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01 遅刻と地獄


20XX年4月。


いよいよ新学年となり、様々な学生が胸を躍らせながら登校する中、露骨に頭を下げてダルそうに登校する生徒が。


「はぁ…人はなぜ学校という醜いものを作ってしまったんだ…」


そんな悪態をつきながら歩く生徒の名は夜桜遥輝(よざくらはるき)


この春高校2年生となりいよいよ後輩ができたのだが、当然のように友達は出来ず。


遥輝は年下好きなので様々な女の子にアプローチをかけたが、なぜかうまくいかないのだ。


(ほんっと、なんで人生こんなに上手くいかないのかねぇ)


遥輝は恋の神様を睨みつけ、一度手を挙げそうになる。


(クソ、イライラしてきた。こうなったら…)


遥輝はイライラした時にいつもある方法で発散している。


その方法とは…


「あ、おばあちゃん荷物持ちますよ〜」


そう、人助けである!!!


遥輝はしんどそうに荷物を抱えるおばあちゃんに声をかけ、返事を待たずして荷物を奪い取った。


「どこまで行きます?」

「ああ〜それはね〜」


遥輝はおばあちゃんに案内されたところまでついて行き、無事荷物を届け終えた。


「ありがとねお兄さん。あんたいい男だね」

「いやぁ、あはは…そっすねぇ」


そうなら彼女の1人でもくれよ!!!


などと心の中で叫びつつ、おばあちゃんに手を振ってその場を立ち去った。


そこでふと時計を確認すると、そこにはもう取り返しのつかない時間を示している時計があった。


「あちゃー()()遅刻かぁ」


遥輝は朝になるとイライラする病気(?)にかかっているため、人助けをして遅刻する数がそこそこ多いのだ。


なのでまあ遅刻にも慣れたものなので、遥輝は特に慌てることなく堂々と遅刻することにした。


これぞどうせ遅れてしまったなら早くても遅くても変わらないの精神っ!!!


絶対にそんな精神は無い方がいい。


そんなことは遥輝もわかっているが、わかっているからといって捨てることもできないのだ。


つまるところ、もう手遅れなのだ。


(誰が手遅れじゃ誰が)


誰かにそう言われたわけでは無いが、なんとなくそんな風に噂された気がしたので心の中で怒っておいた。


そして怒るということは、イライラするというわけで…。


(もういいよこの流れ)


こんなことしてたら一生学校に着かないじゃん。


いやそれもアリではある。


…いや、そんなことをしたら姉に怒られるな。


ただでさえ前に遅刻した時にこっぴどく説教されたというのに。


(姉さんだけは、怒らせてはならないっ!!)


すでに遅刻している遥輝は心の中でそう言い放ち、何とか姉にバレずに遅刻する方法を考えた。


そんな風に道を歩いていると、赤信号が目に入ったので一旦足を止めた。


そして数秒間信号を待ち、青になったのを確認して歩き始めた。


だが青だからといって油断してはならない。


そうやって姉に注意された記憶が蘇り、遥輝は少し横断歩道に足を踏み入れたところで周りを確認した。


左__ok。


上__ok。


下__ok。


後ろ__ok。


よし完璧だな今すぐ渡ろうか。


バッチリ確認を終えた遥輝は姉への言い訳を考えながら歩き始めた。


(あ〜まじでどうすっかなぁいやでも今回は仕方な__)


その時、視界の右端に高速でこちらに向かってくる大きな物体が見えた。


「!?」


(全方位確認したはず__)


あ。


ワンチャン右見るの忘れてたかも。


…まあいっか⭐︎


(いやよくねぇだろ!?どうすんだよ!!と、とりあえず後ろに__!)


その時、自分より前に女の人がいるのが見えた。


(あれは、ウチの制服?もしかして遅刻仲間?え、やったぁ友達できたぁ…じゃなくて!!!)


見たところ、場所的に目の前にいる女の子の方が轢かれる可能性が高い。


流石にこの大きな鉄の塊に轢かれたとなれば、タダでは済まないだろう。


遥輝は瞬時にそのことを察し、時が止まったかのような感覚に襲われた。


(ヤベッ…これどっちも助かるとか出来ねぇっ…!だったらどうする…!!)


そして時が動き出すのと同時に、遥輝の身体がその女の子目掛けて走り出した。


そして思い切りその女の子を押し飛ばし、自分も何とか回避しようと試みた。


だが…


(っ…!?間に合わねぇ…!!)


ゴォォォォォンッ!!!!!!


鈍い音が平和な街中に響き渡った。


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