表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まちこさんの童話集  作者: はやた まち子
4/4

黒猫ニャン太の恋

黒猫のニャン太くん、いたずらが過ぎるけど可愛いところもある。

自分の気持ちに正直になれるのでしょうか。

 黒猫のニャン太くんはとってもイケメンです。シュッとした鼻筋とブルーの目がとっても魅惑的です。でも大変ないたずら好きです。

 干してある洗濯物に飛びついて落としたり、スリッパを隠したりするのです。

 普通にしていればモテモテだと思うけど。

 三毛猫のミーコちゃんがペンギンのおまわりさんに言いつけに行きます。

「おまわりさん、ニャン太くんを逮捕してください。私の大事なリボンを引っ張って破ったの。それにちょいちょい私のしっぽをかじってくる。思いっきりガブってことはないけど私のしっぽで遊ぶのよ、気持ち悪いったらありゃあしない」

「そうか、それはニャン太くん悪いな。さっそく怒っておくよ」

 とはいうもののペンギンのおまわりさん、水の中ならスイスイだけど、何しろ陸はよちよち歩きだもんね。あの素早いニャン太くんを捕まえられるのかな。

 でも、なんとそこへたまたまニャン太くんが通りがかりました。

「ニャン太くん、相変わらずカッコいいね。その顔で女の子を泣かしちゃあいけないよ」

「あ~ペンギンおまわりさん、女の子泣かしませんよ。ちょっと遊んであげただけです」

「ほーほー安定のイケメンボイスだね、ほれぼれするよ」

「おまわりさんがうっとりしてどうするのよ」とミーコちゃんが口をとがらせます。

「そうだった、ニャン太くんいたずらは止めてね。もしかしてニャン太くんはミーコちゃんのことが好きなのかな、きっとそうだ、だからちょっかいかけるんだね。気持ちは分かるけど素直に大好きだよって言いなさい」

 いたずら好きのニャン太くんだけど図星だったようで真っ赤な顔して下を向いています。

 いや黒猫だから赤くなっても分からないか。ニャン太くん、イケメンらしくカッコよくミーコちゃんに告白できるでしょうか。

 でもやっぱりいろんなところでいたずらしちゃうニャン太くんです。

 ひょいッと見たらテーブルの向こう側に、えっ?この生き物なに? というようなものが椅子に座っています。首ってこんなに伸びるの~って言うぐらい思いっきり長~く伸ばしては、何かを口でパクッてキャッチしてむしゃむしゃ食べています。

 お腹の方しか見えなかったのでよくわからなかったけど、背もたれの方には大きな甲羅がある、亀のおじいさんじゃないですか!

 誰かが何かを投げている? 食べものが飛んでくる方をよく見てみるとなんとニャン太くんが冷蔵庫の上から、そこらにあった食パンをちぎっては投げていたのです。

「これこれニャン太くん、お年寄りにそんなことをしてはいけません」ペンギンおまわりさんが言います。

「だって亀じいさん、とっても上手に取ってくれるからつい面白くなってね、もう止めるよ手も疲れたし飽きたからね」

「亀じいさん食べ過ぎてアフアフ言っているよ、それにあんな格好でどんどん食べさせてパンを喉に詰まらせたらどうするんだい」

「ごめんなさい、亀のおじいさん」

「ほ~い、美味しかったよありがとう、これでまた寿命がちょっと伸びたな」

 ニャン太くんにはキジ猫のノブナガくんという友達がいます。名前はとっても勇ましいけど、至って心優しいちょっとドジなところもある子です。

 ピョンっと椅子から飛び降りたつもりが、ドテッと着地に失敗したり、ご飯の入った茶碗をひっくり返して悲しそうな顔をしているのを見ると、なぜだかニャン太くんはノブナガくんのことがいとおしくなるのです。

 ノブナガくんもカッコいいニャン太くんが素敵だなと羨ましい気持ちで見ています。

「ニャン太くん、ミーコちゃんに大好きだよってちゃんと言ったらいいのに」

「そうだねこれからミーコちゃんのところへ行ってくるよ。恥ずかしいけどもういたずらしないから仲良くしてねって言うよ」

 そうだね、成功するといいね。

 

 黒猫のニャン太くん、シュッとした鼻筋とブルーの吸い込まれるような目、魅惑的なイケメンボイス、俊敏な動き。

 女の子にモテる要素たくさんすぎる 「天は二物を与えず」って言うけど、天はニャン太くんにいったい何物与えているんだい?

