表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

第零話:幸運スキルとは。

 幸運スキル。

 冒険者のスキルの内の一つで、罠の範囲を縮めるだとか、相手の動作を少し遅らせるといった、非常に地味な効果を発揮するスキルだ。

 あってもなくてもいい、そんなスキル。


 冒険者は皆、このスキルを絶対にとろうとはしない。

 なぜならこのスキル、俗にいう『外れスキル』だからだ。


 スキルレベルが一の時にできるのは、正直言ってほぼない。

 二、三を越えて四になったとき、ようやくスキルが発動する。

 だが、それでもまだまだ。

 スキルレベルが四になったとしても、できるのはたまに相手の行動を遅くする程度の事。

 十までいったら、危機の際に発動して命からがら、何て事もあるが、それでもやはり意図して出来ないため不便だ。

 なんといったって幸運。足を滑らせても転ばなかったのも運だし、暗殺者に殺されそうになって危機一髪助かったのも運。

 このスキルは気まぐれなのだ。


 それからもう一つ、幸運スキルが敬遠された理由。

 それはスキルの成長が遅いことだ。


 昔、このスキルを興味本位で取った賢者がいる。

 賢者というのは、一定のランク以上まで達した人間で、攻撃系でないスキル-----例えばバフ、デバフ効果のあるスキル-----を育てるのを得意とする者のことだ。

 その賢者は、二百二十三まで生き、二百年以上かけて幸運スキルを育てたが、スキルレベルは十二までしか上がらなかった。


 これでわかるだろう。

 二百年でレベル十二。単純計算で、一レベル上げるのに二十年ほどかかる。


 よって、ランクが千上がるごとに一つしか貰えない大事なスキルを、そんなものに費やすわけにはいかないのである。


 スキル≪幸運≫、≪跳躍≫、≪支配≫。

『外れスキル』と呼ばれるそれらは、とらない。取るのはよっぽどの変人か研究者のみ。

 それが常識だった。


 あの日、一人の少女が現れるまでは……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