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第十五話:私の愛するひとびと



「というわけで、おはよう!」

「何がというわけなのかわかりませんが、おはようございます……大丈夫ですか?」


 目が醒めると、普段より十倍はハイテンションなテオさんが話しかけてきた。どうしたテオさん、理不尽キャラじゃなかったのか貴方は。

 後なんで勝手に部屋に入られてるんだ。あ、護衛か、昨日襲われたから。


 外を見ると、もう完全に日が昇りきっていた。元の世界のお昼ぐらいか? 寝すぎちゃったな。

 中を見ると、完全にやばそうなテオさんが。駄目だこれは。


「ちょっと昨日ヤバいお薬飲んじゃったからね。一睡もできなかった」

「麻薬??」


 どうしたテオさん、何を間違った。麻薬に手を出すのは流石の私でも予測できませんでしたよ。


「んー、効果も副作用もヤバいやつだったんだよね」

「どんな副作用なんです?」

「理性がなくなるってやつ」

「……いつも、ありましたっけ?」

「ん?」

「久々バイオレンスですね弓構えるのやめて」


 チャキっとなんか高価そうな弓を構えてくるテオさん。ほら、欲望のまま生きてるじゃないですか。

 というか効果は……教えてくれないんだろうなぁ。


 テオさんを見ると、相変わらずニコニコしている。こんな胡散臭そうなキャラだったか……。

 理性を失う、という副作用も、どんな欲望があったのか分からなければ意味ないし。言ってくれないんだろうなぁ、と思いながらもそちらを見ると、テオさんからお言葉が。


「君を、解体バラしたくて仕方なかったんだよねぇ」

「……ん?」


 今何か物騒な言葉が聞こえた気が……。

 テオさんはどこか不気味な笑顔を浮かべた後、ハッとして口を塞ぐ。

 え、なんですかその不味いこと言っちゃったみたいなのは。


「あー……。まぁ、こういうこと」

「どういうことなんですか?!」


 解体したいってなんだ解体って!

 私何か悪いことしましたっけ?! わりかし従順でしたよね?!


「男は皆狼だからね、気をつけて」

「意味が違います全男性に謝って下さい」


 男が全員そんな異常者だったら女性がいなくなって人類滅亡するわ。というか何か意味深なこと言って誤魔化しやがりましたねコイツ。

 いや、本当の意味を聞くのも怖いのだが。


「まぁ、私は貴方と一緒にいるのが最善なわけですしね……。精々バラされないように気を付けます」

「おや、補助具を切られただけで叫んでた奴とは思えないね」

「私も日々成長していますので」


 此処では、これぐらい慣れなければいけない。学んだ。あと補助具っていうな神経繋がってるから。

 それにしても、弱いよなぁ。精神面でも、体力面でも。昨日いの一番にダウンしてしまったし……。強くなりたい。


「んん、ランク上げできるいいとこってありませんかね」

「さぁ。この辺の魔物は強いから、もう少し都市に近付いたところで狩りまくれば? 武器何?」

「武器とか、持ってませんよ……」

「……えっマジで」


 驚愕の目で見られる。

 あーはいはいわかりましたそれも親の義務なんですね五歳の頃から持ってるのが当たり前なんでしょう知ってる。


「じゃあ武器を買うとこからか……。銃、剣、弓、杖ならどれがいい?」


 いや、それにも色々種類ありますよね? 見て決めたい。


「私、今日お店に行って適当なの見てきます」

「お金無いのに?」

「大体の見当つけにいくんですよ」

「それなら、出発して三日したところの方がいいよ」

「出発?」


 聞き返すと、どうも私たちはこれからラドル王国というところに行くことになっているそうだ。全然知らなかったが、一番強いのはテオさんなので従うことにする。


「君って馬乗れる?」

「乗馬経験はあります! そこそこ上手かったんですよ」


 そこそこ、は嘘だな。乗馬クラブで全国大会にも行ったことがある。オリンピック目指せばよかった。


「あ、じゃあ飛龍は」

「馬と同じ感覚で龍出すのやめてもらえません??」


 馬は陸、龍は空! 小学生だって知ってるわ!


