第百十四話 カドダス対勇者?
「何で海渡がここに……」
「お困りみたいだね」
「ま、まぁ困ったは困っただけど――え?」
そして鈴木が目を丸くさせる。そのうえで鈴木はフィールドに目を向けた。
「――なら海渡をフィールドに召喚するわ!」
「は? 海渡?」
カドダスが怪訝そうに眉を顰めた。
「何かなそのカード? 全く覚えがないんだけど。しかも話しているってことは君の知り合いなんだよね?」
「そうよ。問題ないわよね? デッキに入ってたんだし」
「む、むぅ……でも僕の記憶にないなんて」
「まぁ俺は幻の六枚目だからね」
「いや、さっぱり意味がわからないよ……」
カドダスは迷ったが。
「ま、いいか。でも君が負けたらそのカードもカード化の対象だからね」
「わかったわ」
「ふふ、随分と自信がありそうだけどわかってるのかな? 例え一ダメージでも受ければ君の負けは確定だ」
カドダスが不敵に笑う。しかし、鈴木は気にもとめず海渡で攻撃を仕掛けた。
「海渡で攻撃よ! 絶対殲滅の一撃!」
「は?」
鈴木のコールで海渡の攻撃が炸裂。何とその場にいたカドダスのマジックドールが全て消え去った。
「は、はぁあああああ!?」
カドダスが絶叫した。意味がわからなかった。たった一発で全てのマジックドールが倒されるなんてありえない。
「ば、ばかな。何だこれは?」
「どう?」
「くっ、だが問題ない! トリックカード! 強制破棄だ! 攻撃を仕掛けてきたマジックドールを破棄する!」
「だがそれは通じなかった」
「は、はぁああぁああ!?」
海渡はそう口にし、実際その場に立ち続けていた。全く破棄される気配がない。
「な、何だ? 一体どうなってる? くっ、ならばトリックカードの召喚でマジックドールを呼びだすぞオリハルコンキングだ! こいつは物理攻撃は一切通じない。更にそこにマジックバリアーを重ねる! これで魔法も」
「海渡のターン!」
――ドゴオォオォオオン!
オリハルコンキングは見事に破壊された。
「はぁああぁああああ!? 待て待て待て待て! おかしいだろう! 絶対おかしいよ! 物理無効だし魔法も効かないんだぞ!」
「海渡のカードは無効がそもそも無効なのよ」
「何じゃそりゃぁああ!」
カドダスが激しくツッコんだ。その表情に初めて焦りが見えた。
「くっ、しかたない。おい、さっさとターンを終わらせるんだ」
「え? 終わらないけど?」
「は? 何を馬鹿な。もうターンは、てコストが減ってないだとぉおお!」
カドダスが驚愕した。
「な、なんだこれ? 一体どうなってるんだ! こうなったら――」
カドダスの目がキラリと光る。実はこれは禁じ手だ。カドダスは見ようと思えば相手のカードの効果を調べることが出来る。
カード名:勇者カイト
特殊効果
・絶対防御
あらゆる攻撃あらゆる魔法、あらゆる効果それらすべてから完璧に身を守る。仲間も守る。カイトがフィールドに置かれてる限りあらゆる攻撃もトリックも意味をなさない。
・最強の一撃
あらゆるカードを一撃で破壊する。何をしようが無駄であらゆる防御も特殊効果も意味をなさず攻撃を受けたら必ず砕ける。
・絶対殲滅の一撃
その場にあるマジックドールは全て破壊する。やろうと思えばトリックカードも纏めて破壊出来る。
・永遠に俺のターン
カイトのあらゆる行動はコストを消費しない。そのためカードマスターが終わらせない限りターンは永遠に続く。
・マスター殺し
カードマスターに直接攻撃できる。
「な、なんなんだこれはーーーーーー!」
カドダスが驚愕した。それも当然の話だった。何せ海渡のカードがこの場に出てる時点でカドダスに勝ち目はない。
「永遠に俺のターン発動! コストは永久に減らないわ! ターゲットはカドダス。直接攻撃よ海渡!」
「海渡いきまーす」
そして鈴木がいよいよカドダスへの直接攻撃を行使した。海渡がフィールドから飛び出し、カドダスに迫る。
「そんなことがあってたまるか! この私は神だぞ! やろうと思えば貴様など!」
「海渡ぉおぉお――パーーーーンチ!」
「ぐぼらぁあああぁあああああぁあああああ!」
カドダスが抵抗を試みるが無駄なことであったが。海渡のパンチがヒットしカドダスが吹っ飛び、亜空間の壁を破壊、現実世界から更に空に向けて飛んでいきお星さまになった。
「これで倒したんだ……」
鈴木がホッと胸をなでおろす。その時だった。デッキに置かれていたカードが光り輝き、かと思えば一斉にカードが亜空間に空いた穴から飛び去っていく。
「これって?」
「皆カードから元の姿に戻っていったんだと思うよ。というわけで俺も戻るよ」
「ちょっとまって、その、海渡、あ、ありがとうね」
照れくさそうに鈴木が口にしたのと同時に海渡のカードも飛び去った。
ちなみに海渡は勿論カドダスに負けたからカード化したわけではない。そろそろ行っておいた方がいいかなと思いカードとなって降臨したのだ。
「あ、戻ってきた――」
気づくと鈴木は自分の部屋に戻ってきていた。それから委員長や美狩にも電話してみたが皆、元の姿に戻っていたようだ。田中に関しては連絡はしなかったが真弓とのBINEで戻ってることはわかった。
「これで全て解決したのね」
そう全てが片付いた。そう鈴木は思っていた。だがしかし――
「スペルカード! ファイヤーシュート!」
「ぎ、ぎゃぁあ! ば、馬鹿な! 俺以外にカードの力を使える奴がいる、なん、て――」
目の前の男が倒れていく。それを鈴木が見下ろしながら嘆息し言った。
「そんなこと私だってわからないわよ。全く、何なのよこれ……」
鈴木は頭を抱えた。なぜならカドダスとの戦い以降、鈴木は手持ちのカードを具現化する力を手にいれたからだ。しかもどういうわけか似たような力を持つものがいて、それを悪用しようとしている。結果的に鈴木はそれらのカード使いをちょいちょい倒すようになっていたのである。
そして鈴木もまた、後に海渡が元勇者であったことを知る仲間の一人となるのだった。
◇◆◇
一方海渡にやられたカドダスはというと。
「よし! ここで身代わりのカード、カドダスだ!」
(ぎ、ぎゃぁあぁあああぁあ!)
「あぁ、またカドダスが全てのダメージを受け持っちゃったよ」
「攻撃面では使えないけど盾としては使えるよなぁそれ」
そう、巷では様々なトレカでカドダスが出ると話題になっていた。そしてその効果は共通しており全てのダメージを肩代わりしてくれる、そういうものだった。だがその正体が元神であり、しかも現実のダメージとして痛みを受け続けているのだということを、誰一人知ることはなかった――




