どうして?
冬美也が理美にキスしたの後の電車内――。
総一が即座に突っ込んだ。
「お前、いきなりキスはないだろキスは!」
突っ込まれるのは流石に嫌な顔となる冬美也が目線を逸らすも、衣鶴からも突っ込まれる。
「良いじゃん別に……」
「好きでもない人なら発狂だけど、好きだけどいきなりキスして去るのはどうなのよ?」
言われて当然であり、下手すれば嫌われる可能性大な行為とも言え、今回は運良かったのか、理美が青ざめる事はなく、真っ赤になって湯気も出ていた。
だから大丈夫なのだろうと思う。
ただ、キスした当人はあまり突っ込まれるのが嫌でキレたが、すぐ衣鶴に気付けたかと言えば気付いていないだろうと言った。
「もう! 他の人に取られたくなかったの!」
「わかったわかったわよ。でも理美ちゃん気付いてないと思うよ?」
「うぅ……」
一気に意気消沈となり、総一は言う。
「アメリカ着いた時、大丈夫だったか聞いておいてあげるから、なっ?」
慰めにならない聞くまでの地獄を味わうと分かって冬美也は余計にダメージを負った。
優紀の面倒を颯太が買って出てくれていたので、本当に会話は色んな意味で弾む。
しかし、麗奈はずっと仏顔のまま車窓から景色を覗きずっと考える。
『どうして? どうして、私、弟から目隠しされたの?』
本当になんで隠されたのかと自問自答しする羽目となった。




