表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

企画参加作品

人生は映画のような・・・或る老人の独白

作者: 山本大介

 やるべす。

 昔観たアドベンチャー映画を思いだした。

 伝説の失われたオーパーツを求め遺跡発掘助手の何某が活躍するものだ。

 金曜ロードショーで放映された時に、あの軽快なテーマ―ソングをテレビのスピーカーにWラジカセをくっつけて、カセットテープに録音したのが懐かしい。

 窓の外はチラチラと雪が舞っている。

 孫が庭で元気に雪だるまを作っていた。

 ふと、私は鏡に写る白髪の自分を見て自虐的に笑った。

「私も年をとったものだ」

 思わず、独り言を呟く。

 かつての私は丘サーファーでピコなんかのTシャツを着て、ブイブイ言わせたものだ。

 週末にはフットサル、私はFWで大会の準決勝でハットトリックを決めた時には、嫁が感動してグランドに入ってきて抱きついたのが懐かしい。

 イケるそう思った。

 そう、早速その日、私は彼女に告白した。

「君のつくったお味噌汁タベタイ」

 最後は緊張してカタコト言葉になってしまったのは、ご愛敬だ。

「うふふ、嬉しい」

 そして、俺たちは結ばれた。

 嫁は計算づくだったんだな。

 あの頃を思い出し、自嘲する。

 あれが運命の交差点だったのか・・・だがおかげで私は今、こうして幸せだ。

 人生はすごろくのようなものだ。

 人生ゲームってやつもあるだろ?

 あれはルーレットだけど、サイコロを振って運命任せのようなもの。

 それでも努力や頑張った分だけ見返りもある、運命といいつつも、それを切り開くのは常に自分だ。

 だから人生は面白い。

 年を取ると理屈臭くなる・・・。

「ふっ」

 時計を見た、まもなく3時だ。

 孫におやつのお菓子をあげよう、とっておきのヴェルタースオリジナルを。

「おーい、めぐちゃんやおやつの時間じゃぞい」

 ガチャリ、自分部屋の鍵を閉め、孫との楽しい特別な時間を楽しもう。


 ・・・・・・。

 ・・・・・・。

 やはり孫は可愛い。

 ガチャリ。

 私は部屋へと戻る。



 ♪タッタッタッタッタッタッタッタッたら~ん!♪

 老人はこれより密室で起きる恐ろしい事件に巻き込まれるのを知る由もない。

 だが、それは杞憂か・・・彼は難事件を次々と解決したことで知られる鎮魂探偵、伊武受雷なのだ。

 決め台詞は「いつも、まるっと真実ひとつ、事件は円満解決。孫にはヴェルタース」なのだから。

 



 満足、満足。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おお!これはあの名探偵! 読んでいて「あ!」となりました そしてよく見るともう一つお話ありますよね? そちらも伺います! 孫にはヴェルタース(笑) 面白かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