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第二話 デスゲーム

 海渡が乗った修学旅行のバスで突如クラス全員が眠りにつき、気がついたらどこかの廃校に座らされていた。生徒たちの首には謎の首輪が装着されている。


 不審に思う杉崎と未だ眠ったままの海渡。そんな最中、この場にそぐわない軍服姿の男が姿を見せ、クラス全員がサバイバルロストのプレイヤーに選ばれたなどと笑顔で語り始める。


「さ、サバイバルロストだって?」

「何だよそれ、意味わかんねぇよ!」

「ふぇ~ん、ここどこなの? お家に帰してよ……」


 突然の宣言に当然クラス中がざわめき出す。泣き出す女の子までいる始末だ。


「はいはい、皆落ち着いてねぇ。ちゃんと基本的な説明はするから。大丈夫大丈夫このゲームにはキチッとしたルールがある。それに従ってくれれば何も怖いことはないからね」


 軍服姿の男がニカッと不気味な笑みを浮かべ、皆に落ち着けと口にした。だが、この状況で落ち着けなどと言われたところで土台無理な話だろう。


「くそ! 何が怖いことはないだ! こんな糞みたいなゲームにまた巻き込みやがって!」

「まただって?」


 虎島のこぼした言葉に即座に反応したのは杉崎だった。また、ということは前にもあったと言っているようなものである。


「うん? おお、君は覚えているぞ。前回の優勝者だったな。はは、全くまさかすぐ次の年の開催にまで参加するとは、そんなにこのゲームが気に入ったのかい?」

「ふざけるな! こんな糞みたいなデスゲーム、気にいるわけがないだろう!」


 虎島が軍服男に噛み付く。そしてその言葉が、更に生徒たちの不安を煽った。


「お、おい今、デスゲームと言ったか?」

「何だよそれ、俺たち殺されるのかよ!」


 どよめきが大きくなる。すると――


「うるせぇぇええ! このクソガキども! いいから黙って俺の話を聞けって言ってんだよ! それ以上騒ぐならいますぐ全員ぶっ殺すぞ!」


 一瞬にして生徒が口を噤み、沈黙が訪れた。途端に軍服男が笑顔になり。


「うん、それでいい。これはホームルームみたいなものだ。そして私は先生の代わりと言える。先生が話している時は黙って聞くものだからね」


 何が先生だ、と杉崎は苦虫を噛み潰したような顔を見せる。隣には花咲がいて、肩が小刻みに震えていた。


「大丈夫、俺が必ず何とかするから」


 そっと杉崎が囁き、花咲へ微笑んだ。花咲はいつも杉崎の味方だった。そんな彼女を命に代えても守りたいと彼は思う。


「さて、先ず君たちが気にしているのはその首輪だろうね。でもいい子ばかりで良かったよ。たまに私が説明に来る前に首輪を外そうとして――ドカーン! 爆発させて死んじゃう子がいるからね」


 軍服男はそんなことを軽々しく話して聞かせた。


「おい、それってこれ、爆弾ってことかよ」

「うん、そのとおり! よくわかりました。その首輪には小型爆弾が内蔵されているんだ。だから無理に外そうとすれば爆発するし、はっきり言えば私の胸三寸でも爆発する。だから、余計な真似はしないでね。おじさん気が短いから、ちょっと態度が悪かったり無駄な抵抗されちゃうと、うっかり爆破、しちゃうかもしれないからね」


 軍服男が笑顔で言った。こんなとんでもないことをちょっとしたお遊戯みたいに語る男を、誰もが不気味に思ったことだろう。


「さて、じゃあ肝心のサバイバルロストについてだ。このゲームはその彼が言ったように有り体に言えばデスゲームだ。今君たちはこのゲームを企画している運営が所有している小さな島にいる。小さいと言っても歩いて回るにはそれなりに広いけどね」


 島、つまりここから自力で家まで戻るのは不可能ということだ。


「ゲームのルールは至極簡単。君たちにはこれからこの島で殺し合いをしてもらう。そして最後まで生き残っていた人の勝ち。ね? 簡単でしょ?」

「さ、最後までって。じゃあ、それ以外は?」

「死ぬよ。決まってんだろ。当たり前のこと聞いてんじゃねぇよボケが。殺すぞ!」

「ひぃ……」

 

 軍服男がにらみを利かせると、言葉を発した生徒が悲鳴を上げた。ガクガクと震え下を向き、怯えた子犬のようになっている。


「さて、殺し合いと言ったけど、何も素手で殺し合えとは言わない。そんなことしていたら時間がかかるしあまりおもしろくないしね。だから、君たちにはこれから私が引いた番号の順に外に出てもらう。一人ずつ、3分間隔でね。ちなみにゲームが始まると同時に首輪のタイマーが作動します。首輪は作動してから180分後には爆発します」

「え? それじゃあ、180分で決着つかないと死ぬってことかよ!」

「はいそこ。まだルール説明の途中だよ。余計な口を挟まない。今度やったらそれ爆破するからね」


 口を挟んだ少年が黙った。満足げに軍服男が話を続ける。


「今も話に出たけど、そのままだと180分で首輪が爆発して死にます。だけど、誰か一人でも殺せば、首輪の時間は延長される。つまり、誰も殺さなければいずれ首輪が爆発して死ぬけど、殺せば首輪での爆死はなくなるってわけ。だから、生き延びたければしっかり殺してね。特に最後に選ばれた人はその時点で90分消費しているから急いだ方がいい。そして島の至るところに武器や道具類が隠されています。食料や水もね。島ではライフラインは一切通っていないし通信環境も整っていない。君たちのスマフォなど余計な物は全て奪ってあるけど一応言っておくよ」


 つまりたとえ携帯電話を手に入れたとしても、電波が通ってなければ使えないということだ。


 しかし、杉崎には一つ考えがあった。確かに愛用のタブレット端末もいつの間にか奪われてしまっている。


 だが、たとえそうであってもこの男は何かしら外との連絡手段を持っているはずだ。それを奪えば通信出来る可能性はある。上手くやればそこからメインの回線に侵入し運営の正体を暴けるかもしれない。杉崎はスポーツ万能だが、同時にIT系の情報にも精通しており情報処理の技術も下手なハッカーが舌を巻くほどのものを持っている。


 だが、だからこそここは慎重に動く必要があった。そして同じ考えを持つものがもう一人いた。虎島だ。


 彼は去年の大会の優勝者だ。だからこそこのゲームの恐ろしさを身を以て知ってしまっている。怒りは当然あるだろう。彼は前の大会でクラスメートも掛け替えのない人も失っている。


「さて基本的なルールは以上だ、が、ふむ無謀にもぐ~すか眠っている者がいるようだ。だが、大人しいことには代わりはないから放っておこう。ここでルールを聞いていなくても二度と同じ説明はしないがな」


 未だ眠り続ける海渡を見ながら軍服男はニヤリと笑う。正直この状況で寝ていられるのは異常とも思えるのだがそうは考えず、軍服男はただ格好の生贄が出来た程度にしか思っていないようだ。


「さて、ゲームは15分後からスタートだが、ここで特別に質問タイムを設けるとしよう。何かあれば聞いていいぞ。ただし、あまりにくだらない内容だったらおじさんつい殺しちゃうかも、な~んちゃって」


 おどけたように話すその姿がいっそ不気味だった。

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