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頼みを無視して、今後、委員長とギクシャクするのは避けたい。
「そんなに会いたいんなら今から行く?」
「……今から?」
「うん。藍ちゃん学校大好きだからさぁー。ほとんど入り浸り。もうとっくに来てるよ」
学校が、大好き?
そんな馬鹿な。
どこの優等生だ。
俺の頭の中で間宮藍太郎の人物像がブレまくっている。
彼は日向黒を敵視している一方で、その幼なじみである広瀬碧とは仲が良い。
そして、髪を緑に染めてしまうような変人であり、学校が大好きな、優等生。
聞けば聞くほど統一性の無い人間だ。
「この時間ならたぶん美術室だ。行ってみよっか、秋ちゃん」
混乱する俺をよそに、広瀬はまた、薄く笑って廊下を歩き出した。




