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アメリカの何処かの州――。
ある派手目の格好で化粧も誰かを誘うような付け方をした大人の女性が走る。
誰かに追われているようだ。
しかし、人の目や人気の無い場所へと入り込み、防犯カメラも無い所に入ってしまった為、助けを求められない。
酷く息切れが起き、走り方も乱れる。
だが後ろには確実に誰かが歩いているのが分かり、必死に走るも、どんどん裏路地へと入って行く。
裏路地の迷路、抜け出せる事も出来ず、とうとう行き止まりだ。
後ろにいた人物が不敵に笑う。
慌てて悲鳴をあげようとするも、いきなり口を手で覆われてしまう。
必死に踠くも叩きつけられ、女性の動きが鈍る。
鈍ったところで、人物は手を鋭い何かにし、女性の腹部に何度も何度も刺す。
女性は激痛と自身の大量の血液を見ながら息絶えた。
「全部、理美のせいだ……」
その数時間後、警察がホームレスからの通報だろうか、何台ものパトカーとテープで殺人現場前に付ける。
黒いシートを掛けられた遺体の前に刑事達がそっとシートを捲り覗く。
「またか……と言うか、別の州でも同じような事件があったよな?」
額には英語で不潔な人間、胸元には天罰をと書かれているのを見て、顔が歪む。
「あぁ、また顔と胸元に‘不潔な人間に天罰を’ってこの亡くなった人も娼婦ですね」
「解剖してからじゃ分からんが、もう背骨も貫通してるだろうこれは」
腹部は何度も刺された跡が怨みの強さが窺える。
「にしてもこれじゃFBIにも協力をお願いですかね?」
「それしかないだろ? 複数の別州でほぼ同時期に同じような事件が多発、単独はほぼ不可能と見ているが」
1人の刑事はだいぶ昔にも娼婦を狙った殺人鬼が居たのを思い出す。
勿論かなり時間を費やしたが、その犯人は逮捕されている。
「昔は同じような事件もありましたが、殆どは単独でした」
しかし今回のはそんな殺人鬼がこの後数百㎞先まで行くのかと考えれば、単独では不可能だと判断するのは、ついさっき同じような事件がたった今起きたからだ。
「今回もし単独だったとして、どうやってここから数百㎞も離れた場所と同一の犯行が可能か、今丁度連絡があった。たった今だ、入り組んだこの街から出て、山を幾つも越えなければ犯行は不可能だ。組織なのかネットによる斡旋等も視野に入れて行くしかない」
再度遺体に黒いシートを掛け直し、運ぶ準備が整い、外傷に触れないよう運ぶも、やはり背骨は破壊され、動かすのも危うい。
それでも運よく運ばれ、遺体は遺体搬送車に乗せられ死体解剖の為、許可された病院へと運ばれて行く。




