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まちこさんの童話集  作者: はやた まち子
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森の大運動会

森に住むたくさんの動物さんたちがみんな仲良くしましょうねということで、運動会を開きました。

リスや野ウサギさんたちが参加、カラスやトンビも参加したよ。

    今日は一年に一度の森の大運動会です。

 参加者は森の生き物たち。フクロウくんが司会です。フクロウくん、昼間はちょっと苦手だけどみんなのために頑張ります。とはいっても昼間苦手の子が多いよね。昼間動き回っているのはリスくんくらいかな。トンビくんとカラスくんも昼間飛び回っているな。

「では二人ずつで競争してもらいま~す」

「みんな聞こえているかな?」「ふぁ~い」

「なんだそのやる気のない返事は、まあいいとにかく頑張ってね」

「まずはリスくんとノウサギさんです」

「ヨーイどん」スタートの合図はあったのにリスくんは相変わらず木の実を口いっぱい頬張ってキョロキョロしています。ノウサギさんは普段は夜動いているので昼間は思うように動けません、タカやトビなどの怖い敵に狙われると思うと気が気じゃないのです。

 でも今日はみんながいるからいいやと葉っぱや木の芽や茎などを食べ始めました。

 やっぱり昼間はよく見えていいなあなんて競争しているのを忘れているみたいです。

 あれっ運動会だったと思いだしたリスくん、普段から昼間動いているのですばしっこい、リスくんの勝ちだね。

「次はトンビくんとカラスくんです」

 スタートは向こうの山の大きな木って言われているのに両方とも勝手に動いています。

 トンビくんは大きな羽を思いきり広げ、バタバタと羽ばたくことなく尾羽で上手に舵を取っています「ここは俺の縄張りだぞ」とでもいうようにピーヒョロロロローと鳴きながら悠々と輪を描いています。カラスくんはその様子を下からじっと見ています。

 この二人、普段から争うことがあるのでどちらも負けられないと闘志満々です。

「ヨーイどん」

 トンビくん相変わらず悠々と輪を描いています。カラスくんはあらら、人間の生ごみを見つけて漁りだしました。

 トンビくんの目がキランと光り、シャーと急降下です。「オラオラそこどけ」とカラスくんを脅します。カラスくん「トンビめ」と思いながら一旦引き下がります。そうしてカラスの仲間をたくさん引き連れて戻ってきました。「どうだ!」というようにちょっかいをかけては飛び去ったり近づいたり、とうとうトンビくん逃げて行きました。あっそうだ競走中だったと気づいたのはトンビくん、

 一直線にゴールへ飛び込みました。

 カラスくん、悔しがるけど後の祭り「いいさ今度やっつけてやる」それダメだよ、みんなが仲良くするための運動会なんだからね。

「僕この前人間と(だるまさんが転んだ)をやったよ」とカラスくんが自慢します。 

 人間のゴミ収集所で僕がせっかく餌を食べているところに人間のおばちゃんが来て、シッシッって追い払おうとするから、僕は仕方なくトットコトットコ歩いてちょっと離れたよ、するとおばちゃんも離れて行った。やれやれと思って引き返したら、そのおばちゃんクルッと振り返るんだ。それで僕は仕方なくピタッと止まった、おばちゃんはまた歩き出す、僕はまた生ごみの方へ行く。おばちゃんまた振り返る、僕はピタッと止まる。なんてことを繰り返したのだな。

 僕はとうとう諦めて飛び立った。なんてしつこいおばちゃんだと思いながらね。美味しいものがいっぱいあったのに。

「最後のレースはネコちゃんと虎くんです」

 ネコちゃんがなんで森にいるの? という声も聞こえますが、まあまあそこんところは気にせず、誰かのお友達かもしれないしね。

 とにかく「ヨーイどん」あららっ、ネコちゃん合図の前に飛び出してしまった、フライングです。虎くん一生懸命に追いかけます。

 ネコちゃん意外と早い、頑張っているね。

 森のあちこちから「ネコちゃんがんばれ~」の声が響きます。とはいっても体の大きさにだいぶ差があります。もう間もなく追いつきそう、追い越しそう。みんな手に汗握ります。

 あ~追いついちゃった。とみんなが思っているとふっと立ち止まった一匹と一頭、ネコちゃんはいきなり振り返ってネコパンチ、立ち上がってまたまたネコパ~ンチ。すると虎くんは「おいおいちょっと待ってそんなにパンチしてどうしたんだい」とでもいうように応戦しきりです。ネコちゃんのパンチが弱まってきました。そのうちゴロニャーンという声が聞こえそうなほど仲良く戯れだし、なぜかチュッチュッなんてやりはじめました。

 虎くんやさしく「僕はネコちゃんと仲良くしたかっただけなんだよ」とさらに、チュッチュッと続けます。周りは「もう見てられないわ」と言いながら笑いの渦が広がります。

 結局ネコちゃんが虎くんの背中に乗ってゴールイン。終わりよければすべて良し。

 森の運動会は大成功。みんな仲良くしてね。            

                



お互いが相手の気持ちを思いやることができるようになったのでしょうか。

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