドフレームの木組みを仕上げるのに真剣な表情
・カズヤ/組みあがったフレームを撫でながら満足気な笑顔
・カズヤ/ポケットからスマホをとりだしてEmilyのアカウントを見て小さくため息をつく
カズヤ:
「やっぱ連絡ないか・・・ってあるわけないよな。
Emilyみたいな人気インフルエンサーが・・」
・カズヤ/スマホをぽ〜んとテーブルにおいて
カズヤ:
「こんな映えないインテリア・・」
Emily:※声だけ
「映えるわよ」
カズヤ:
「えっ?」
・カズヤ/声の方を振り向いて驚く
・Emily/カズヤの後ろに笑顔で立っている
Emily:
「あなたの名前から住所たどるの、大変だったんだから」
カズヤ:
「Emily・・・さん?」
Emily:
「どうしても実物が見たくなったの」
カズヤ:
「ウソ・・」
Emily:
「あなた、DMの最後に書いてたじゃない。
高山、いいところだから、ぜひ一度その目で見てほしいって」
カズヤ:
「書いた。確かに・・書いた・・けど」
Emily:
「そのベッドフレーム、完成したら高山、案内してくれる?」
一瞬、驚いたあと、彼ははにかんだまま、大きくうなづいた。
よかった。
高山のことしっかり調べて、楽しみにしてたんだから。
匠、なんでしょ。
あなたの作品だって、もっと見せてもらわなくっちゃ。
言ってないけど、今日は帰らない予定だし。
うふふ・・
・カズヤ/照れながらも満面の笑み
・Emily/にっこりと微笑む
・エンドロールの背景は高山市内のいろいろなところを歩くEmilyとカズヤ
『インフルエンサー』をお読みいただき、誠にありがとうございます。Emilyとカズヤ、互いに全く異なる世界で輝く二人が、偶然の連絡から心の通い合う瞬間へと変わっていく様は、現代社会における「繋がり」の新たな形を象徴しているように思います。SNSという光と影の中で生きる私たちに、時には伝統の温かさや、素直な心の交流が必要なのではないか――そんなメッセージを込めてこの物語を紡ぎました。Podcastとしても配信しておりますので、ぜひお好みの方法で再びこの世界に触れてみてください。今後も、皆様の心に響く物語をお届けできるよう、精進して参ります。ありがとうございました。




