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経緯

久しぶりの投稿です。忙しすぎて書く暇なくて、余裕が少しできた時には「あれ?このあとどうするんだっけ」という感じになって、さらに遅れました。待っていた方、お待たせして申し訳ございませんでした。(まぁ、待っていてくれた人なんていないと思いますが…www)不定期ですがこれからもよろしくお願いします。

「…ここは?」


「お、目が覚めたか。」


気が付くと自分は少女に担がれていた。その少女の外見は十代前半の黒髪であり、一瞬、「少年では?」と見間違えてしまうような顔立ちであった。しかし、その声色は幼い容姿とは裏腹に、大人びた女性のもので、決して軽視するべきではないと直感で理解した。


そして、あまりにも唐突の出来事だったため、自分がいま、どのような窮地に追い込まれているのか理解が出来なかった。


ふと、視線を感じ、バッ、と周囲を見渡す。するとやはり、そこには黒髪の少女を除き、男性5人と女性3人がこちらをじぃっと見つめていたのに気づいた。途端、自身が騎士であるにもかかわらず、「少女に担がれているということ」がどういうことかを理解し、ボッ、と顔が真っ赤に染まる。


「え!?あ、あの‼ちょ、ちょっと、お、お、下ろしてください‼」


「ん?あ、あぁ、悪い。」


こちらの心境を察してくれたのだろう、少女はほんの少し申し訳なさそうに自分をすっと下してくれた。しかし、今の自分は鎧を含めて、7,80kgあり、普段から鍛えている自分でもきついというのに、少女は苦も無く担いでいた。


見たところ少女が身体強化をしている気配はなく、その現実離れした出来事を前に、「これは夢だ。」と自身に言い聞かせる。しかし、これが夢でないということは全身の倦怠感が証明している。


そんなことを考えていると、一人の見覚えのある男性、いや、この町の領主であるディラレンス様がこちらへ歩いてこられた。


「悪いが事情を聞きたい。考えるのは後にしてくれ給え。」


「はっ!では、僭越ながら発言をしてもよろしいでしょうか?」


「許す。」


そして、これまでの経緯を話し始めた。


_______________________


「…こんな朝早いのに皆、元気ですね。」


いつもの街とは異なる様子にベルの声が漏れる。その言葉に先輩騎士のフェルグスが反応する。


「あれ知らなかったけか?今日は海魔が大量発生するんだぞ。」


「え!?だ、大丈夫なんですか!?こんなのんきにしてて…」


「まぁ、そんな危険じゃねえからな。せいぜい強くても成人男性ぐらいだし。それに、万が一のために領主様も来るからな、安全だよ。」


慎重である先輩から「安全」という言葉を聞いて、ベル市民たちに危険があるというわけでないと理解すると、ほっと息をつく。


「んで、俺たちの仕事は祭りで羽目を外してる奴を取り締まることだ。まぁ、だいたいは悪ガキどもだから楽な仕事だけどな。」


「…先輩、真面目にやってくださいよ。」


「大丈夫、分かってるって。何年やってると思っているんだ。」


「お願いしますよ…」


そんな話をしながら彼らは騎士屯所へと向かっていった。


_____________________


「おぅ、帰ったか。」


屯所に入ると小団長が鎧を着ていた。


「あれ?小団長、どうしたんすか?」


「あぁ、悪いが沖合に不審人物が目撃された。至急向かうからフェルグス、準備しろ。ベル、何かあったら念書(術者が書きたいと思ったものを魔道具であるペンが受信して自動で書いてくれるというもの)を送るから領主様に渡してくれ。」


「へいへい、了解了解。」


「はい!」


面倒そうにため息をつくフェルグスと与えられた使命に応えられるようにと意気込むベルを小団長は背中をバシバシと叩く。


「よし!じゃぁ行ってくるから留守は頼んだぞ。」


「はい!」


そうして、ベルは先輩たちを見送った。


~一時間後~


「…おかしい。」


ベルは静かな屯所で一人、そうつぶやいた。おかしいのだ。あまりにも帰るのが遅い。沖合といっても十分もあれば行ける。しかし、彼らは一時間たっても一向に帰ってくる気配がないのだ。それに念書のペンも動かない。しかし、実力のある二人に何かあったとは思えず、また、小団長の命に背くことも出来ず、ただただ屯所内をうろうろとし続けることしかできなかった。


日が昇り始める。時刻はおそらく六時ほどだろう。しびれを切らして海を見に行こうとした時、カタッという音と共に、ペンが動き始めた。すかさず念書の前に立ち、念書を読み始める。


「《至急、領主様へ報告せよ。》

ウェールズ王国(ディティールを狙っていると思しき国)の兵、侵入。

目的不明。しかし、何かを待っている模様。至急、市民の避難を仰ぐ。」


ベルの顔が青ざめる。何があったのか、先輩たちは大丈夫か等、様々な考えが浮かぶ。だが、今はそれどころではないと唇を噛みしめ、念書を持って小屋を出た。


______________


「なるほど。殿下、急いで領地にお逃げください。セヴァス、ソフィア、セレン、童、行くぞ。」


「俺も行きます!いや、行かせてください!」


「無論、そのつもりだ。セヴァスと一緒に市民の避難の手伝いをしてくれ。」


「ではベルさん、行きますよ。」


「はい!」


ベルが力強く返事をすると、すっとセヴァスが視界から消える。一瞬、ベルがぽかんとしたが、慌てて街のほうへと走っていった。そして童たちも街へと小走りで向かう。


「童、小団長たちの安否が気になる。港へ行ってくれ。」


「了解です。」


薄暗くなり始めた空に、童は胸騒ぎを覚えた。



最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント等してくれると嬉しいです。

次回の投稿は未定です。遅いですがよろしくお願いします!

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