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校舎に入ると、生徒はほとんどいなかった。
いつもより早いと言っても一時間も二時間も早く来た訳じゃないのに。
こうして考えると広瀬碧って意外と真面目なんだなって思う。
それぞれの昇降口から入り、階段に腰かけてしばし待つ。
「秋ちゃん、お待たせ」
遅かったなーなんて思っていたら、頬に何かつるりとしたものが押し当てられて、体が跳ねた。
「つ、冷たっ!? 何するんすかいきなり!」
「あれ、もっと可愛い反応を期待してたんだけどなー」
可愛い反応って何だ。
きゃあ、とか言うとでも思ってたのか。
「男に可愛さを求めても無駄です!」
「そう? まぁまぁ、とにかくそれ飲んで」
手渡されたのは、良く冷えた缶ジュースだった。
ちなみに苺みるく。
「え? あ、ありがとうございます」
思いがけない優しさに少し戸惑ってしまう。
ありがたい。
ありがたいけども、何故に苺みるくなんだろう?




