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スキマ産業奮闘記―In The Cradle  作者: 狩山 宿
Ⅰ. 揺籠と社会人
16/63

Act 16


そのあと状態異常抑制効果のあるアクセサリー「深緑の証」をシバが一つ完成させ、それはエトの手に渡った。

全員分の装備につけられるものは加護もつけ、余分な材料も売れるだけは売った。

シバの努力の結晶であるHP回復薬『平癒丸』及びMP回復薬『滋養丸』も全員に十分いきわたった。手軽に戦闘中も利用でき、効果のほどもそれなりなのだが、難を言えば味が微妙なため一瞬飲むのに躊躇ってしまう、というデメリットがある。

なので、苦心したシバがどうにか新しい薬草やらアイテムを加えてシトラスな香りを放つようにしたらしいのだが、そんなもの何の慰めにもならない、とハルタチが呟いていた。ついでに言うと、そのあとすぐさまシバがすごい勢いでハルタチのほっぺたを突いたのはご愛嬌である。

クエストの報告も済ませて、経験値も得ることが出来た。生産に伴う新たなスキルも覚え、皆の気力も十分である。

ここまでで彼らのレベル、スキルはこのようになった。



名称:スピネル・ヤーディク

種族:ライカ・ヒュー(獣人)

Level:12

HP:620

MP:120

Str 47

Dex 42

Int 14

Vit 32

Agi 30

Luc 33


装備:ワークグローブ、スケイルレザーアーマー(加護)、ワークブーツ

武器:バッシュピック+

補助装備:鍛冶師の一打


戦闘スキル:ストライク、フルスイング、ツインブレイク、スタンプ

補助スキル:ステップ、気配察知、初級武器・鎧鑑定師、鍛冶師



名称:ハルタチ・ノーム

種族:ノスタ・フェアル(鬼精)

Level:13

HP:350

MP:720

Str 17

Dex 33

Int 57

Vit 25

Agi 32

Luc 38


装備:ワークグローブ、レザーローブ(加護)、ワークブーツ

補助装備:フェアルリング(無属性)


戦闘スキル:ファイア中級、ウォート初級、グラン初級、ウィンデ初級

補助スキル:マギ・エクスプロード、悪運の所作、鬼精魔導



名称:シバ・ロキノ

種族:フェアル・ヒュー(半妖精)

Level:12

HP:400

MP:380

Str 17

Dex 42

Int 42

Vit 28

Agi 40

Luc 30


装備:ワークグローブ、レザークロス(加護)、ワークブーツ

武器:光の魔杖


戦闘スキル:ウォート初級、ウィンデ初級、治癒魔術初級

補助スキル:初級鑑定士、森の声、薬師



名称:エト・ラビットハート

種族:ノスタ・ライカ(獣鬼)

Level:13

HP:740

MP:115

Str 47

Dex 33

Int 12

Vit 50

Agi 34

Luc 29


装備:ワークグローブ、ライトアーマー+ (加護)、ワークブーツ

武器:ブラスナックル

補助装備:深緑の証


戦闘スキル:受け身、迫撃、回し蹴り

補助スキル:気功術、狂獣化、気配察知



そういうわけで、お互いに情報提供した後は、恒例のミーティングである。

「ふぅむ。Lv12~13か。シエンダ洞穴ももういけるかな?」

シバが腕組みをしながら思案すると、エトは少しだけ沈黙してからこう答えた。

「入口辺りで戦って様子を見るっていうのはありだと思う。奥まで入らなければ、いざというとき逃げられるしな」

機関でクエスト一覧も見てきたよ、とエトが可視化したリストを出す。

またしても用意周到な頼れる兄貴分である。

「ふむ。『ケイブバット』の討伐、『ルインラクナル』退治、『ロックスライム』殲滅の三種類が比較的簡単ですかね」

見た感じはそうだな、とエトが頷いた。

「なー、そういえばなんだけど。ダンジョン内の地図ってあんの?」

「ないから奥まで入ると危ないって話」

あー、なるほどね、とハルタチは呟いたが、

「迷子になりそう」

しかめ面をしてそんなことを不穏気にいうものだから、無性に不安にさせられる。

「まあ、最初のほうのダンジョンだ、迷うようなマップじゃあないだろう」

「で、ですよね?」

スピネルもどことなく居心地の悪い落ち着かなさを感じて戸惑っていた。

まさか、迷うことはあるまい、でも迷ったら‥‥‥

「うーん。最悪『死に戻り』だねえ」

あっけらかんとシバが言う。しかしデスペナルティーによる経験値の減少は痛いし、当然、死ぬような傷を受けるならば多少なりとも物理的な痛みもある。出来るだけ死に戻りは避けたいところだ。

