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63:兄妹

今回少しシリアスな内容になったかなと思うので、おまけ話を2つ用意しました。それはほのぼのして読めるかなと思います。今回も楽しんでいただけますように。

「…………」

「お飲みになりませんか?」

「……いただきます」


 シュティに促され、目の前に置かれたコーヒーに口をつける。程よい苦味に酸味とのバランスが良い。コーヒーは仕事中もよく飲む。香りも好きな感じだ。が、とてもリラックスできる状況ではなかった。というのも。


 シェラルドはちらっと彼女の隣を見る。


「何?」


 亜麻色の髪を持つ青年に睨まれた。

 

 彼女とは対照的に、隠す気もない不機嫌な声。彼は傭兵のはずなのに、シュティの側近の如く隣に立っている。制服もアルトダストのものだからか、ただの傭兵に見えない。それに。


(……なんでこんなに睨まれないといけないんだ)


 さっきから警戒心が強いのだ。


 こちらとしては呼ばれたから来ただけで、シュティに何かする気もない。それなのになぜ。するとシュティは気づいたのか、嗜めるような顔で彼の袖を少し引っ張った。するとそっぽを向く。ようやく彼の睨みから解放された。


「リオがすみません」

「いえ……」

「なんでシュティが謝るんだよ」

「あなたが失礼な態度を取るから」

「ただじっと見ただけだろ」


 それにしては圧がすごかったが。


 二人は何やら言い争う。誰のせいでこんな目に、だの、それとこれとは関係ない、だの、先程の出来事も関係しているらしい。よくよく話を聞けば、シェラルドが一番近くにいたのに、シュティを守れなかったことをリオが怒っているようだ。


 ローガンは煙の魔法を使ってきた。対してシェラルドはただの騎士。確かにあの場では何の役にも立っていなかった。弁解の余地もない。とはいえ、そんなに責められてもどうしようもない。魔法が使える者と使えない者。それぞれにできることは異なる。シュティもそれを指摘していた。


「シェラルド様は私を守ってくださったわ」


 するとリオは片眉を上にする。


「へぇ? あんなにぴーぴー泣いてたくせに」

「それは、」

「俺がいなくて心細かったくせに」

「そ、そんなことないわ」

「よく言うよ。ほんとは俺のこと側に置きたいくせに」

「リオっ!」


 シュティは少しだけ叫ぶ。

 みるみるうちに顔が赤くなっていた。


(……俺は何を見せられてるんだ)


 シェラルドは両目を交互に動かす。


 リオは鼻で笑い、シュティは少しだけ眉を寄せる。だが彼女の顔の赤みは残ったまま。おそらく気恥ずかいのだろう。いつの間にか二人の世界に入っており、仲介すべきか悩んだ。


 リオが助けに来た時や今の様子を見ると、おそらく二人はただの王女とただの傭兵以上の関係があるように感じる。とはいえそれを部外者である自分が指摘するのもおかしいだろう。むしろ言うことでまたリオに睨まれるかもしれない。


 だがシュティはもちろんのこと、リオもまんざらではなさそうな顔だ。シェラルドはシュティとダンスをした時、彼女が王女の責務を果たそうと真剣な表情をしていたのを思い出す。


 努力家だからこそ、国のために王族のために色々考えているのだろうと思うが……リオの前だと年相応になっている。そうさせてくれる相手が近くにいるのは、おそらく彼女にとっていいことだろう。


 シュティを見ていると、自身の本当の主人である、エリノアを思い出す。思わずふっと頬が緩みかけた。だが慌てて引き締める。ここに来たのは、ただ二人の様子を微笑ましく見るためではない。


「呼んでいただいたということは、何か話があるのでしょうか」


 すると二人の声が止む。


 シュティは慌ててこちらに向き直った。軽くすみません、と頭を下げられ、シェラルドは首を振った。すると相手は、真面目な表情になる。


「シェラルド様に、聞いてほしい話があるのです」

「俺に、ですか」


 フィーベルやクライヴに話すならまだしも、自分に聞いてほしいとは。しかもわざわざ別室で。なぜだろうと疑問を頭に乗せながら次の言葉を待つ。すると、思いもよらないことを言われる。


