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VS ソード・ゴブリン

 ちょっとエッチな(やわらかくしたつもりです)表現が、あります。

 ──大丈夫ですかね?


 2月28日 本文の改稿を行いました。

 ソード・ゴブリンの一撃で吹き飛び、女性が気を失った瞬間、藪から駆け出した俺は、その背中に跳び蹴りをぶちこんだ!! テロップを入れるなら、【アスは不意討ちキックを放った!】というところだろう。


『グギャアァァァァ!!』


 武器(ナイフ)ではない一撃だが、ゴブリンどもを倒し、ステータスを奪い、レベルの上がった俺の力は、若干ではあるがヤツ上回っている。

 メリィっとちょっと骨に届きそうな一撃は、女性を倒したと油断していたソード・ゴブリンに痛手を与えた。身長的に、腰より少し上を蹴り抜くのが精一杯だった。

 ヤツはバランスを崩し、orzの形で地面に蹲った。


「──♪ 結構マジで決まったんじゃないか?」


 無意識の内に軽く口笛を吹く。よく分からない呻き声を上げるソード・ゴブリンを横目に、俺は女性の方に駆け寄った。


「──大丈夫か!?」


 気を失っていないもう1人の女性に声をかける。彼女の姿を見た瞬間、オスとしての性衝動(本能)に不覚にも駆られた。顔が好みだったのは、事実である。言い分けはしないし、出来ない。

 ローブを着た女性は、受付のお姉さんに負けず劣らずの爆乳(モノ)を持っていた。それが服を切り裂かれたことにより、惜し気もなく晒されている。

 本来は大切な人にしか見せない"ポッチ"が見えてしまった。


「──あの────」


【このスケべ太郎が! 今は戦闘中です!! ソード・ゴブリンに注意してください!!】


 俺は、ハッとする。一瞬とはいえ、女性の胸をガン見してしまったのだから──。溢れ、逃げ場のない性欲(モノ)を、ソード・ゴブリンに対する怒りに変換する。完全な"八つ当たり"だ。

 後ろを向いて、ガン見したい男心を今は(・ ・)押し堪える。


「──俺が、汗を拭いたヤツだが、それで隠せ」


 腰のベルトに差していたタオルを、広げて女性の胸を隠す。サイズ的には手拭いの2倍くらいの大きさがあるが、彼女には「小さかったかも?」と思ってしまう。

 地面に視線を向けると"あるモノ"が目に入った。


「──これを借りるぞ?」


 戦士風の女性の近くに転がっていたショートソードを手に取って、魔術師っぽい女性に言う。手の中に、ナイフ以上の重みと、熱を感じた。無機質なハズだが??

 剣を構える。ゴブリンから入手した、〈剣技〉のスキルが役立っているのか、重たいハズの剣をしっかりと構えられている。剣先がブレないことに感心する。スキルというモノの重要性がヒシヒシと感じられる。



 ─Side:魔術師っぽい女性──────────


 私は、恋らしい恋も出来ないまま、目の前にいるゴブリンに襲われ、孕まされるのかな──。


 そう思う理由は、目の前にいるゴブリンの集団がいるからである。否応なく、諦めと絶望に染められていく。さらに、絶望を加速させる原因は、ゴブリンたちの中央で剣士の彼女と剣を交わしている"ソード・ゴブリン"である。


 何故このような事態に巻き込まれているのかと言うと、住んでいた村をモンスターが襲い、防衛のため戦った父さんが大ケガを負ったことが始まりでもあった。その治療のために母さんがお金を借りてきた。裕福な家とは言えなかったが、貯えは少しだけはあったが、父さんを治すのには足りなかった──。

 無害を装い、母さんに近寄ってきた金貸しは、真っ黒なところだった。さらに、その金貸しは悪名高い奴隷商と繋がっていた。

 これだけで分かるだろうが、『悪徳金貸し』と言うものだった。金利に関しても暴利であった。


 当然、父さんのケガが治る前に借金は膨大な金額になり、私は奴隷として自分を売るしかない状況に追い込まれた。親子3人で慎ましやかな暮らしだったので、他に対価となるモノは無かった。

 それに、私の顔・体は高級奴隷としても売れるほど、美しく整っている。エルフであることに後悔はないが、エルフを越えた"この胸"に成長したのか? と自問自答することしか出来なかった。


『私は、あの家の息子の性奴隷として、女性の全てを奪われるのだろう──』


 心の中で何度そう思ったことだろうか。もしかしたら裏で、その貴族の息子が手を引いていたのかも知れない。女グセが悪く、金遣いも荒い、貴族としてのプライドの塊であるバカ息子が……。

 何度も私自身に言い聞かせるが、絶望が襲ってくる。明日には、あのバカ息子に処女を奪われると思うとお腹の中が煮え繰り返りそうだ……。


「あまり、暗い顔をしないで──」


 そんな私に声をかけたのは、同じ奴隷の剣士をしている女性。彼女の話では、冒険者だったらしいが、いつのまにか『奴隷契約』をされていたらしい。


「……でも、あの息子は────」


 ………

 ……

 …


 気が付くと、彼女とは仲良く話す間柄になっていた。奴隷になった経緯は違っても、同じような"理不尽"が共通しているからだと思う。私は借金、彼女は不正契約。

 出会ってから3日も経っていないが、旧知の友人のように、または親友のようにお互いが、心の内を話せるようになっていた。

 街に着けば、私は奴隷として貴族のバカ息子に、彼女は護衛用の奴隷として別々の道を歩むことになるのだろう。昔語りで両親から聞いた英雄譚のように、私たちを救っているれる男性が現れないだろうか?