「そう。ならちょっと時間かかるね。安上がりになるしいいけど」


 ……お金……。

 最初の宿で金貨百枚、その服も返してないし、此処の宿代も払ってもらってるんだろうし、食費もあるだろう。

 全部合わせて、今いくらだ? 返しきれるかな。


「何考えてるか知らないけど、お金はいらないよ。僕にも利益があるから」

「いや、これは私のケジメなので。払わせて下さい」

「称号【聖女】の手に入れ方だけで悋貨りんか二枚は固いと見た」


 悋貨……確か金貨五百枚分だから、千枚?! 十分返せるじゃないですか!


「そ。だから気にしなくていいよ。こっちは稼がせて貰える、君は安全。ウィンウィンってこと」


 えー……。まぁ、いいのか? 損はさせていないみたいだし。

 それにしても、何か戦闘はできないものか……。


「……そうだ、魔法! 魔法なら直ぐに覚えられるんじゃありませんでした?」

「そういえば戦闘系スキルゼロだったね。でもMP多いし危険だからやめといた方が」

「リスクを取らねば! 人は前に進めない! いざ行かん、魔法の道へと!」

「待って待って待って」


 止められる。割と全力で止められたのか、肩がめっちゃ痛い。サロンパス欲しくなる痛さ。


「いいじゃないですか、暴発は危ないですけど、スキルを未だ取得してない状態ならそこまで危険はないって言われましたよ」

「確かにそうだけど……」


 私の言葉に納得はしたもののまだ危ないと考えているのか、渋々同行付きで魔法を習得することを許してもらえた。万歳。


「ここじゃ暴発した時の危険が高い、裏でやろう。あと、買い出しに行ってるウィル君が帰ってくるまでに終わらせるよ」

「はーい!」


 私は素直に従い、部屋を出た。

 ……ら、雰囲気やばそうな所に出た。


 ……え? 私は後ろを振り返る。早くしろ、と目で訴えられるが、それどころではない。

 どうして廊下が大理石なのか。レッドカーペットとか今時流行らんぞビビるのでやめろください。


「ず、随分と……豪華な、宿デスネ?」

「なんで片言なのさ。ここはギルド『夜鴉』の拠点だよ。情報を売って奴隷を買うギルドだから、ある程度の力を見せるために無駄に金使ってんの」

「待て待て」


 情報量過多で死ぬ。

 ギルド『夜鴉』って、確かウィルさんを飼ってた所じゃないですっけ。え、なんでそこに泊まってるんですか。全員殺したとかじゃありませんよね?


「安心して、元から傘下だったんだ。平和的解決をしたよ」

「そうですぅ、テオ様はお優しいんですよぉ」

「ファッ?!」

「はは、酷い声」

「本当にぃ」

「お前は言うな」


 言いたいことは滅茶苦茶あるが、状況整理のためこの際無視する。あとで覚えててください。


 現れたのは、猫耳をつけた人……人……?

 あれ、この世界には獣人というものがいて、それで。

 それとなく尻尾を確認すると、細い尾がゆらゆらと揺れていた。


「ケモミミ?!」

「うひゃあっ」

「ちょ、なにしてんの」


 私は高速で猫耳の前に移動し、それを撫でる。

 うわぁ、ふわっふわだぁ……! 一家に一猫耳欲しい。


「ふわふわ、ふふ……」

「顔やばいけど大丈夫?」

「嫉妬ですかテオ様ぁ? 僕のこの耳の魔力には抗えなかっあふっそこは駄目ぇ!」

「はいはい離れる放れる」


 あー! 私の猫耳ー!

 恨みがましくテオさんを見ると、呆れたような溜息をいただいた。貴様ケモミミの素晴らしさをわかってないな?