「私の()のことです」







「護衛は近くにいます。ご安心下さい」


 こちらが真っ先に気にすることを、クライヴは言った。王子であるし、一人でいるのは危ないのでは、と思いつつ、今のユギニスも人のことは言えない。護衛は部屋の外にいるらしい。二人だけで話したいと思い、少し距離があるところにいるのだとか。


「フィーベルとの話が終わったら、僕もお話ししたいと思ったんです」

「……わざわざここまで来なくても。俺から行こうと思っていた」


 するとにこっと微笑む。


「できるだけ早くお話ししたいと思って。フィーベルに『願った』のでしょう?」

「……何を」

「ユナ殿のことを。……あなたの()()のことを」


 ユギニスは一瞬、言葉に詰まる。

 ゆっくりと、聞いた。


「……どこで、それを」

「僕達は昔、会ったことがあるんですよ。覚えていませんか?」


 穏やかに微笑む。


 それは見慣れた表情だと思っていたが、走馬灯のようにその場に浮かぶ。自分よりも背丈が小さい、年齢も幼い、だけど大人びて見えた、優しい少年の姿。


「……クライヴ。お前」

()()()()()()()、ユギニス殿下」


 首を少しだけ傾けながら見せる、無邪気な笑み。……そうだ、あの時の彼は、こういう笑い方をしていた。


 ユギニスは思わず顔を歪めた。


 怒りと悲しみとは違う、どういう感情表現をしていいのか分からないといった表情だ。だが噛み締めるようにして、クライヴの手を取った。


「お前が……お前があの時の。もう何年前になる」

「僕が九歳の頃ですから、十六年ほど前でしょうか」

「よく覚えているな」


 正確な年を言われ、ユギニスは苦笑する。自身ではそこまで覚えていなかった。クライヴはわざわざ調べて年数を計算していたようだ。だからすぐに言葉に出てきたと。


「子供の頃ですから全ては覚えていません。ですがあの出会いは……忘れられません」

「……そう、だろうな」


 二人は共に、過去に思いを馳せた。


 アルトダストの城の背後にある小さな庭園。手入れはされているが、常に日陰のせいか静かな場所。昼間でも暗いせいか薄気味悪く、人の出入りが極端に少ない場所。それでも庭師が丹精込めて美しい花を育てていた場所。そこは。


 一人の少女を幽閉していた場所でもある。







「姉……?」


 他に王族がいることに驚く。姉とやらがいるのなら、挨拶の時に軽く紹介してくれそうなものなのに。するとシュティの顔が微妙に曇る。


「……公にはしておりません。側妃の子なので」


 ということは、ユギニスとシュティは正妃の子なのだろう。自国であるイントリックスの国王は側妃を持たない。妻である王妃だけを一途に愛しているからだ。国によっては側妃を持つところもあるだろう。それはそれぞれ事情が違う。


 だがシェラルドは、少し哀れに思った。公にされてないということは、隠されているということ。()()()()()()()()()()()()()()()ということだ。


「兄が生まれた後、女の子が欲しいと母は願っていました。でもなかなか子を授かれず、側妃を持つ話になったのです。貴族の令嬢が嫁いでくれることが決まったのですが、その頃に父が……城に来ていた踊り子と、関係を持ってしまって」

「…………」


 何と言えばいいのか分からなかった。


 シュティの口で聞いてしまったことでより話が重く感じる。当時の国王に対して物申したくなったが、側妃の話が出たのなら、好いた女性がよかったのだろう。おそらく。共感も、同情もしたくないが。


