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俺のスキルって、意味不明だ!?

 9月6日 LV表示を加えました。


 2月26日 本文の改稿を行いました。

 ギルドで依頼の受付を済ませた俺は、南門に向かって歩いていく。依頼をクリアするだけなら近場の門でも問題はない。何故そこに向かうかだが、入場金の返金をしてもらう為だ。返金手続きは入門記入した場所の方が圧倒的に早いと聞いたからだ。

 昨日の登録時にお姉さんから聞いていたが、精神的な疲れが酷かったのですぐに宿に向かったからだ。(余計に疲れたのは気のせいではない!!)


「すみません。入場金の返金の手続きに来ました」


「……お! 昨日の坊主か! 無事登録出来たんだな!」


 どうやら俺が話し掛けたのは、手続きをしてくれた兵士の兄さんらしい。そんなに特徴的な顔をしているのかな?


「はい! 許可証と、ギルドカードです。確認してください」


 俺はポケットから2つを取り出して、兵士の兄さんに渡す。

 ギルドカードを確認した兄さんは、俺にカードと銀貨1枚を渡してくれた。それをポケットに捩じ込み、「いってきます!」と挨拶をして出掛けた。

 お姉さんや兄さんの話では、薬草は森に入って直ぐのところにあるらしい。情報収集に抜かりは……そう意気込みながら、俺はお姉さんがくれたら紙に目を通し絶句する。


 ……これって、『タンポポの葉っぱ』じゃねえ?


 何度見返しても、細長くギザギザに波打った葉っぱだ。絵に描かれている花も似ている。これは最悪の時には鑑定して貰うしかない!!


【そんな下らない理由で、私を利用しないでください!】


 ギルドを出てから不思議なくらい大人しかった、システムが何故かキレてきた。寝ていたワケではないのだろうが……。


「鑑定しない"鑑定スキル"ってどうなんだろうね? 役立たず? それとも、ただのヒモ??」


 昨日の夜に弄られた事から、俺の中には鬱憤(うっぷん)が溜まっていたのだろう。きつく言う気がないのに言ってしまった。


【私をそんな意思のない、化石と一緒にしないでください!!

 意思を持つ私は、所謂──"神"と同義なのです!! 訂正を求めます!!】


 システムさんがいきなり痛い人? になってしまった!?

 俺のせい? 違うよね?

 誰に問うのでもなく、問いかけている矛盾。

 システムは俺を無視するかのように、ナニやらブツブツ呟いている。俺はそんなシステムから目を反らし、お姉さんから貰った紙をよく読む。


 誰かが言った。『分からなければ、放置しろ!!』と。


「ふむ……"薬草は、根っこも一緒に採取する方がいい"と。なお、『根を傷つけると効能が一気に落ちるから注意して掘り出すように!!』……か」


 森の入り口で最終確認をしたら、薬草を探しながら──いや、足元にあった! 森に入る手前で目的の形をした草が目についた。

 俺はその場にしゃがみこみ、肩から提げていた布袋(スポーツバックくらいの大きさ)から、スコップを取り出した。地球で言う園芸用だが、銀貨1枚と大銅貨5枚(1500円)と結構高かった。鉄製であることが高い理由かもしれない。


 ザクッと地面に刺すつもりで手を動かすと、土は意外とフワフワだったのか、サクッと吸い込まれるように入った。勢いよく掘らないように、ゆっくりと周囲の土に空気を入れ、柔らかい状態にする。土が十分柔らかくなったら、薬草を優しく引き抜く。

 たぶん、普通に掘り返すよりは早いんじゃないかな?


「やっぱり、タンポポだよな?」


 根っこまで引っ張り出した俺は、薬草の全容を見てそう口にした。真っ直ぐな根っこで、これに黄色の花が咲いたら確定だろう。花が枯れたあと、綿毛が出来れば完璧だ。

 足元の薬草を採取したら周囲を見回して、他に無いのを確認する。昼間なのに奥が暗い森の中に注意して入っていく。


「──地面が湿っている場所……」


 清々しい森の中、薬草を探し地面を見ながら歩くと、前方よりガサッと音がしたので正面を向くと、120cmくらいの緑色をした物体がいた。見て驚く。

 意外にマッチョなんだぜ? ちょっとムカっときた。そのオデコからは小さな角が1本生えていた。


「もしかして、冴武躙(ゴブリン)か?」


 ファンタジー系の小説やゲームに出てくる風貌だ。俺は半身になり戦闘体制になるが、肝心のシステムはブツブツ呟いたままで、状況に気付いていない!!

 役に立たないシステムのことを頭の中から消し、目の前にいるゴブリンとの間合いに注意する。少なからずとも武器を所持しているので、油断すると現状では治せないケガを負いそうだ。


「グヤァァァァァ!!」


 愚直に、雄叫びと共に突貫してくるゴブリン。しかし、その手に持つは棍棒とかでなく、小さな錆びたナイフが1本。刃の長さは10cmに満たない。

 こういった荒事は苦手なハズなのに、なんでこんなに冷静なんだ? そんな風に疑問に思った。


 右手に持っているナイフを天高く掲げ、思いっきり上から下に振り下ろそうと力を込めている。

 それを後ろに跳んで回避しようと思ったが、嫌な予感がビシバシと背中や首筋に当たる──いや、"刺さってくる"だろう。その悪寒に従い、俺はゴブリンの左手側に横跳びで側面に回り込むと同時に、ナイフが降り下ろされた!


 ザクッ!!


