Act 12
バトルが終わりまして、新展開です。
*
「さて、アイテムの換金をしなきゃいかんな」
「クエストの報告もですね」
四人は再びログインし、宿屋のロビーで作戦会議をしていた。
「使えそうなのは取っとかなきゃいけないだろう。晶石は何になる?」
「魔法系の生産で使うみたいです。私は今のところ必要じゃないですねえ」
スピネルが言うと、なるほど、とエトは頷いた。
「それなら、シバ。使えるか?」
エトの問いかけにうーん、とシバは少し考え、頷いた。
「そうですね、フェアルヒューだと魔具も作れるみたいだし、上げてもいいかな。適正があるかだけ試します」
「わかった。モンスター素材は討伐証明品以外は今のところ最低限残して売ろう。レベルも上がったし装備もきっちりそろえたいしな。今のままでダンジョンに行くと敵のレベルも高いだろうし、危ない。ところで、装備は作るか、買うかどうする?」
ふむ、とそこで若干沈黙が入る。
「コストパフォーマンス的には作ったほうがいいよね」
「材料とスキルが問題なだけで」
「‥‥‥えっと、じゃあ」
そこでおずおずとスピネルが手を挙げた。すると、まるで教師のようにピシッと指を指してハルタチがスピネルを指す。
「はい、スピネルさん」
「あっ、あのー‥‥‥相談なんですけど。もし、いいんでしたら、私生産系の熟練度上げをしたいなーと思ってまして」
ああ、そういえばそうだったねえ、とシバがのほほんと言う。
「生産したいって言ってたもんね」
「それで、皆さん急いでないんなら個人的に熟練度を上げにちょっと一人でふらっとしてきたいんですが」
「おー、なるほどね。そうだな、急ぎじゃないもんなあ」
とんとん、と足でリズムを刻みながら考え込むハルタチ。
すると、はーい、とスピネルを真似して元気よくシバも手を上げる。
「じゃあ私も便乗。今回の戦闘で思ったのが、結構修羅場になると回復が間に合わないってことなんだけどさ。ポーション買ってるとお金がないよね。でもね、MP的にもかなりの負担だし、三人分見ながら自分の立ち位置考えながら、ってのは本当に無理ってのがわかった。だから私、調薬スキルの熟練度上げたいんだ。回復系の丸薬持てると違うじゃない、やっぱ」
あー、とそれぞれが渋い声を上げた。
「きつかっただろ。悪かったな」
「いやー、もう途中からどうしようかと」
遠い目をするシバ。一人には手に余る負担、さぞかし荷が重かったことだろう。
二人の意見を加味し、思考の海に沈むハルタチは、軽く唸りながらとんとん、とん、と足を鳴らす。
それからしばし経って、考えが纏まったのだろう、よし、とハルタチはいい笑顔で手を叩き合わせた。
「――わかった。そんなら、みんなで材料集めしてスキル上げにしようか、次」
へ、とスピネルが間の抜けた声を上げる。
「だってさ、装備はいる、熟練度も上げたい、だろ。お金もいるわけだからついでに採取系のクエスト受けて、生産スキル上げつつお金稼ぎつつ装備作る。クエストクリアで若干ボーナス経験値も入る。いい感じじゃね?」
「確かに」
「そうだねえ。スッピーに装備作ってもらえるんなら助かるもんなぁ。たのむぜー」
「シバさんもスッピーって言い出した‥‥‥」
これは定着するな、いや、したな、と思いつつ、素敵な諦めスマイル浮かべてスピネルは切なく呟いた。
「生産系のスキルって何あるの?」
「あ、武器と防具に関わるのは鍛冶と加工です。魔法補助の道具を作るなら魔工と調薬がいると思います」
「なる。ついでにシバ、魔工も上げちゃえば?」
「うん、適性があって、材料が集まればね」
じゃ、決まりで、とハルタチが言ってマップを出す。
「俺とスッピーで金属系素材を取りに行って、うさちゃん先輩とチビシバが木材系取りに行けばバランス良いんじゃね。木材は森だろ、街道ちょっと右にそれれば採掘ポイントがあるっていうし、ここならレベル帯も全然余裕だ」
「意見には大体賛成だが、うさちゃん言うなよ‥‥‥」
「ちっちゃくないし!それほどでもないしっ」
全力のツッコミをすべて涼しい顔で受け流すハルタチ。これもある意味ISなのではないかとスピネルは訝る。ちなみにスピネルはもう何も言わなかった。何も言えなかった、ともいう。
*
雑貨屋で伐採用の斧と採掘用のつるはしを買い込んだ後、彼らは二グループに分かれてそれぞれのポイントへと歩いて行った。
時々飛び込んでくる森の獣たちをさばきながら、エトは樵と化し、シバは全力で森の中の薬草という薬草をもぎ取った。フェアルヒュー故に森の中でのアイテムドロップに補正があるらしい。一度戻った時には恐ろしいほどの種類と量の草がインベントリを埋め尽くしていた。
一方のハルタチとスピネルだが、こちらの方も面白いことになっていた。打撃系武器を使い続けるライカ系のスピネルは、つるはしをまるで体の一部のように振るいまくり、ありえない能率で作業をかましたのである。
「いっそこれを本業にしてしまったら素敵なことになるかもしれません!」
そんな伝説に残りそうな発言をし、高笑いをする彼女は非常に素晴らしく輝いて見えた、とはハルタチ談である。
で、ハルタチはというと、全くSTRがないというのに結構いい確率で鉱石を見つけるので、そこそこいい分量の素材が集まる。しかも宝石の原石を数種類発見までしていた。Lucが妙に高いので、それかもしれないな、とスピネルと話したが詳しい理由はよくわからない。
あと、最後のほうは飽きてきたらしく周囲のモンスターを蹴散らしていたら晶石をこれまたいっぱい拾っていた。ここまで考えてこっちの方がいいや、と採掘を選んだのなら大したものだとは思うのだが、当の本人は間違いなくそれほど考えずにいたのだろうから、手放しですごいと言えないところがなんともいえない。まさしくハルタチらしい話である。
*
生産は楽しいです。
材料を必死で集めて、集めて、集まらなくて苦労の果てにやっと作れたときなんかはもう、しばらくはしゃぎます。
レアドロップなんかも魅力的ですけど、自分の努力の果てに苦労が実る感じが個人的には好きですね。
鉱石は現状、鉄、銅、錫、亜鉛がドロップ出来ています。
錫と亜鉛は合金用です。
鉄や銅などは素材を大量に用いて何かを作成すると、純鉄、純銅という具合にランクアップした素材になります。




