2.魔法
「頑張ろうって言っても何を......?」
「まずは知識を得るところからだな。例えば6+3。これはできるか?」
「9です」
「へえ。ちゃんとできるんだな。奴隷商に教えてもらったのか?」
「一般教養と呼ばれるものは一応習いました」
ふーん、なら五年と言わずもっと短い期間でできるかもな。
「じゃあ算数とか基礎的なことは分かってるみたいだし早速魔法の勉強しようか」
「でも私魔法使えないですよ」
「今はね。でも俺の教えを聞いていれば無魔法は絶対に使えるようになる。断言してもいい」
「そ、そうですか」
そうだとも。
「そもそもだ。何で皆、魔法を使えると思う?」
「何で? 何でってどういうことですか?」
「だって何もないところから魔法を出してるんだぞ。おかしいと思わないか?」
「......うーん、そう言われれば。でも、雲や雨だって何もない空から出てくるじゃないですか」
「ふふ、いいところに気づいたな。実はそれらも突然現れたわけじゃないんだ。詳しい説明は今は省くが、地表や海面から蒸発した水が空に行ったものなんだ」
「え、そうなんですか」
「そうだ。というわけで、この世にあるものは突然現れたり消えたりしないんだ」
「ということは魔法も」
うん、この子は聡いな。
「その通り。突然現れたり消えたりはしない。実はそれの元となるものがある」
そして俺は黒板にチョークで人の形を書き、その周りに点々を打ちまくった。
「こういう点々が空間の中に充満している。これを俺は魔素と名付けた」
「魔素......」
「そうだ。そして俺たち人間は魔素を肺で魔力と俺が呼んでいるエネルギーに変換しているんだ」
「......」
「魔力は心臓に溜まり、脳から出た何かしらの信号で魔法のカタチになって発現するんだ」
「......はあ」