1話 プロローグ
今日もまたいつもの日常が始まる。
赤城宮人は毎日が退屈だった。
大抵のことを卒なくこなせる彼は、これまでの人生を平凡に過ごしていた。
変わるきっかけををすべて回避してきた彼は、その実変わるきっかけを探していた。
そのチャンスは、直ぐにやってきた。
「あー、ラスク食べたい。」
宮人は他人に聴かれたら何言ってんだこいつ、と思われかねないことを言いながら歩いていた。
いまは早朝、高校生である彼は学校へと登校中である。
宮人は家が高校から遠いため、いつも一人で登校している。
(あぁ、なにか非日常的なことが起きないかな、あ、ラスク食べたい)
パン屋の前を通り過ぎたとき、その声は聞こえた。
「助けて………!」
とても小さく、どこか遠くで聞こえる声は、パン屋と隣の工場の間にある路地裏から聞こえた。
(マジで…?)
そう思いながらも捨ててあった鉄パイプを拾い、武装する宮人。ノリノリである。
進んでいくと、そこには
少し服がはだけている女の子と、
フードにサングラスにマスクと、どこからどう見ても不審者な男がナイフをもってこっちを見ていた。
(気づかれた…!)
宮人は鉄パイプを大きく振りかぶって構えた。
不審者はなにかをブツブツと呟きながら、フラフラしている。
(クスリでもやっているのか?)
そう思っていると、不審者はおもむろに突っ込んできた。
避けなくては!そう思うが身体が動かない。
このとき宮人は気づいていなかったが、恐怖心で身体が完全にかたまっていたのだ。
ズンッッ
体に走る衝撃、気づくと不審者はすぐ目の前にいて、自分のお腹にはナイフが刺さっていた。
それを知覚する前に身体が動き、鉄パイプを不審者の首めがけて振り下ろしていた。
ボキッと鈍い音がし、不審者は痙攣しながら倒れたが、宮人も出血が著しく倒れた。
女の子は途中で悲鳴をあげて逃げ出していたが、そんなことはどうでもいい。
(以外とあっけなく死ぬんだな、オレって)
薄れゆく意識の中で、宮人はよしなしごと(なぜ古文?)を考えていた。
(刃物って冷たいんだな、だってこんなに寒いし)
(女の子はどうなったのかな…あ、途中で逃げたか、ならいいか)
(あれ?何だか涙が出るな、なんでだ?)
(決まってる、やり残したことがあるからだ)
彼の視界はすでに何もみえていない。
(なにをやり残したんだっけ?)
(極めることだ。なにか一つのことを極めることだ。)
(でも、まぁいいか、あの子も助けたし)
(ただ、もし2度目の人生があるなら)
(全力で、生きよう)
彼の視界は白く染まった。
拙い文章ですが、楽しんで書こうと思いますので、みなさんも楽しめるよう頑張ります!