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第1話 再会

はじめまして。一ノ瀬 葵と申します。

こちらの『小説家になろう』様では初投稿となります。

また、ヒストリカル風のお話を作るのも今回が初めてであり、初めてづくしですが頑張りたいと思います。

設定が甘い所が目につくかと思いますが…広い心で読んで頂けるとありがたいです…

皆様に少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。

宜しくお願い致します。

 ───幼い頃は夢見ていた王子様がお姫様と結ばれてハッピーエンドとなるお伽噺を…



 貴方は覚えている?あの日の事を…




 ◇*◇*◇*◇*◇




 レトリアル王国は温暖で穏やかな気候で資源も豊富であり、豊かな国である。昨年に隣国との戦もあったが隣国が降伏し勝利をおさめた。その他の諸外国とも友好的な繋がりを持つ。

 レトリアル王国に仕える数多な貴族の中で侯爵位を持ち宰相も務めているウェストン侯爵の令嬢であるフィーリア・ウェストンはプラチナブロンドである真っ直ぐな腰まである髪の毛はさらさらと煌めいており、陶磁器のような真っ白い肌は透き通るようで、藍色の大きな瞳は吸い込まれるような輝きを持っていた。彼女を一目見た者は天使のような可憐な少女であると誉め称えていた。しかし、そんな見目麗しいフィーリアは家の中で静かに刺繍等を嗜むよりも馬術や武術を好む活発な少女であった。



 王都の端にある自然を多く残した草原を早朝白馬に跨がり駆ける事をフィーリアは好んでいた。


「テッド今日はいつものように沢山駆ける事が出来ないのごめんね…

 今日は珍しくお休みの父様が大切なお話があるって仰有っていたからもう邸へ戻らなければ…」


「お嬢様、そろそろお時間でございます。」


 後で控えていた騎乗している護衛に声をかけられフィーリアは手綱を引く。


「わかっているわ。さぁ、テッド戻りましょう」


 フィーリアは自身の跨がっている白馬のテッドにそう声をかけテッドに合図を送り来た道を戻った。



 侯爵邸へ戻ったフィーリアは厩番にテッドを託し駆け足で邸へ足を進めた。

 淑女にはあまり誉められた行動ではなかったが、時間に遅れれば父である侯爵に口煩く注意されるからである。



 エントランスホールへ入るといつもであればこの時間には邸にはいない人物と鉢合わせた。


「おはようフィー。今日もテッドに乗ってきたのかい?」


「兄様おはようございます。朝の軽い運動は必要ですの。

 珍しいですね、兄様がこの時間に邸にいらっしゃるなんて。」


「ああ、今日は僕も休みなんだよ。

 それよりも、時間は大丈夫なのかい?父上に今日は話があると言われているのだろう?時間に遅れたら、時間厳守な父上の煩いお小言が待っていると思うけど?」


「わかっています。だから今、急いでいるのです。」


「だからと言って廊下を走ったら母上に、はしたないって叱られるんじゃないかな?」


「それも、わかってるわ!急いでいるから邪魔しないで!」


「ほら、淑女の口調じゃなくなってきた。そんなんで、デビューなんてできるのかな?」


「兄様っ!」


 妹を可愛いがりながら、いつも揶揄(からか)っているフィーリアの五歳上の兄レオン・ウェストンは侯爵家嫡男であり、王太子付きの執務官に就いている為いつもであれば早めに邸を出て王宮へ出仕しているはずなのだが、珍しく今日は休日をとっているらしい。

 フィーリアの容貌は美しいと評判の母であるカトリーヌ譲りのプラチナブロンドと藍色の瞳で母と瓜二つであった。そして、兄のレオンはこちらも美丈夫と評判のウェストン侯爵で宰相でもある父のジョゼフの空色の瞳と蜂蜜色の髪色を受け継ぎすらりとした体躯の長身で貴族のご令嬢からの沢山の眼差しを集める容貌であった。

 そんな二人の掛け合いは毎日の事で仲の良い兄弟だと邸で働いている使用人達からは暖かい目で見られていた。



 フィーリアは、行儀作法に厳しい母親に見付からないよう咎められないギリギリの早歩きで自室へ戻ると、フィーリア付きの侍女であるミアに直ぐ様見付かった。


「フィーリア様っ!あれほど昨日から余裕を持ってお戻り下さいとお伝えしたのにギリギリの時間ではありませんかっ!」


「こ、これでも急いだのよっ!下で兄様に捕まってしまってそこで時間を使ってしまったのよ。

 だから、準備を急いでちょうだい!

 本当はこのままでも私は構わないと思うのだけれど、以前この姿で父様と母様のもとへ行ったら、父様は呆れた顔をしただけだったのに、母様から長いお説教だけでなく、次の日から礼儀作法の勉強の時間が倍になったのよ。」


 フィーリアが今着ている服は騎乗する時に着用する衣服である。馬術を嗜む令嬢もいるが、令嬢方が通常着用するのは騎乗用のドレスにつばの広い帽子である。もちろん騎乗する時はドレスなので横乗り用の鞍を着け騎乗する事が通例だ。しかし、フィーリアは紳士が騎乗する時と同じ衣服を着用し、馬に跨がり騎乗している。そんな格好で上級貴族でもある父母の前に姿を現した事をミアは知り頭が痛くなった。フィーリアは奔放であり、そんな自分の姿にあまり気にしない性格であったのだ。


「当たり前でございます。しかも、今日は前日に旦那様からわざわざお話があると事前におっしゃられているのです。

 それ相応のお支度をしなければいけませんし、奥様からもフィーリア様のお支度には手を抜かぬよう言付かっております。」


「うっ…わ、わかってるわよ…きちんとした令嬢の格好で向かえばいいくらい。」


「ご理解頂いているのであれば、急ぎますわよ。」


 茶色の髪色で頬に少しそばかすのあるミアはフィーリアより二つ歳上であり、フィーリアの乳母の娘で侯爵邸の使用人棟で生まれた時から生活をしていた事もあり、幼い頃から一緒に過ごす事が多く、フィーリアとは友人のような姉妹のような関係を築いていた。その為か、他の侍女よりも歯に衣着せぬ口調で話す事も多くフィーリアもそれを咎める事もなく反対にそう接してくれる事を望んでいるような関係であった。



 ミアの他にも数人の侍女の手も借り佇まいは深窓のご令嬢のような姿になったフィーリアはまた咎められないギリギリの早歩きで父である侯爵が待つという応接室の前まで到着し、なんとか約束の時間に間に合った。


(……それにしても執務室でなく応接室でお話なんて珍しいわね…

 いつもなら、何かお話がある時は執務室に呼ばれるのに…)


 そんな事をぼんやり考えながら、応接室前で待機していた執事頭であるイアンが中にいるであろう主人へお伺いをたてる。


「旦那様、お嬢様がいらっしゃいました。」


「中へ通しなさい。」


 執事頭が扉を開けてくれ部屋の前へ立つとフィーリアはドレスをつまみ淑女の礼をした。

 仲の良くない親子関係ではない。しかし親子とはいえ、このような形式的な話の時は父ではなく侯爵として接しなければいけないと幼い頃から貴族としてのマナーを教えられている。


「遅くなり申し訳ありません。」


「構わない。フィーリア中へ入りなさい。」


「はい。失礼致します…」


 そう、返事を返し顔を上げたフィーリアは中にいる人物をようやく見た。


 応接室には父と母に兄まで揃っており、そしてなにより…



「え……ジーク…?」





ここまで読んで頂きありがとうございます。

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