システムが、ヤル気を出した場合
タイトル通り、『システムがヤル気』を出します!
システムが『仕事をしない』が売りの本作、システムが動くとこうなります!
推定身長2m50cm、推定体重100kg近い巨漢を見上げて、この世界で初めての"勝てない!!"という感覚に襲われた。たぶんこの感覚に、間違いはないだろう。
Aランクの冒険者である、えーっと……ボーケン? 何とかと比べるのが、不遜なくらい漠然とした強さを感じる。
何者なんだ? この巨漢は!?
「ガールさん、お帰りなさい」
姉さんはそう言った。"ガールさん"だと!? こんな名前で、男のハズがないよな?
コツンコツンと踵の音が、入り口から聞こえてくる。裏に鋲でも打っているのか! ってくらい、甲高い音が聞こえる。
「やっほー! ネイちゃんも、元気そうでなによりね!」
意外とハスキーボイスだった!! それでも、その声の中には女性らしさが残っている。
【──こうなったら、"奥の手"を使います!】
ピコーン♪
【システムのヤル気を確認──超特殊条件を満たしましたので、スキル【HPスカウター】を入手しました!】
──はい?? ちょっとま……。
【貴女? の全てを暴いてやります!!【HPスカウター】発動!!!!】
俺が止める間もなく、システムはスキルを発動させた。
俺の左目には、小さなスクリーンが浮かび上がった。少し顔を動かすと、顔の動きにつられて上下左右に動いた。連動性があるらしい。
姉さんの方を向くと、スクリーンにターゲットサイトが現れ、数字が動き出した。これってアレじゃねえ? ドラ○ンボー○で出てきた測定器。
『【ネイ】HP34049』
測定が終わったらしく、数値が表れた。"34049"この数字が高いのか、低いのかは分からない。あと、新発見をした。姉さんの名前は、『ネイ』だった。通りでニュアンスの違いがあったわけだ──。
【なるほど! 34049──この数値が、彼女の手強さの現れです!】
──納得しているところ悪いんだが、俺には高いのか、低いのか分かんないのだぜ??
【一般人は高くても、4桁には届きません】
姉さんは一般人ではないと……。──納得しそうになった。
何気無しにガールさんの方を向いた。スカウターの数値が一気に上がり、数字は4桁に止まらず、5桁を突破しようとした!!
その瞬間、スクリーンは爆発した!!
チュ、ドォォォォォォォォォン!!!!
四散したスクリーンが、眼球に刺さった!! イッテェェェェェェェェ!!!!
ゴロゴロと、床の上を転がる。周囲にいた人たちには、何が起きてこうなったのかは分からないだろう。
どれくらいの時間転がっていたのかは分からないが、全体的に服が埃と砂で汚れていた。結構転がっていたことは分かるんだが──。
【特殊条件を満たしました。【ヤル気スキル】LV2のスキルを解放します】
────はい????
システムではない、何時の声に俺は淡白な反応しかできなかった。それよりも、聞き捨てならないことを言っていた!
──"特殊条件"だと……
【スキル〈変態は変態を恥る〉が、解放されました!】
──な、なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
俺は、心の中で大声で叫んだ! ちなみに現在の姿は、地面に両膝をつけ、両手でYの字状態で頭を掴んでいる。
──もちろん、顔は天を見上げている!
血涙が流れ出すのでは? と思ってしまうくらい、俺は絶叫した! ──心の中で。
──Side:ガール─────────
今回も、高難易度の依頼を終えて、拠点の街に戻ってきた。毎度のことながら、私に相応しいボーイを見つけることが出来ない!
私自身が、ランクAの最高峰に近い冒険者である以上、お見合いなんかは多い。
──でも、見つからないの!
別に高望みしいている訳じゃない! 私の全てを受け止めてくれたらいい!
……可能なら、ズビシィ! っと突っ込んでくれたら最高ね!
ギルドの扉を開いたとき、ビビビ……っと来たわ!
これは男乙の直感よ! 間違いないわ!
──最初の印象が、1番大切よ!
「ガールさん、お帰りなさい」
タイミングよく、ネイちゃんが声をかけてくれたわ!
「やっほー! ネイちゃんも、元気そうでなによりね!」
最初はやっぱり、元気よく挨拶する姿からよね!
目の前のボーイったら──私をチラ見したあと、ネイちゃんを見るなんて! 私を焦らしているの!?
そのあと、ボーイったら私をじっと見るの! 3秒くらい?
「め、目が━━━━━━━━━━━━!!!!」
いきなり叫んだら、床を転がるの! ゴロゴロ~って。
もう! ボーイったら、焦らすのが得意ね! 襲って良いかしら?
私は昂るハートを押さえられなかった!
ボーイの姿勢が変わった。両膝をついて『Y』形をしている。誘うポーズかしら?
─────────────────
あまりものショックに固まっている俺。どうしたら、こんな酷いスキルが開眼するんだ!?
──しかし、システムの無情すぎる攻撃は留まるところを知らなかった!
【固有能力 【ヤル気セット】の第2条件の全項目の解放を確認しました。
【ヤル気セット】はLV3に上がり、新たな項目が出現しました】
──うおおぉぉぉぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!
次いで俺は、orzのポーズをギルド内でとってしまう。これでもう、変態の仲間入りだ!?
──違うっての!!!!
俺は恐怖に駆られながらも、ステータスを……特にスキル部分を確認した。
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アス
LV12
HP:644
MP:174
力:164
体:158
速:344
魔:58
ユニークスキル
【ヤル気セット】LV3
システム鑑定 LV3
ヤル気 LV3
ヤってやるぜ! LV3
黄金比はボン・キュ・ボン LV3
逝忠気枡 LV3
黄金率はプニ・ペタ・ストン LV3
俺のモノは俺のモノ、お前の全ては俺のモノ LV3
君の屍を越えて行く LV3
お前の全てで、知らぬものなど無い!! LV3
ご主人様と一緒 LV3
HPスカウター LV3
変態は変態を恥る LV3
??
??
??
??
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スキル
〈異種族交配〉LV3 (3/30)
〈肉体美〉LV3 (3/30)
〈剣技〉LV2 (18/20)
〈自慢の上腕筋〉 (1/10)
〈臭いフェチ〉LV3 (1/30)
〈負け犬の逃げ足〉LV3 (1/30)
〈酒盛・泡盛〉LV2 (10/20)
〈酔いどれ兎の千鳥足〉LV2 (10/20)
アーツ『飛刃』『強撃』『酔拳?』『尻尾をふる』
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──酷い! 酷すぎるよ!! ヘルプミー!!
心の中で嘆きながら、幽鬼のようにフラりと立ち上がる。
【この瞬間を、待ってました!! 【HPスカウター】発動!!!!】
またしても、俺の左目の前に先ほどのディスプレイが現れた!
体は「ビクン!!」と、拒絶反応を示す。
【さあ! ガールを見るのです!!】
嫌なので、放置したかったが、システムがとても五月蝿い! 諦めて、ガールを視界に入れると──。
【9万……15万……20万……まだ、上がるのですか!? 24万……35万──】
実際、40万近かった。しかし、この"HPスカウター"とは何なんだ??
そんな事より、早く寝たい──。もう嫌だ。
しかし、俺の受難はまだまだ序の口であった。
被害者は案の定、アス君ただ1人でした。
巨漢男乙の正体は、もう少し後で!!




