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芸術ってホント不思議。
「あれ? 藍ちゃん? 聞こえてる?」
応答が無いことに痺れを切らしたのか、つかつかと美術室に入って行く広瀬碧。
背後に立っても気付かないのを確認すると、間宮藍太郎の肩をやや乱暴に掴む。
瞬間、頻りに動いていた手がピタリと止まった。
「ん? 碧くんか? いつの間に来たんだ」
高く細い声。
僅かに振り向いた彼の顔を見て、俺は自分の目を疑った。
「……しょ、小学生?」
顎の辺りまで伸びた癖の無い緑色の髪。
角の無い輪郭に、小さくて赤い口。
分けられた前髪の間からはぱっちりとした猫目が覗いている。
可愛らしいとしか形容出来ない外見は女の子のようにも見えた。
小6。
良くて中一。
男子高校生にはまず見えない。
なぜ高校の敷地内に子供がいるんだ。
迷子か。親はどうしたの?
咄嗟にそう思うくらい、間宮藍太郎は童顔だった。




