強くなったかすみ
「どうしたの?舟橋先生とか心配してる」
いつもはニヤニヤしながら話しかけてくるのに、今日は真顔だった。
「いやぁーなんでもないですよ!ハハッ!」
「嘘だ。」
笑って誤魔化そうと思ったが即答で突っ込まれた。
「下の青いドアの部屋で待ってるからこい。」
「…嫌ですよ。」
「いいから。田島さんはここの塾の生徒でしょ?先生たちが心配して当然なんだよ。」
そう言い残して佐澤先生は下の階へと消えていった。
真面目な先生なんか話せる内容でないと思った。
受験生の癖に男ともめるていることが舟橋先生にバレたら大変ことになるとも思った。
かすみは荷物を持って立ち上がった。
疲れがたまっているせいかやけに荷物が重く感じた。とりあえず、下に降りて佐澤先生と舟橋先生に謝るべきだと思ったからだ。
かすみは階段を転ばないように降りようと、慎重に足を踏み出した。
ートントン
かすみは肩を叩かれた。
振り返ると赤川先生が爽やかな笑顔をふりまいていた。
「帰るの?さようなら!」
「さ、さようならっ!」
かすみは赤川先生に腫れた目を気付かれたくなかったため、急いで階段から降りて行った。
なんだか耳が熱くなったように感じた。
階段を降りると、佐澤先生が待っていた。
「田島さーん。遅いよ」
とツンツンしたあと
「でも、来てくれて良かった!」
と笑いかけた。
かすみは佐澤先生のツンデレに少し困惑したが、佐澤先生の優しさが胸にしみたのも事実だ。
きっと結衣は佐澤先生の細かな優しさが好きなんだろうな、と思ったかすみであった。
結局はかすみは佐澤先生に質問攻めに合い、ありのままを話すことになった。
全て話し終えると、佐澤先生は舟橋先生には秘密にしてくれると自ら誓ってくれた。
「田島さんは、もうそんなやつ放っておいて正解。男として最低だな。」
そう冷たい口調でつぶやいてた。
とっさに
「もう、大丈夫だと…思います!ほんとにすみませんでした!」
と言い、かすみは深々とお辞儀をした。
「うん…!まぁ受験生だしな、ちゃんと勉強しろ!」
いつもの佐澤先生のテンションでかすみに笑いかけた。
青いドアの部屋をでると、坂貫と高林がかすみを待っていた。
「送ってやれよー」
佐澤先生はニヤニヤしながら坂貫と高林に言い職員室へと消えた。
坂貫はいつも通り
「田島ー!後ろのれよ」
と言い
高林もいつも通り
ニヤニヤしながらうなずいた。
かすみは心の中で誓った。
もう決して泣きません、と。