 前世がオタクだったというわけではないが、そういう事に詳しい友達が言っていたのだ。ケモミミの触り心地は最高だ、と。

 それに私は、前世では動物アレルギーにかかって動物にろくに触れもしなかったので、これは憧れだったのだ。


「ヴァイス君の耳は後でいくらでも触らせてあげるから。あ、そうだこの辺に空き地ない?」

「ふぅ、ふぅ……久々に素晴らしい撫でっぷりでしたぁ」

「え、もっと撫でさせてくれるって?」

「料金をとりま「この辺に空き地ないか聞いてんだけど」……この通路を右に行った裏口を開けてますぅ」

「どうもありがと」


 ケモミミー! と訳のわからない事を叫ぶアイリを引きずり、テオは廊下を歩く。


「君は真面だと思ってたよ」

「は? この世界の誰よりもマトモですよ」

「自分で言う奴ほど信用ならないんだよなぁ」


 裏口を開ける。

 見渡す限りなにもなく、奥に森が見える程度だ。うん、これなら大丈夫だろうとテオは頷く。

 そこから前に歩き、ギルド拠点から少し離れた所に止まった。


「さてと、どの魔法から行く? 基本の《ファイアーボール》?」

「あ、あれやっぱり基本なんですね。それから行きます」


 神様が見本として見せたのは、やっぱりこの世界ではスタンダードだからだろう。あんな風にできるといいのだけれど。


「まず、魔法が成功した姿を思い浮かべる。次に詠唱する。やってみて」

「……え、それだけですか?」

「それだけ、だよ。力量と才能を見たいから、さっさとやって」


 才能……。え、めっちゃ緊張しますねこれ。

 目を閉じて、神様がやっていたのをイメージする。

 手の平から炎が出て、それがゆらゆらと揺れる。その火はどんどん大きくなって、やがて二人を包み込む。


『スキル《空想》を取得しました』


 そして二人の周りに炎は大きく広がって、どこまでも駆けて行く。ごうごう、ゆらゆら。神様は優雅に佇んでいた。


『スキル《空想》のレベルが上がりました』


 このぐらいでいいのかな。私は詠唱した。


「《ファイアーボール》」

「……ッ《ウォーターウォール》《レイニー》」

『スキル《ファイアーボール》を取得しました』

『スキル《ファイアーボール》のレベルが100上がりました。上級魔法を取得します。スキル《アンチファイアー》《ファイアー》を取得しました』


 私が唱えた瞬間、頭の中の声とテオさんの声が同時に響いた。

 目を開けてスキルの効果を確認する。


「……えっ」

「え、じゃないよ……。スキルが暴発したんだ、この火消せる?」


 私たちの周りには、炎が囲んで燃え盛っていた。

 どこまで奥に続くかわからないその火の熱を、テオさんは確かに感じているらしく、辛そうに顔を歪めていた。

 成る程、スキルの発動者には効かないようにできるのか。


「今は僕と君だけ水で囲んでいるから大丈夫だけど、周辺被害が酷い。僕が魔法使って消そうか?」

「……暴発、してませんよ。イメージ通りです」

「は?」


 え、だって。

 神様はこうやっていたし、イメージ通りだ。


「合っていますよ。こう、私の手から炎が出て、際限なく周りに拡がっていくんです。それこそ、炎と貴方以外何も見えなくなるぐらいまで」


 炎はまだまだ拡まる様で、空すらも、パチパチと爆ぜる火の粉で埋め尽くされている。……あれ、これちょっとやばい?


『スキル《ファイアーボール》のレベルが200上がりました。上級魔法を取得します。スキル《ファイアーウォール》《幻覚》《状態異常付与》を取得しました』

『スキル《アンチファイアー》のレベルが100上がりました。上級魔法を取得します。スキル《状態異常解除》を取得しました』


「……これ以上大きくなったら、手が付けられなくなるかもしれない。君の常識は後で問い詰めるとして、消してもらいらいたいんだけど」

「私の常識に何の関係が、って、あっ」


 思い当たった。思い当たりがありすぎた。

 神様の真似を何故人間がしようとしてしまったのか、とそういう事ですね?

 多分神様は全ての世界において一番の長寿なのだろうから、スキルレベルがカンストしているであろう神様を、私が真似するべきでは無かったのだ。

 しかもあの空間は何処までも何もなかったからいいものの、ここはそういう訳にはいかない。向こうには木々があったし、このまま燃え盛っているのは非常に拙い。

 これスキルを止めるために解除って言った方がいいんですよね? 慣れない内は。


「《解除》」


 私がそう言うのと同時に、周りの炎は嘘みたいに消え去った。

 奥に見えるのは、焼き焦げた森。恐る恐る後ろを振り向くと、ちょっとだけ焦げたギルド《夜鴉》の館が……。

 あ、良かったそこまで深刻じゃない。森は焼けているのに、テオさんが守ってくれたんだろうか。


「うっわぁ……。森は焼き消えると思ってたからいいけど、こうなるとはね」


 テオさんは、後ろを見て絶句していた。

 え、森が焼かれるのは想定してたんですか、止めて下さいよ。というかギルドの方が損害大きいんですか?


