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18 ベッドイン?


絶望の風呂タイムを何事もなく乗り切り、二時間ほど遊んでから寝ることになった。


「じぁあ、二人ともおやすみなさい」

「え?」

「え?」


またしてもキャッチボールが出来ていない気がする。


「もしかして一人で寝ようとしてる?」

「それは勿論」

「なんで?」

「なんでって、そりゃあ…」


遥輝(はるき)は至って普通のことを述べる。


「せっかくのお泊まり会なんですから女の子同士で仲良く寝れば良くないですか?」


普通のことを普通に話すと、遥香(はるか)から呆れたような目を向けられた。


「はぁ…わかってないわね」

「…何が?」

「なんのためにわざわざお泊まり会なんていう建前を取り繕ったと思っているの?」

「え…」


一体何のことだが分からず、ポカンと口を開けたまま固まってしまう。


その姿を見た遥香は思い切りため息をつき、こちらにジト目を向けながら解説を始めた。


「この前美晴(みはる)にあなたとお泊まりをしたいって__」

「ちょっと遥香ちゃん!?それはダメだって言ったでしょっ!!!」


遥香が気になる内容を話し始めたところで美晴が話を遮り、頬を膨らませながら遥香には対抗した。


だが遥香は全く屈さず、美晴にも少し冷めた目を向けた。


「美晴。そろそろ正直になりなさい。このままじゃあなたの気持ちは伝わらないわよ」

「っ…」


美晴は黙ってしまった。


そして胸に手を当てて何かを考え始めた。


だがやはり遥輝は何のことか理解できず、美晴の説明を待った。


「えと…遥輝くん…」

「はい」


数秒後、とうとう美晴が口を開いた。


「実は前から言いたいことがあって…」


美晴は頬を赤くして恥ずかしそうに話してくる。


それに若干のドキドキを覚えつつ、美晴の言葉について訊き返す。


「言いたいことって…もしかして不満ですか…?」

「ううん!そんなことないよっ!不満なんてあるわけないよ」


ならよかったが、なら一体何を言いたいのだろうか。


そんなことを考えていると、美晴はどこか吹っ切れたように話し始めた。


「実はその、お泊まりを….したくて」

「はい、今してますけど」

「そ、そうじゃなくてっ。遥輝くんと一緒にベッドで寝たいなって…」

「!?」

「でもその、私勇気が出せなくって…」


それで遥香に相談したというわけか。


やはりこの人は意地悪であるのと同時に純情な心を持っている。


そういうところにドキドキさせられるというか、惚れてしまったというか。


遥輝は少し笑いながら美晴に優しい言葉をかける。


「美晴さんからそんなお願いされて俺が断るわけないじゃないですか。俺は美晴さんの願いは可能な範囲で全て叶えてあげたいと思ってます。だから遠慮する必要はありませんよ」

「っ…!遥輝くん…!」


美晴は嬉しそうに身を乗り出し、耳元まで顔を赤くしながら遥香に聞こえないように囁いてくる。


「(じゃあその、えっちなことは?)」

「え゛!?」

「???」


ニヤニヤといたずらな笑みを浮かべる美晴と、それに動揺させられる遥輝。


そして何のことか全くわかっていない遥香。


当然のことであるが、このような会話を遥香に聞かれるわけにはいかない。


ましてや顔だけで察されるなんてことは絶対に__!


「別にいいんじゃないかしら?そういうことをしても。私は気にしないから、遠慮しないで」

「そう?ありがとっ」

「いやいや何勝手に話進めてんの!?てか何で姉さんはわかったの!?」

「あなたの顔を見たら」

「え、」


顔だけで察されてしまった。


どれだけ鋭いんだこの人。


家族愛とかその領域を超えているだろうが!


そして遥香のせいで状況は悪くなってしまって。


「じゃあ、ベッド行こっか♡」

「いや無理ですよ!?この状況でベッドは無理ですよ!?」

「おやすみなさい二人とも。あまりご近所さんの迷惑にならないようにね」

「は〜い」

「ちょっと待って!!今は消えられたら__!」


遥香は話を聞かずに部屋に行ってしまった。


そして今リビングに残されたのはバクバクが収まらない遥輝と目に♡を浮かべながらこちらに迫ってくる美晴だけだ。


(あ〜ヤバいヤバいヤバい…!)


「ほら、早く行こ?♡」

「っ!!」


このままでは襲われる…!


そんな生物の本能を感じつつ、美晴に流されるまま自室に入って行った。


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