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2015.6.5 本話加筆改稿、サブタイトル改題。

前話も一部改稿しました。

 そして今夜も竜斗は期待と不安を抱きつつ床に就く。


 以前から毎晩のようにミサキが現れていたが、昨夜も今日の居眠りでも、また忍撫が出て来るようになった。というか、元々忍撫のほうが出るのが先だったのを思い出した。

 悩ましいことに、二人ともエロティックな恰好で迫ってくる。そして、あと少しで隠れている部分が露になるかと思ったら法具に感電して夢は中断してしまう。


 居眠りの時、実物を握っていなくても夢では放電したわけだし、もう握って寝るのは止めよう。でも、エロがエスカレートして鼻血が出過ぎるのも何なので、今夜は枕元へ忍ばせておくことにする。



 果たして、忍撫が現れた。今度はバスタオルではなく、また晒を胴に巻いている。一方の手に木刀、もう一方に金剛鈴を持ち、微笑みながら、チリリン、チリリン…と鈴を鳴らす。

 ならば…と、竜斗は右手に刀、左手に金剛杵を握った。どうせ感電するなら電圧(ボルテージ)が上がる前に…と思い、自分から法具に刀を近付ける。金剛杵が刀に放電するが、気絶するほどの電撃ではない。

 思い切って金剛杵の一端に刀の柄頭(つかがしら)を接触させた。青白い電気火花(スパーク)を散らしながら刀は金色に輝く。一瞬、視界が白い光に覆われた。

 気がつくと法具と刀が融合し、(つか)が五鈷杵になった刀を手にした竜斗が其処にいた。

 忍撫の姿は消えていた。


 忍撫と入れ替わるように、ミサキが現れた。竜斗の期待通りだが、ミサキの様子がいつもと違う。彼女は長い黒髪を靡かせながら舞い降りる。彼女が姿を見せる直前、ぶぁさぁっと、鳥が羽撃く音が聞こえたような気がした。

 艷然と微笑みながら、恐る恐る竜斗の刀に触れようとする彼女の魔眼が赤く光っている。


 ミサキだけれど、ミサキじゃない。そう直感した竜斗は新しい刀を振り下ろした。電撃が走り、彼女の幻影を掻き消した。

 切り裂かれた彼女の影は、無数の蝙蝠(コウモリ)になって飛び散り、夜空の闇に溶けるように消えて行った。


 脈打ちながら光る刀を握ったまま、彼自身の意識も其処から離れてゆく。



 気が付けば、夢から目覚めていた。

 エロティックな要素は期待したほどではなかったが、新しい刀を得た満足感、何かを達成したような感覚があった。

 それでも彼は、やはり勃っていた。



 その朝、背後から忍撫の足音。彼女はもう気配を隠そうとしない。木刀を構えようとも金剛鈴を鳴らそうともせず、ただ微笑んでいる。

「オッス、忍撫」

「よう、竜斗」

「昨夜は夢見なかったか?」

「さあ、どうかな?」

「覚えてないか」

「竜斗は見たのか?」

「まあな」

「またオレが出てきたのか」

「たぶんな…」

「何をニヤニヤしている?」

「へへへ。あの刀を見せてやろうか…」

 って、露出狂の台詞みたいだな。朝から新しい刀の幻影を出すのは興が乗らないというか、エロが無いと刀が出せない…エロパワーをマジカルパワーに変換する(スキル)を体得できたみたいなんだが…


「何を独りで言うておるのだ?竜斗」

「ぃゃ…それはそうと、もう斬りかかって来ないのか?」

「ん?竜斗は強いからな。それに、焦らなくても『婿』は確定したようなものだし…」

「何だって?」

「また照れておるのか、はっはっは」


 何となく話が噛み合わない。恐らく、昨夜の夢は忍撫と共有しなかったということだろう。

 夢に出た忍撫は本人と何処かで繋がっていたかもしれないし、忍撫の姿を借りた別の何かなのかも知れない。けれど、これまでエロスに惑わされて削られていたSAN値を忍撫の金剛鈴が回復してくれたというか、彼女のお陰で新しくスキルを得られたように思うんだが。



 朝の教室に、竜斗やトオルより少し遅れてアトミが入ってきた。

「ぉはょぅ…」

「オッス。ん?何だか顔色がイマイチみたいな?」

「ぇ、ちょっと寝不足かな…」


 昨夜も魔術に挑んだ倉城姉妹である。

 魔導書の代替として魔法陣の携帯画像が使えるか試したかった彼女達は、慎重に実験を重ねていた。最初は画像を一瞥しただけで自らの魔眼を閉じて魔導書をイメージし、少しづつ魔法陣を見る時間を長くしてゆき、十分な感触があったところで呪文を詠唱した。

 法具を手にしたことで彼のエロスが暴走し難くなったのは知っている。もう少し大胆になっても良いかも知れないが、刺激が強すぎても夢が覚めてしまう。迷いながらミサキが彼の夢を探ろうとすると抵抗を感じた。

 夢に同調すると、刀を持った彼が見えたのだが、刀が放つ光に圧力があり、気を抜くと吹き飛ばされそうだ。どうにか彼に近付き、その刀に触れようとしたところで電撃に弾かれた。記憶はそこまでだ。

 夢に同調しようとした妹も、それを読み取ろうとした姉も消耗が激しく、目覚めても疲れが残る朝だった。姉妹二人とも目が充血している。


「今日は私が居眠りしそうだわ…」


 昨夜の夢で見たミサキが異様というか、ミサキの姿をした異様な何かを夢に見たことが気に掛かっていた竜斗は、隣の教室の彼女の気配を探ってみた。アトミと同様に眠そうにしているらしいのが判っただけで、姉妹が彼の夢に介入していることを未だ知らなかった。


2015.6.7 一部改稿および改題。

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