「マップ作成系の補助スキルとかってないの?」

「あー。それISであるみたいだけどな」

俺たちのうちの誰がそれを取得できると思う?というハルタチの問いに答えられるものは、生憎誰もいないのであった。

「うぐっ。残念だが諦めるしかないのね」

「ああ‥‥‥本当に悲しいお知らせだな」

エトも額を抑え、やれやれ、と首を振った。

地図がある場合、彼らはそれらを活用するのは得意なのだ。

しかし一から地図を作って、それが実用に堪える正しいものになってくれるかどうかというと完全に疑問になってくる。

「仕方ないよ、諦めて浅い階層で最初は遊ぼう。でもあとで受けに行くのもめんどくさいから、制限時間のないクエストは全部受ける感じで」

了解、とめいめいが頷く。

「そうだ、あとみんなもう知ってるかもしれないけど。インフォボードって知ってる?」

シバが小首を傾げながら問いかける。

「あぁ、メニューのです?」

スピネルがメニューを立ち上げ、白く表示されているインフォボードのコマンドを見る。

「使ったことある?」

「いえ。興味もなかったです」

見てみー、とシバが促すので、ふむ、と全員が一先ずインフォボードを立ち上げると。

「へ。他のキャラクターの情報ですかこれ」


――『ソロ「レクスタ」が南の森のレアMOB「フォレスタディア」を撃破しました』

――『ソロ「レクスタ」は「ハイジャンプ」をラーニングしました』

――『PT「ユウヤ」他2名が街道でネームドMOB「アグルナー」を撃破しました』

――『ソロ「夜弦」がLv3レア武器「グレイハウンダー」を作成しました』

――『PT「マティア」他1名がシエンダ洞窟で5回目のクエストを達成、報告しました』


そしてそれらは見ている間にもぽつぽつと増えていく。

「そうみたいなんだよ、意外とこれで結構な情報が手に入るもんだから、アラーム設定しといてね、結構重要度レベルの高い情報をお知らせしてくれるようにしたんさー」

にひっとシバは笑う。

「こいつでリアルな情報を随時見れるから、結構このMOBはこのレベルでも勝てるんだなーとか、こういうスキルもあるんだなーとかがわかるんだよね」

確かに、プレイヤーの文字を詳細表示すると種族とレベルがわかるようになっている。

「確かに参考になるなあ」

ハルタチがほー、と感心した声を上げながらざらざらとリストを見渡していく。

「俺らのもあるね」


――『PT「エト」他3名がレアMOB「クォータリズ・ヘッド」を撃破しました』


あれ、レアだったんですね、とスピネルが今更のように驚く。

苦労したなあ、などという苦笑いも今は少し優しい。

「そういうわけでこれからはちょいちょい参考にしていこうと思いますぜ」

「オッケー。じゃあシバまかせた」

あいよー、とシバが元気よく答える。

「そんじゃあ、試し狩りといこうか」

「あ」

エトが行こうか、という言葉をつづける前に、ハルタチの不穏な呟きがそれを止める。

「‥‥‥何が」

狼面の不機嫌そうな表情で、そこそこな威圧感を放ちながらの問いである。

一瞬たじろぎながらも、しかしハルタチはきちんと言うべきことを続けた。

「洞穴って狭いよな?」

「だから?」

「‥‥‥ごめんな。うん。俺、気を付けるわ」

何に、とは言わないけれどもわかる。

気配察知が大活躍しそうな予感をひしひしと感じつつ、前衛二人がうっかりため息をついてしまったのを誰も咎めることはできないのである。



で、ダンジョンに入るかと思ったらミーティングでした。

ホウレンソウは社会人の基本なのです。


HP、MPは装備の補正を受けているので数値的にはかなり上がっています。

補助スキルですが、詳細に説明せず出てきているものは種族補正やらなんやらかんやら噛んでいますが、実は作中でそれらを匂わせる描写がそれとなーく散らばっていたり。


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