 こちらが黙ったままでも、シュティは話を続ける。

 傷付いてはいないと、少し困った顔をしながら。


「父は最初、それを隠していたのですが、踊り子は美しい赤髪を持っていました。産まれた子も同じ赤髪だったんです。それが決定打になりました」

「赤髪……」

「兄の側近を務めている女性。ユナが、私の姉です」


 絶句してしまう。

 秘密に。事実に。


「私の姉であり、ユギニスにとっては妹になります」

「……なぜ、側近に」

「ユナ自身が望みました」


 シュティは目を逸らさない。

 ただ真っ直ぐこちらを見つめる。


「私達はそれを望みませんでした。同じ血を分けた兄妹です。()()()()共に手を取りたかった」

「……今度こそ?」

「ユナは生まれた時から幽閉されていたのです」


 シェラルドは自分でも顔が歪んでいくのが分かった。ここまで話をされたら容易に予想がつく。思わず奥歯を噛んでいた。


 正式に結んだ縁ではなかった。その証拠に、国王は周りに隠していた。だがそれが発覚し、その結果、幽閉された。誰からも祝福されず、ただじっと、部屋の奥で過ごしていたのだ。


 するとシュティは補足説明してくれる。予想通り、側妃とその子供は幽閉されていたと。幽閉された後すぐに側妃は亡くなり、ユナはずっと一人であったと。


 それから数年後、シュティが生まれたと。


「私と兄は幼い頃よりユナの存在を知っていました。母親が違っても、周りから望まれてなくても、私達はユナが大切で大好きです。子供に罪はありません」


 最後の言葉は少し強い言い方だった。


 まるで、国王に対して言っているように。望んでいなかった者達に言っているように。現に今のシュティの瞳には、強い光が見える。その光が少しだけ弱まるように、目を伏せた。


「……ですが当時の私達は子供でした。幽閉されているユナに何もできなかった。こっそり会うことはできても、助けてあげることはできませんでした」


 王から隠されていた子供。それは城で働く者達に瞬く間に広まり、非難の声が大きかった。幽閉することになったのにはいくつか理由がある。まず、彼女はただの踊り子で、必要な身分がなかった。後ろ楯もなかった。守れるものが、何もなかったのだ。


 そしてもう一つ。正妃だ。


 王が彼女との関係を隠していたことにより、正妃は精神を病んでしまったらしい。側妃を持つことを承諾したものの、信頼できる女性を選んだものの、結局王は別の女性を選んだ。しかもそれを隠された。一体どんな思いだったか。


 それでも正妃は王を愛していたのだろう。その証拠に、シュティを産んだ。数年越しに夢を叶えたのだ。それでも、愛する娘が生まれても、正妃の精神は慰められなかった。


 この秘密は城だけに留まったようだが、正妃のこともあり、大臣や近しい貴族からは毎日のように批判の声が飛んでいた。思えばそれらも、王族に対する信頼を失う行為であったかもしれない。


「裏切りにあったのは悲しいことでしたが、私達は、ユナと一緒に逃げることができて嬉しかった」


 シュティは少し遠くを見やる。

 まるで、思い出すかのように。







 裏切られたのはユギニスが十五の時。


 この国に王族はいらないのだと、大声を上げられながら包囲される。国王は予想していたのか、子供達に逃げろとすぐに道を伝える。数少ない信頼度できる大人達と共に、ユギニスとシュティは逃げ出した。


 急な出来事で城の中はパニックになる。捕らえられそうになる者がいたり、どちらを味方していいのか迷う者もいた。そんな者達の間を通り抜け、この隙に、幽閉されていたユナの元へと走った。


 ユナは離れた場所で幽閉されていたが、外に出られないわけではなかった。外へと続くドアはあり、一歩足を出せば、自然の空気に触れることはできる。だが、本当の意味で外に出られるわけではなかった。


 ドアの先にあるのは黒い大きい檻。結局囚われているのと変わりがない。数歩歩けば綺麗に整備された庭園があるというのに、逃げられないようにという理由で、視覚でしか楽しむことができない。目の前にあるのに、そこに行けない。そんな状態だった。


