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電光石火

前話に加筆して分割しました。

12.9 加筆および改題。

 竜斗達と分かれ、帰宅途中の姉妹。


「彼、どんどん凄くなってくるわね」

「マジ半端ないわね。あんな刀とか出されたら、カァさんなんて吹っ飛ばされそうだわ」

「死ぬかも…いっそこのまま、もっと強くなってくれれば、彼が家に近づくだけで気絶して会わずに済むとか…」


 妖しい母の正体が明らかになる前に、気絶するか眠るかしてくれた方が有難い…。苦笑する姉妹だった。




 帰宅した竜斗は夕食の後、独り道場に座り、イメージトレーニングを始めた。より早く、より正確に、鋭い刃を展開できるようになりたい。所謂「居合い斬り」みたいなイメージだ。

 竜斗の場合は居合(いあい)というより立合(たちあい)で、鞘からの抜刀も納刀も不要なので、居合術・抜刀術の作法を習いたい訳でないが、刀をコントロールする技法は学んでみたい。

 兎に角、即座にリアルにイメージ出来れば良い筈なんだが…。


「なんじゃ、『居合』の真似か?」


 後ろから祖父の声がした。竜斗が振り返ると、祖父がニヤリと口角を上げ、腰から刀を抜く格好をした。

 引き抜かれる『刀』が見える。そのまま横真一文字に、刃が竜斗の首を襲う。躱す余裕も無い竜斗は咄嗟に自分の刀を出して受け流す。

 祖父の刀が自分の刀に食い込むのを右手に感じながら左手で床をついて立ち上がった。


「首を刎ね損なったか。…手加減してやったからの」


 祖父は刀を腰の鞘に納める格好をし、背中を向けた。背後から斬りつけたい衝動に駆られる竜斗だが、手が出せない。素手で転がされる自分しか予想できない。


『後は自分で鍛練しておけ』そう背中で語って立ち去る祖父。


 気配も無しに急に現れ、もう居なくなった。もしかしたら、また守護神か?・・・ま、どっちでもいいや。あの剣を出し入れするスピードを見習おう。

 ともかく、俺も瞬時に刀を出せたんだ。


 その夜、竜斗は何時ねたのか覚えていない。ひたすら刀を出したり消したりするイメージを反復していた。

 イメージがリアルになって刀の重みを感じ、刃の輝きを確かめる。

 より早く、より正確に・・・そうか、必要なだけ出せれば省エネになって、HPの消耗を抑えられそうだ。

 この剣技に『電光石火乃剣(ライトニング・ソード)』…なんて厨二的なネーミングをしたてみたり・・・そんなことを考えているうちに目が覚めた。何処からが夢だったのだろうか。

 俺の刀はまた反り立ち…以下省略。



 翌朝の登校途中、今朝も竜斗の背後から忍びよる気配。 


 相手が忍撫だと判ると、つい無遠慮になる竜斗は、振り返り様に幻の刀を出して斬りつける振りをする。

 思わず木刀で受けようとする忍撫。身体が反射的に動いてしまったが、(にわか)に何が起きたのか理解できずに固まってしまう。


 忍撫が見ると、竜斗は素手で残心を決めているが…

「いま一瞬、真剣のような・・・気のせいか?」

 彼女の言葉に驚く竜斗。

「もしかして、刀が見えたのか?」

「ょよく分からんが、幻術でも使ったのか?」

「最近ちょっと…剣術に興味があって…刀で斬るイメージを強くしてみただけだが」

 嘘は言っていない。

「オレの錯覚か?」

「多分な…」

 毎日、剣道に打ち込んでいる忍撫だからこそ無意識に反応したのだろうが、反応させてしまう俺様スゲー…で、ニヤけてしまう竜斗。

 笑顔を向けられた忍撫は単純に嬉しくなってしまう。


「竜斗の想いがオレに通じたということか」

「そ…ぅ、言えなくもない…のかな?」

 また、やっちまったか…竜斗は不味い予感がして表情を強ばらせるが、忍撫は満面の笑みである。

「竜斗!結納は何時にする?」

「何でそうなる?」

「二人の想いが通じ合った証拠ではないか!」

 やはり最強なのは忍撫だ。 


「イツモナガラ、ウマヤラシイ…」

 今日もトオルに幻の刀は見えていない。



 朝の教室に入って来た竜斗は、何処か浮かれている。

 ほんの一瞬だったが、竜斗が想い描いたイメージを忍撫に見せることができた。そのことに思いの外、気分が高揚している。


 竜斗の感情を読み取ったアトミが囁く。

「矢的さんに関わることで何か嬉しいことがあったのかしら」

 いや、まぁ、剣の技が上手くできて気を良くしただけなんだが…

「それを矢的さんに見てもらえて嬉しかったみたいね…」

 否定はしない。アトミの魔眼は騙せない。

「良いのよ。でも、ミサキのこともよろしく…」

 ま、俺の刀が見えたのは、アトミさんやミサキさんが先だったけど。

「そろそろ『さん』付けは止めてくれて良いのよ」


 アトミは思った。矢的忍撫(やまとしのぶ)、侮り難し。

 ミサキもオカルト的世界の感覚を共有できたことで彼との距離が縮まったと喜んでいたら、そういう方面のセンスが忍撫にもあったとは予想外だ。

 最初から幼馴染の属性で潜在的に向こうが一歩リード。あのポジティブな天然キャラと対比すると、ミサキはネガティブなドジッ娘。胸の大きさとかで男子を惹き付けるエロスは負けていないと思う。向こうの筋肉質な身体を竜斗がどう評価するかは不確定だが、武道に打ち込む姿に共感できるというアドバンテージがある。

 今は未だ自称オレの男前女子のキャラに圧倒されて竜斗は引き気味だが、幼馴染は恋愛対象として意識しづらいとか言う脆弱な障壁が崩壊するのも時間の問題な気がする。攻略は早い方が良い。頑張れミサキ。


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