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本当にこんな人いるんだな。
俺よりふたつも上のはずなのに。
「……君。今、私を見て小学生だとか言わなかったか?」
筆を置いて立ち上がった間宮藍太郎が俺を見上げている。
咎めるように寄せられた眉根。
心なしか潤んだ瞳。
この高校へ来て初めて自分よりも小さい生徒に出会った。
身長なんて、150センチちょいくらいしか無いんじゃなかろうか。
本人は責めているつもりなんだろうが、正直、拗ねた子供にしか見えない。
どうしよう。
ちょっと可愛い。どうしよう。
「……秋ちゃん? 大丈夫? 何かかつて無いくらいに目が輝いてるんだけど」
「はっ! えっ!? だっ、大丈夫、大丈夫。俺は健全ですっ」
広瀬碧の訝るような声で我にかえる。
あっ、危ない危ない。
男子高校生を可愛いと思うだなんて、思考が広瀬化している。
……でも、
「ちょっと、聞いているのか? 私を無視するな。無礼だろう。大体、君は誰だ」
腰に手を当てて小さく鼻を鳴らす彼は、やっぱり可愛い。
高三でこれとか、反則だろ。