 城中の騒ぎ立てる声に、ユナも異変を感じていたのだろう。檻の中でじっと聞き耳を立てている様子だった。それを鍵を使って解放する。ギイイと鈍い音を立てながら、開いた。


 ユギニスは、今まで何度もユナに会いに行っていた。そのおかげか、彼女もこちらのことを認識していた。互いに手に触れた時、なんとも言えない思いが込み上げた。


 当時のシュティはまだ七歳で、ユナが姉であることは分かっていたものの、身体が弱くて外に出ることができなかった。ユナを見るのもその時が初めてだった。騎士の一人に抱っこされた状態のまま、物珍しい表情で彼女を見つめていたのを覚えている。


 一緒に城から逃げ出し、ようやく少しは話ができるだろうかという時、ユナが幽閉していた間のことを教えてくれる。出入りは制限されていたものの、それ以外は自由だったようだ。読み書きができるよう、本を読んだり、真剣は無理でも、木でできた剣で稽古を積んだり。


 当時の侍女長であるマリアが、ユナを気にかけていたのは知っている。こっそり読み書きや歴史を教えたり、もらったお菓子を彼女にあげたり。一人の時間が長かったが、人との会話が全くなかったわけではないと、少しだけ嬉しそうに声が弾んでいた。それでも時間が膨大にあったようで、城にある本はほぼ全て読み切ったらしい。


 ユナは伸びた髪を一つに括っていた。


 何度見ても鮮やかで美しいまるで林檎のような赤。瞳は自分と同じ、まるで宝石のように輝く緑。王の血を引き、美しい踊り子の血を引く彼女だからこそ、何を見ても惹きつけられる魅力がある。


 そんな彼女だが、街に暮らす子供よりも質素な服を纏い、よくよく見れば、手に剣だこがいくつもあった。そういえば触れた手に固いものがあった気がする。見た目に反して努力を重ねた姿。ユギニスはそっと、再度手に触れた。


 すると先程はしっかり握り返してくれたのに、今はやんわりと手を離すように動作する。そしてこちらに対して、すっと膝をついた。


『殿下、この度は私まで救ってくださりありがとうございます』

『ユナ……?』

『この御身は殿下達のために。必ずや剣となり盾となります。必ずやお二人を守ります。私を使ってください』


 それを聞いたユギニスは顔を顰めた。


『何を言う、ユナ。お前は俺達の』

『血は確かにつながっているかもしれませんが、私は望まれて生まれたわけではありません。なんのために生きているのか、何度も考えました』


 そう言われては黙ってしまう。


 ユナの気持ちは、おそらく彼女しか分からない。同じ血を分けた者同士でも、立場も状況も全く違った。だからこそユナに対して何も言えなかった。


『……ですが何度も来てくださる殿下を見る度に、私はあなたのために生きたい。そう思ったのです』


 胸が締め付けられそうになる。


 助けることはできなくても、せめて少しでも会うことができれば。そんな気持ちでユギニスは会いに行っていた。それくらいしかできなかったが、ユナは、それを感謝してくれた。なら尚更。