 まあでもニャン太くん根っこの性格はいいと思うんだけど、ちょっとあまのじゃく的なところがあってとってもいたずら好き。

 人間のお母さんに「もうニャン太ったら~なんてことをするの~」ってしょっちゅう怒られている。でもお母さん本気で怒っているようには見えない。

(なぜかそんなニャン太も可愛いのよね)なんて心の声がダダ洩れなのです。

イケメンはいいな、ずるいよね。


 話は本題に戻るけど、ニャン太くん三毛猫のミーコちゃんのことが大好きなのに、なぜかミーコちゃんにまでいたずらして、ミーコちゃんに嫌がられている。

(僕はミーコちゃんのことが大好きなのにミーコちゃんなんでわかってくれないんだろう)と思うけど、ニャン太くん、クラスのガキ大将が好きな女の子に自分の気持ちと反対にいたずらするってやつ?

 そんなことして、ミーコちゃんが「ニャン太くんステキ」なんて思ってくれるはずないよね、人間のお母さんとは違うんだよ。


 ニャン太くんのお友達のノブナガくん、心優しくてちょっとドジなところがあるけど、ここぞとばかりに相談相手になってあげます。

ノブナガくんはニャン太くんにちょっとあこがれています、自分にないものをいっぱい持っているのが羨ましいのです。

いえいえ、ノブナガくんらしくしていればいいと思うけど、十分ステキですよ。

 ノブナガくんはちょっとたれ目でほっこりする笑顔で話しかけます。

「ニャン太くん、ミーコちゃんのことほんとに好きなんでしょ?」

「そうだよ、大好きだよ」

なぜかノブナガくんには素直になれるニャン太くんです。その調子でミーコちゃんとも仲良くすればいいのにとノブナガくんは思います。でもそのイジイジしたところがまた可愛いなと思うノブナガくんです。


なにさ、それ、人間のお母さんと一緒じゃないのよ。

結局ニャン太くんは生まれながらの人たらし? ネコたらし? のところがあるってこと?

「じゃ、ニャン太くん、ミーコちゃんがとっても喜びそうなプレゼントでも持っていく?  そして今の調子で素直に(ゴメンね、もういたずらはしません、ミーコちゃんのことが大好きです、仲良くしてください)って言ってみる?」

「ノブナガくん、他人事だと思ってけっこう踏み込んだセリフをぶっこんできたね、僕にはだいぶハードルが高い」

「そうだね、ニャン太くんはなかなかの俺さま気質だからね、でもそこを乗り越えないと、先に進めないんじゃない」 ノブナガくん今日はとっても強気です。

ニャン太くんの為って言うのもあるけどノブナガくんせっかくだから自分の存在感を示したいというちょっとよこしまな気持ちもあったりして・・・


 ニャン太くん、ここはノブナガくんの言うとおりにしてみようという気持ちになりました。人間のお母さんにお願いして、ピンクのリボンと美味しいおやつチュールをもらいました。

それを持っておずおずとミーコちゃんのところへ行きます。

「ミーコちゃん・・・あの・・・ごめんなさい・・・あの、その・・・これを・・」

あ~あ~ミーコちゃんに何も伝わらないよ、ミーコちゃん何のことか分かりません。もうたまらずニャン太くん一旦引き下がります。

もう一回気を引き締めて意を決してミーコちゃんのところへ行きます。


 意外とニャン太くんにも弱点があったのだね、ちょっと微笑ましく思えてくる。

その姿を見てミーコちゃんはちょっと気持ちが揺らいできました。

「ミーコちゃん、これまでごめんなさい、これ僕が破ったリボンの代わりです、美味しいチュールも食べてください。ミーコちゃんのことが大好きです、もういたずらはしません、仲良くしてください」と頭を下げて右手を差し出しました。

おーおーニャン太くんちゃんと言えたじゃない、やっぱりやるときにはやるね。

「ごめんなさい」と言われたら潔く帰ろう、でももういたずらはしないと決めたニャン太くんです。ミーコちゃんの言葉を待ちます。


(もともとニャン太くんのことは嫌いじゃない、どっちかと言うと好きなの)ッて心の中で思いながら、ミーコちゃんポッと頬を赤らめました。いたずらされるから私のこと嫌いなのかなって思っいたけど、こう言ってもらうと嬉しい。

「よろしくお願いします、仲良くしてね」とニャン太くんの手を取りました。ニャン太くんしっかりと握り返します。


お二人さんちゃんと握れたのかな?                        



相手を思いやることが大事だということが分かったのではないでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