それが、夢か真かは、隣の人が知っている!
新年初の更新となります!
今年もよろしくお願いいたします!!
俺が目覚めたとき、見知らぬ天井が見えた。
目覚めて分からぬ、我が居場所。ああ、此処は何処よ?
慌てた俺は、周囲を見回す。体が重いので、寝返りを打つことが出来ない。何があったのか、思い出そうとするが頭が正常に働いていない。
【やっと目覚めましたか。このクズ男が──全く、何を考えているのやら】
何やら酷い言われようだが、心当たりがない。それよりも、昨夜風呂に入ってからの記憶が曖昧だ。思い出そうとすると、「思い出すんじゃない!!」という本能からの警告が入る。
「「旦那様~」」
俺の体の上、主に胸に辺りから聞こえてきた。この呼び方をするのは、昨日仲間になったシーネとスンだけだ。手をベッドについて体を起こそうとするが、腕が動かない!
その事実に「まさか、呪いか!?」と焦り、重たいながらも動く頭を上げ腕の辺りを確認する。
目に付いたのは、1つ、2つ、3つ、4つ……5つ? 『5つの小山』だった。
何なのか確認する必要はない。この小山の正体は『頭部』である。しかし、数に疑問がある。
──何故、5つなんだ!?
その答えを知っているシステムは教えてはくれない。答えはきっと『失った記憶』にあると思うのだが、手掛かりといえる存在は寝ている。
というか、俺の股間の間で寝ないでほしい!
【このまま行くと、"性狂いの精豪"の称号を獲るのも時間の問題ですね!】
──酷い言いようだ!! 俺は"普通"の男性だ!
【そうですね。男精でしたね】
──ちょっ! おい!!
俺とシステムの言い合いは右に置いて、インキュバスに関して少しだけ説明すると──。
男性の精を奪う"サキュバス"の『男性バージョン』と言える。
サキュバスが男をエッチで殺すなら、インキュバスは女をエッチで殺す感じだ。いい加減な説明になるが、これ以上は"ノクターン行き"になってしまうので割愛させて欲しい。
俺の体の上で寝ている5人が目覚めるまでの間、俺は時間潰しをかねて表情を見ていた。
──簡潔に言って、『満ち足りた表情』ってやつだ。
俺の右手方向から、ルーナ、スン、????、シーネ、メリッサの順番に覆い被さっている。
ちなみにある部分でいうと、大玉、小玉、ペタン、中玉、中玉となる。幸せな柔らかさに、表情筋がだらしなく歪む。
それにしても、中央の人物は誰なのだろうか?? 思い出せる範囲では、見覚えがないのは間違いない。
【クズ男が──】
システムの言葉が脳内で再生された。瞬間、背中に冷たい何かが流れる幻想を感じた。
そんなことないよね!?
誰に確認するのでもなく、俺は心の中で叫んでいた。
しかし、誰も答えてはくれない!
完全に太陽が登ってから、5つの塊は動き出した。真ん中の『ツルペタロリ』以外は知っているメンツだ。誰だろう?
「おっはよ~ん! ダ~リンって、夜も激しいのねん♪」
ちょっと待て、ちょいっと待てぇぃ!!
この喋り方って、1人しか知らないのだけど!? メリッサと同じ中玉持ちの"ビルダー美女"しか!!
目の前でクネクネしているロリっ子を、遠い目で見ていた俺はある事実に気付いた!
昨夜、奴隷妻たちと風呂に入っていたとき、ロリっ子体型のガールが参上した! 信じたくない、信じたくないが俺は暴走していた!!
大・中・小と揃ってしまった奇跡に、"ない"が加わったのだ! 俺としても、前後不覚をとっても仕方がない事態だった。
【ようやく思い出しましたか。この変態が! 何ですか? (*´∀`)ノ とかはしゃぎ回って!!】
なんか、何時もに増して『ツンツン度』が急上昇なんですが? システムさん??
まあ、元から、ツンツンで『デレ』は無かったが。
俺にはシステムが不機嫌な理由が分からない。何か変なことでもしたか?
──まさか……ねぇ? ガールと??
「も~う、お腹の中が一杯ねぃん♪」
リーチ、ツモ、四暗刻──国士無双。
したことはない麻雀が出てきて意味不明な状態だが、どうやら詰んでいたらしい。(知っている人しか通じないだろうが、俺は『どんじゃら』ですら遊んだことがない)
チラリとガールを見ると、肌はツヤツヤ、張りは赤ん坊のようにプリプリ。「輝く卵肌!!」とポップが出た。
間違いなく、俺はやってしまったらしい!
しかも、残りの4人の状態も似たようなもの。やってしまったことは、無かったことには出来ない!!(3人で3Pなら、6P!?)
──記憶のない時の俺は、何を考えているんだ!!
「も~、初めてだったのにぃん♪」
ギルドで見たあの姿では、そうそう食指が動くヤツはいないだろう。
ガツムチではない引き締まり、熟れた肉体ではあるが、それを台無しにする残念な喋り方。
まあ、今でもその喋り方が『残念』なのに変わりがない。それも"幼い少女"が、だ。
「それだけじゃないですけど! 腰抜けにさせられてしまいますから!!」
「昼より、激しかったの……」
シーネの言葉に、腰をトントン叩いているスン。やっちまった感は半端ないが、もう終わったことなのでどうしようもない!!
気まずくなり、彼女たちから視線を反らすと視界に入ったのは、窓の外に見える澄んだ青空だった。
窓から見える空模様は、雲1つない快晴で、俺の混沌とした心境と正反対だ。
色々と賢そうなことを言っているが、現実か目を反らすのは不味いかもしれない。
「あ~、色々と記憶が曖昧なんだが確認のために、昨夜のこととかを聞いておきたい」
「やっぱりそうだったのか……。アス殿の質問には私が、答えよう! ただ、部屋の中で話しているのも時間の無駄になる。
そこで、汗を流して、体を清めるのに『朝風呂』はどうだろうか?」
メリッサの提案に、ベッドの上に座り込んでいた4人が賛成した。俺も汗を流したいので、同行することになった。
昨夜は、かなり激しく暴走したらしいので、今回はしないと思いたい。
時は進み、朝風呂を終えた俺たちは、食堂で朝食を食べている。不気味な笑顔で朝食を置いていったキャンキャンに、少し怯えたのは秘密だ。
ニコニコ笑顔なのはガールだけで、俺は少し落ち込んでいる。ああ、メリッサたち4人は笑顔で話しているよ!
彼女たちに聞いた昨夜の話は、結構な大暴走だった!!
俺自身が、自分を信じられない心境で見ているという、大変貴重な体験をした。
【ロリコンは転んでも、ロリコンです。貴方のした行いは、ペドと変わりませんね!】
──そんなわけあるか! 認めたくはないけど、合意の上だ!!
元から味方ではないシステムだが、追い討ちだけしかしない。たまには、庇って欲しい。毎回、俺の精神を傷つけないで欲しい!
──やったことは、事実だけどさ!!
【さっさと自覚をしなさい!!】
アスの記憶に無い時間に関しては、事後報告的な簡易回想で終わりになります。
無くなっている記憶に関しては「きゃきゃ」「うふふ……」という流れです。