『これからは共に、兄妹として生きたい。俺だってお前を守りたい。何もできなかった。何もできなかったから、今度こそ』

『私にそのような慈悲は無用です。使われることが私の望みです』

『ユナ……!』


 苦痛に耐えながらも絞り出すようなユギニスの声。だがユナは頑なに兄妹の位置を拒む。側妃の子であるからと。だから一生仕えるのだと。


『ユギニス殿下。どうか私を右腕に。そして共に』


 すっとユナの目が細まる。

 確固たる意志で。


『国を奪還しましょう』

~おまけ話①~




「フィーベルは、黒髪の側近のどこが好きなんだ?」

「へ?」


急にそんなことを言われ、コップを持つ手を止め、ぽかんとした顔をしてしまう。一方のユギニスは、紅茶を楽しみながらにやにやしている。


こちらの気持ちを分かっているからこそ楽しんでいるのが伝わる。楽しんでいるというか、からかっているというか。


「それだけ彼に魅力があるということだろう。よければ知りたいと思ってな」

「……か」

「うん?」

「言っていいんですか?」

「…………は?」


今度はユギニスが唖然とする番だった。


よくよく見れば、フィーベルの瞳がとても輝いている。まるで言えることが喜びのように。たくさん語りたいのだと言っているかのように。


「シェラルド様はとってもかっこいいお方です。立ち振る舞いも凛々しいですし、とても真っ直ぐです。いつも守ってくださいますし、甘やかせてくれますし、時より見せる笑顔がとっても素敵で……」


ぺらぺらと流暢に話すフィーベルに、ただただ黙って聞いているユギニス。彼としては、彼女がおそらく恥じらいながら語ってくれるのではないだろうかと予想していた。そんなところを微笑ましく見るつもりだったのだが、実際はとても熱く語ってくれている。


こちらが相槌を打つ暇もなく語られるエピソードにたじたじになりつつ、ユギニスはフィーベルの側にいたビクトリアを目で呼んだ。


音も立てずに近づいたビクトリア。だがフィーベルは気付いていないのか話を続けている。ユギニスはそっとビクトリアに耳打ちした。


「これは……あれか、惚気というやつか?」

「惚気というやつですね」


あっさりビクトリアは頷く。


「それは……いい人と出会ったものだな」


思わず苦笑をしてしまう。

そして少しだけ、嬉しくも思った。






~おまけ話②~




「シェラルド様はフィーベル様のどこがお好きなんですか?」

「は?」


と返してしまい慌てて謝ると、シュティは笑いながら首を振る。互いにコーヒーを楽しんでいたら急にそんなことを言われる。なぜ。


「フィーベル様が素敵な方なのは分かりますが、改めて魅力を知りたくなったのです」

「いや……」


急に爆弾を投げられた心地になりながら、彼女の隣にいるリオを見る。シュティには気付かれたが、彼は知らないはず、と思っていれば、あっさり言い放たれた。


「二人の関係は知ってるから気にしなくていいよ」

「は!?」

「あんた達も分かりやすいからね……」


呆れるような言い方をされる。


達、ということは他の人のことも知ってるのか。

なんとなく想像できる気がした。


「ほら、姫が知りたがってるんだから教えなよ」

「な……」

「知りたいです。ぜひ!」


両手を合わせながらにこやかな笑みを向けてくる。

シェラルドは少しだけ眉を寄せた。


……そんなこと言われても何を話せばいい。大体、フィーベルの素敵なところなんてすぐ分かるはずだ。自分よりも相手を優先。たまに素直過ぎるところがあるが、ついついそれをいじりたくなる。美味しそうにご飯を食べる表情もいいし、なにより笑顔が可愛い。ずっと笑ってほしい。綺麗に着飾る姿はいつも以上に美しく、柔らかい肢体は触れるだけで心地いい。だがそれ以上に刺激が強いと感じることがある。勇ましく動く姿は普段の穏やかな雰囲気と一変、かっこよくて背中を任せたくなるほど。そこがギャップであり、フィーベルの魅力でもある。他にも語れと言われたらおそらく永遠に話せるだろう。


だがシェラルドは険しい表情のままだ。


それを言葉にするだなんてあまりにも気恥ずかしいし、上手く伝えられる自信がない。ここでヨヅカがいてくれたら、きっと上手く伝えられるだろう。自身はどちらかといえば口下手だ。だがこの国の王女が知りたいというのなら伝えた方がいいのだろう……とは思うが……ちゃんと言えるだろうか。


どことなく唸りながら腕を組んでしまう。

それを見たシュティは少しだけ眉を八の字にする。


「……困らせてしまったかしら」

「多分真面目なんじゃない?」


リオは半眼になっていた。

ふっと笑う。


「ま、めっちゃ好きなのは伝わるね」

「そうね」


シュティも笑みを深くする。

その様子だけで満足したようだ。

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