振り向けばそこには── 間幕
シュラントの森編、本日の更新第1弾です!
短いので、夕方にも更新します!(もう1話分を書くのに時間が──)
ちよっとシリアス他人視点です。
私たちはこの森に住む、一族の末裔であり族長の孫娘です。私たちの一族には『男児』がいません。
──正確には『いない』ではなく、『産まれない』ですが。
「お姉ちゃん……私たちは、これからどうなるのかな?」
私に話しかけるのは、1才年下の妹です。妹の悩みは私と同じモノで、それは『種の存続に関わる』ことです。
私たちの一族は『完全女系血統』と呼ばれています。その為、他種族の男を伴侶とします。ただ、伴侶を手に入れたところで余り長い時を共に出来ません。
──だいたい4~5年が良いところです。
私たちの一族にとって、『自分の男を見つける』ことは1種の大人としてのステータスになります。逆を言うと、『自分の男がいない』私たち姉妹は"子供扱い"であり、まだ年若い妹はまだしも、1つ年上の私はいき遅れとして、肩身の狭い思いをしています。
しかし、私たち姉妹は『どんな男でも良いや! さっさと子作りしよう!』という他の一族と同じ考えが出来ません!
キチンとこの目で見て、強く、逞しい男性以外とは結ばれたくありません! その辺りを理解してくれたのは母だけですが、『今年中に、伴侶を見つけられないときは、族長である祖母の選んだ男と夫婦になる』ことを約束させられました。
その為、今日も私たちがこの身全てを捧げてもいい、伴侶を探しています。
「──もう、残り2日……。それでも、諦めたくはないわ!
『誰でもいい』と妥協した夫婦生活を送るより、今の方が楽しいことが多いでしょ?」
「うん、そうだけど──」
私たちの考え方が、一族としては異端なのは理解していますが、『どうでもいい男の子供は、産みたくない』というのが私たちの共通認識になります。
「それに何故か、運命の人に廻り合いそうな気がするの」
「お姉ちゃんのそういった感って、結構当たるから──今回も当たって欲しいな……」
そういって笑いかけてくれる、妹の存在に私の心は救われます。
森深いこの場所には、日があまり射さないのですが、今日この日に限っては妹をキラキラと照らし出していました。
昼を過ぎ、私たちの心には、焦りが見え始めていました。そんな状況でも、神は私たちを見捨ててはいなかったのです!
──私たちにとっての、運命の人を見つけるに至ったのです!
妹と視線で会話すると、気付かれないように後を付けます。チャンスがあれば、襲いかかる予定です。
じっと息を殺していた私たちは願います。
──どうか、幸せな未来がありますように!!