 そんな風に心が不安定になっているときに、私たちがいた商隊はゴブリンの集団に襲われ、今の私は女性としての危機に直面している。ちなみに初めての経験で、恐怖のあまり…………。

 彼女が1人で最後まで戦っている最中、私の目には男の人の顔が見え、彼は何かの仕草をしている。遠すぎてよく見えないが、口の前で人差し指を立てているように見える。たぶん、「静かにしてくれ」と合図しているのだと思うので、私は助けを求めるのを必死でこらえた。


 視界の隅でゴブリンが1匹づつ消えていく。彼がゴブリンを倒し終えたとき、力尽きた彼女は吹き飛ばされる。壁を背にして戦っていたので、壁にぶつかった彼女は気を失った。


『グギャアァァァァ!!』


 突然大きな叫び声を上げ、大きなゴブリンが地面に倒れた。死んではいないようだが、彼が攻撃したのだと直感が告げた。


「──大丈夫か!?」


 彼と目が合った瞬間、身体中が『ビリィ』と雷が走ったように感じた。「もしかしたら、これが初恋かもしれない──」そう思ったが、彼の視線は私の顔から胸に(・ ・)切り替わっていた。

 服が切り裂かれ、見えた胸をガン見(・ ・ ・)されているが、不思議と嫌な感じはない。


「────それで隠せ」


 彼はそういうと、腰に付けていたタオルを私に放り投げた。


 ─────────────────


 あ~~!! 顔が真っ赤になったのを、見られてないよな?


 俺は顔をソード・ゴブリンの方に向け、彼女から見えないようにする。ムダ? 一番俺が分かっている。言わないでくれ!



 ゴブリンがドロップした、短剣(刃は20cmくらい)を腰から引き抜き、逆手で構える。両手の手首をくっつけて、ソード・ゴブリンの出方を待つ。片手剣と短剣の二刀流だ。店で購入した武器を使って"短剣の二刀流"とかも出来たんだが、如何せんリーチがない!!


『グギャァァァァァ!!』


 雄叫びを上げて、ソード・ゴブリンが斬りかかってくる!?

 さっきゴブリンを倒したときは暗殺(まが)いだったので、大きな刃物が向かって来るのは恐怖を煽られる。ビビって逃げ腰になりかけるが、遠巻きに見ていたときと比べて幾分、剣速が落ちている。……何故だ?


【恐らくは、貴方が行った不意討ちが、腰に決まったのが原因でしょう!】


 あれ? そんなところに当たったの!?

 自分の行った不意討ちが、こんなことで効果を表すのは正直、どう反応を返したらいいのか困ってしまう。


【間違いありません!! ただ……オスとしての機能まで、失っていないといいですけど──】


 ──ゾッとするね。自分がしたことだけど!!


 遅い大剣の一撃を目を細めて狙いを定め、剣の腹に短剣を叩き込むことで簡単に剣線を反らす。格闘技などであるパリングという技だ。こんなことが出来るのは、ステータスが上がったからだろう。昔の自分では出来ない!!

 ──もっとも、ゴブリンがドロップしたアイテムが、こういった事(パリング)に適した長さで可能だっただけだろう。


 しかもこの短剣は、片方にしか刃がない……カタナに酷似した形をしている。なんで持ってたんだ? ドロップだから問題なし問題なしっていうのか??


 何度も力の入らない剣撃を短剣で反らし、右に持ったショートソードで切り返すも、決定的な一撃が入らない!!

 失敗しても、何度もトライする。繰り返し、同じ動作を行うことで動きに慣れていく。


 カン! キィン! カン!


 腰が入らず、剣閃の安定しない大剣の前に身を晒す。精神的な疲れの方が、肉体より先にギブアップしてしまいそうだ。

 何度も焦りそうな心を宥め、剣速・行動速度を徐々に上げて行く。大きな一撃はないが、確実に攻撃を当て体力を奪う事を意識する。特に狙い目なのは、腕や脚などの部位である。


『グガァァァァァ!!』


 先に焦ったのはソード・ゴブリンの方で、今まで以上に雑な攻撃をしてきたので、これを逆手にとって首に一撃を加える! 

 スッと真っ直ぐ首に付いた斬り口は「パカッ」っと開き、緑色の鮮血が飛ぶ!


「(──おい! なんでコイツは、血が緑色のなんだよ!?)」


【わかりません。もしかすると、"変異種"の化膿性があります】


「(それに『化膿性』ってなんだよ!? 『可能性』だろ!)」


 そう俺が突っ込むと、これまた酷い反撃がきた!


【全く、貴方のような器の小さい"役立たずなモノ持ち"を、大切に思う奇特な女性はいないでしょうね!】


 酷い言われようだ。お前に血があったら、きっと青い──。


 ズズン!!


 俺とシステムが言い合っている内に、ソード・ゴブリンは限界が来て膝から崩れ、倒れた。『倒した』という余韻に浸るまもなく、その体は粒子となって消えて行く────。その間、俺とシステムは生産性のない言い合いをしていた。

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