影を斬る
ミサキの影に隠れて蠢いていた怪しい何かは立ち上がり、翼を広げた。
赤く光る目で此方を睨んでいる。
竜斗の中で『そいつ、お前を喰うつもりだぞ!』と叫んだ忍撫の言葉が蘇った。
「そうか。これは夢だから、俺の好きにして良いんだな」
もう躊躇っている暇はない。竜斗の刀が電撃を放った。
翼を広げた妖怪は空中に舞い上がり、竜斗に飛びかかる寸前で雷の直撃を受け、麻痺状態で墜落した。
帯電して周囲に小さな放電を見せながら翼を痙攣させているそいつを結界で包囲し封印する竜斗。
そいつは反転結界の中で周囲に電気火花を放ったかと思うと消滅した。
(俺も少し感電したが、どうにか動ける)
「ミサキ…は大丈夫か?」
「ぅ…うん、大丈夫」
彼女は目を潤ませながら彼を見つめている。
「動けるか?」
「うん…こんな私を…心配してくれて…ありがとう」
彼女は相変わらず裸…に近い姿であるが、隠そうともせず、微笑みながら近づいて来る。
(目を瞑っても無駄か…目瞑って見るのが夢だもんな)
瞼を閉じようと視線を逸らせようと、さっき彼女の裸身を雷光がフラッシュライトのように照らし出した瞬間のイメージが蘇る。
夢と判っていても、ヤバいものはヤバい。手にした刀の光が再び脈動する。
(放電してもスグ急速充電…もう過充電か?)
後ろで忍撫が動く気配。
(はい、金剛鈴ですね…今日はこれまでか…)
予期した通り、鈴の音と共に落雷があり、視界が白くなった。
「『ホワイト・アウト』とは『シロイのがデル』のイミでスか?」
(夢に出て来てまで要らない冗談かよ?トオル!)
目覚めた竜斗はベッドの上だった。
(やれやれ…『シロイの』も鼻血も出ていないようだ…それにしても、どこからが夢だったんだろう?)
錯覚だろうか、未だ全身が痺れるような衝撃の余韻が残っている気がする。
このパートは後日改稿します。