「君は知らないかもしれないけど、こういうギルドは簡単に壊されない様に防御装置が付いてるの。大きいギルドほど強力なやつをね。本当なら焼かれてももう少し持つハズなんだけど……魔法の威力が大きすぎて壊れちゃってる」


 カンストした《ファイアーボール》越してる感じだった。慄く様にそう言うテオさんに、私は戦慄する。


 もしあそこでテオさんが抵抗していなかったら、テオさんはそのまま焼かれていたかもしれないのだ。

 私は大丈夫、だってスキルは自分を守るから。けれど、それが誰かに当たったら? 何かを壊してしまったら? 私は責任を取る事が出来るだろうか。この世界で何も力を持っていない、この私が。


「……すみませんでした、以後気をつけます」


 後悔を繰り返すのは愚者のする事だ。

 私は頭を下げ、テオさんに謝る。謝ったことで何があるわけではないけれど、自分のしたことを理解もできないと思われるのは癪だったから。


「え、何が?」


 それに対して、テオさんは短くそう返す。

 私を気遣うとかそういう感じじゃなくて、ただ何を謝られたのかが心底理解できなかったという感じだった。

 顔を上げると、テオさんは見事なキョトン顔をしていた。

 高いであろう服の裾が焼かれ、今も水で手を冷やしている所だというのに、自分が何に謝られたのか本気で理解していないのだ。


「私が、貴方を傷付けてしまう所でした。謝っても仕様がないけれど、ごめんなさい」


 私は再度、謝罪を口にする。

 だってそうだ、危険性を理解していながら、弱い自分に焦って、周りを巻き込んだ。本末転倒だ。


「……あぁ、成る程。別にいいよ、範疇内だ。そういう『契約』で僕らは共にいる。そうだろ?」


 妙に冷めた表情でテオさんは言う。

 いや、そうですけど、そうなんですけど。あれじゃんなんか文句とかあるじゃん。


「あそこで自分の身も守れない様な奴はいらないだろう。もしそんなことになったら、僕を笑うか、そんなのを護衛にした自分を笑うといいよ」


 ……理解できない。いや、できるけれどしたくないと言ったほうが正しいのだろうか。

 護衛は自分の所有物ではないのだ。現代でも自衛隊や警察はいたが、死を覚悟していても、死んだ時に笑われて当たり前、とはならないだろう。自分を守って逝った誰かを笑うなんて、尚更。


「……ありえない、そんな顔してるね。でも実際そうだよ、僕らはもう割り切ってる。ここはそういう場所で、そういう世界だ」


 実力で全てが決まる世界。弱い人が悪くて、騙された人が悪くて、裏切られた人が悪い。そうだ、そういう世界で、これは仕方のない事。異世界から来た私が首を突っ込んでも意味のない事。