 ゴブリンの振り下ろしたナイフは、左足が(・ ・ ・)あった(・ ・ ・)場所を中心(・ ・ ・ ・ ・)に削りとられ、それは縦一文字に森の奥に続き1mほど溝が出来ている。それが10cmもないナイフにより、地面に傷痕を生み出されているという事実に体感温度が下がり、心の底から恐怖した。

 しかし、俺の中にあった"戦闘本能"とでも呼べる部分が「あれは、アーツだ!!」と騒いでいる。俺はその言葉に従って、腰に差していたナイフを逆手で抜き取り、ゴブリンがした行動を模倣して振り下ろした! 完全に自棄っぱちだ。


【条件を満たしました。スキル〈ヤってやるぜ!〉が解放されました!】


【スキル〈ヤってやるぜ!〉の効果が発動しました。

 アーツ『飛刃(ヒジン)』を修得しました】


 そんな言葉が俺の脳裏に響くが、そんなことを気にする余裕なんかねえ!! 

 戦闘は"生存本能"を燃え上がらせ、脳を熱く焦がす!


 俺の振り抜いたナイフは、ゴブリンの右手を肘の部分(・ ・ ・ ・)から切り飛ばした。しかし、ナイフがゴブリンに触れた形跡は全くないが。腕を失ったことに、醜く顔を歪め叫び声を上げるゴブリンの横っ腹に、真っ直ぐ蹴りを喰らわせる。所謂、ヤクザキックってやつだ!


「ギャオォォォ!!?」


 ゴブリンは醜く吹っ飛び倒れ、俺は離れ間合いを広げる。痛みを堪えて立ち上がるゴブリンは、残っている左手で右腕を押さえ、俺を濁った瞳で睨み付けている。勝機は俺にあるが、慌てず、油断せず対峙する。

 ある種の極限的な集中により、どれくらいの時間がたったのかは分からないが、ゴブリンの注意が一瞬俺から薄れたのを感じた!! おそらく、大量出血による貧血だろう。


 チャンス!! この機会を逃してなるか! と、俺は力一杯に大地を踏みしめると、全力で飛び上がりゴブリンの首に蹴りをぶちこむ! グチュッという感触の後、ゴリっとした鈍い音が足の裏に響く。この一撃でゴブリンの喉は潰れ、叫ぶことが出来なくなった。


 ゴブリンとの死闘(俺的には)が終わったのは、俺の脳裏にファンファーレがなったときだった。


【パンパカパ~~ン! レベルアップしました!】


 システムとは違う、明るい声──誰? 疑問に思いながらも、俺はステータスの確認をする。


 ──────────

 アス

 15才

 エルフ


 LV2

 HP:26

 MP:54


 力:7(+2)

 体:6(+2)

 速:8(+2)

 魔:18(+4)


 ユニークスキル

【ヤル気セット】

 システム鑑定

 ヤル気

 ヤってやるぜ!

 ??

 ??

 ??


 アーツ『飛刃』


 ──────────


 このステータスが高いのか、低いかは分からないがレベルが上がったことは素直に嬉しい!!

 戦ったゴブリンを見ると姿はなく、そこには『ゴブリンの腰布』と『ビー玉』が落ちていた。ああ、布の方には名札が付いていたんだ。何故に?

 死体が消えるという、なんと言うのか妙にゲームチックな部分に対し「どうなんだ?」と、首を傾げた。そのとき、脳裏にシステムの声が響いた。


【条件を満たしました。スキル〈黄金比はボン・キュ・ボン〉を解放しました】


「なんなんだ? このネーミングは!?」


 ステータスを見るのだが、当然と言うべきか説明文という高尚なモノとかはなく、どういうものかは実際に体験し、何度も確認しないと分からない。


 ────お~い! システムよ! 説明してくれ!!


【……私は──○■……──】


 未だにブツブツ呟いているので、全く役に立たない!

 え!? さっきの声、あんたの声だよね? 疑問だけが増えていく。この疑問、どうやって解決するんだ??


「──う~ん、小説やゲームからすると『魔石』か『魔核(コア)』かな?」


 悩んだ末、ビー玉を指で摘まんで持ち上げ、光に(かざ)すと氷砂糖やアメのように思ってしまった。


 ……喰えないモノじゃないよね?


 誰に言うでもなく、言い訳をする。ビー玉を口に入れ、歯を立てると「プチン!」っと簡単に割れた! この感触は、イクラを彷彿させる。


 ……って、ちょっと待て!! さっき触ったとき、普通に硬かったよな!? アメ玉っぽかったぞ!!


 混乱する俺を放置して、事態は勝手に進む。


【条件を満たしました。スキル〈逝忠気枡(いただきます)〉が解放されました】


【スキル〈いただきます〉が発動しました。魔晶石に封じられた力が解放されます】


【ステータスが適応されましました。スキル〈異種族交配〉〈肉体美〉を修得します】


 怒濤に脳裏に流れる声。俺は躊躇いつつも、ステータスを確認した。



 ─────────────────

 アス

 15才

 エルフ


 LV2

 HP:26

 MP:54


 力:10(+3)

 体:10(+4)

 速:11(+3)

 魔:18(+0)


 ユニークスキル

【ヤル気セット】

 システム鑑定

 ヤル気

 ヤってやるぜ!

 黄金比はボン・キュ・ボン

 逝忠気枡(いただきます)

 ??


 スキル

 〈異種族交配〉 (1/10)

 〈肉体美〉 (1/10)


 アーツ『飛刃』


 ─────────────────


 ──なるほど! どうやら俺は、異色いや……異食の強奪能力があるっぽい。

 こんなときは、システム鑑定の力が必要なんだが──まだ、無理っぽい。増えた数値を見て、勝手に口が動いた。


「ゴブリンって、脳筋なんだな──」


 俺の呟きは、森の中に溶け込んだ。少し休んだら、次を探そう! 依頼はまだ終わらない! あと、4匹!!

 依頼達成状況


 薬草採取 1/5

 ゴブリン討伐 1/5

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