 でも、あぁ、なんて勿体ない。

 人というのは、美しく儚く、愛おしいものなんだと。

 そんな事すら、知れないだなんて。


「……わかりました。けど、私は自分のために謝罪をします。ゴメンナサイ」


 私は、それを理解しようともしない彼らに謝る。

 誰かの為に手を差し伸べるのは、悪いことではないと知っているから。

 自分を貫けない場所なんていらないから。

 彼らがそうでも、いや、彼らがそうなら尚更、自分だけは人を愛おしいと思っていたいから。


「君みたいな子は一回痛い目を見なきゃ理解できないもんね」

「偽善者、だとか思ってます? ……でも私は、其処まで優しくはありませんよ」

「自己犠牲精神を誰よりも持ってる。それだけで理由としては十分だ」

「誰よりも、ですか。私がそうしたいと思ったから、そうするだけ。其処に自己犠牲精神などありませんよ」

「……理解できない」


 そうだ。

 一生かかっても理解できないだろう、この人には、この世界の人には。

 人がどんなに愛おしいかなんて、どんなに優しいかなんて、知りはしないのだ。


「根本は、貴方と同じだと思いますけどね。自分に不利益があるのなら見て見ぬ振りをしますが、そうでないのなら手を差し伸べるぐらいしますよ」

「……じゃあなんでウィル君を助けた? そんな必要なかっただろう」

「私に不利益が出ないのならそのぐらい、と思っただけです」

「あの時ウィル君は君を傷つけた。その上、まだ傷つく可能性があったのに、無防備に近寄らせただろう」

「あんなの不利益に入りませんよ」


 アイルがそう言うと、テオは顔を歪ませる。それが可笑しいんだよ、そう呟いた。


 この世界では、体に負傷を負うことは大きなデメリットとなる。いや、ここが如実というだけで、どの世界でもそうだろう。

 けれど彼女は、ことも無げにこう言うのだ。

 こんなもの不利益の内に入らない、と。

 頭が悪い訳ではない。ただ、自分が傷つく可能性があると理解をしていながら、なんでもないことのように、それが当たり前かのように受け入れているのだ。


 自分の為に、誰かを救う。

 自身が傷つくことを厭わない彼女は、この世界で誰よりも異常だ。そう確信できる。


「まぁ、私箱入りみたいなので。少し考え方が違うんでしょうね」

「そう言う問題じゃないと思うよ」


 頭が痛い。箱入りだってそんな優しくはないもんだ。


「気にしないでください、見解の相違は誰にだってあることです」

「そんな可愛いレベルじゃない……」


 きっと彼女は、この世界に生まれてはいけない存在だった。

 彼女とこの世界は、相性が悪すぎる。……いや、だから神にも好かれるのか。誰よりも本気で誰かを想う彼女だから。


「あぁ、そう言えばウィルさんはいつ帰ってくるんですか? それまでに終わらせるんですよね」


 唐突にアイルは話題を変える。どうやらもう話は終わりだと思った様だ。僕は溜息を吐き、正直にそれに答える。


「……帰ってこないよ、三日後にインデル王国で待ち合わせだ。僕はまだ彼を信用してないからね、情報収集を頼んでる」

「普通信用してないなら頼まないと思いますけど」

「逆だよ。僕が雇った間者にも情報を集めて貰ってる。もし一つでも違うことを言ったら、その時点で置いてく」

「手厳しい……」


 一応ウィルさんの主って私ですよね? 完全にテオさんのいいように働かされてません?


「さてと、魔法を覚えて満足したかい? 三日以内にインデルに着かなきゃいけない、そろそろ出たいんだけど」

「拒否権ないんですよねそれいいですよわかってますよ」

「準備はできてるから、防御装置壊したってバレない内に出るよ。どうせ君部屋に何も置いてないでしょ」

「総スルー……。ってそうだ防御装置」

「置いてく。流石に長距離を転移するとなるとMPが心許ないから、馬のある町の外れまで飛ぶよ」

「え、ちょっと待って心が準備できてなイヤァァァァァァ!」


 既視感デジャヴ


 ーーーー


「あ、あれっ?! 防御装置が壊れちゃってますぅ! 何してるんですか奴隷共ぉ!」

「お言葉ですが、我々はこの館を破損できないようにされておりま、あがっ」

「知ってますぅ! 八つ当たり、って言葉知らないんですかぁ、奴隷は!」

「あああアァァッ」


 この後、ヴァイスの八つ当たりで奴隷が数人狩られました。


 ーーーーーー

 異世界の放浪者[アイリ] RANK:10000000~

 種族 人族ヒューマン

 称号 【神に愛されし者】

  【永遠の誓い】

 【蛇神の加護】

 【聖女】

 適正 聖女・貴族

 才能 暗殺者・治癒師ヒーラー

 職業 なし

 スキルポイント:0

 スキル 《幸運》Lv.999

 《飛行》Lv.3

 《恐怖耐性》Lv.10

 《自己暗示》Lv.2

 《思考》Lv.7

 《記録》Lv.3

 《痛覚軽減》Lv.10

 《解放》Lv.1

 《調薬》Lv.1

 《状態異常解除》Lv.1

 《栄光》Lv.1

 《上位治癒》Lv.1

 《蘇生》Lv.1

 《空想》Lv.2

 《ファイアーボール》Lv.300

 《アンチファイアー》Lv.100

 《ファイアー》Lv.1

 《ファイアーウォール》Lv.1

 《幻覚》Lv.1

 《状態異常付与》Lv.1

 《状態異常解除》Lv.1

 ステータスポイント:50

 ステータス:HP 1026/1026

 MP 2400/2400

 SP 204/204

 STR 12

  VIT 10

  DEX 23

    INT 602

  AGI 14

 CHA 652

 状態異常:なし



 主人公ちゃんも大概ヤバい奴です。


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