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次の日。
俺はいつもより少し早く起きて校門前に立っていた。
朝とは言えきつい陽射しの中。
黒いパーカーのフードを頭から被って心頭滅却に徹するのだが、どうでもいいことが頭に浮かんでは消えていく。
ああ、パーカー、白にすればよかったかな。
光を吸収しすぎて脳天が焦げるかもしれない。
首から提げたヘッドフォンから洋楽のロックが流れる。
この訳の分からない感じが堪らなく好きだ。
聴覚が見事にゲシュタルト崩壊。
もうちょいで、俺の忍耐も崩壊。
ああ、やっぱり白っぽい服にすればよかったなー。
「ねぇ」
いや、真面目に夏服着てくるべきだったか。
「……秋ちゃん?」
でも俺、カッターシャツ嫌いなんだよね。
あの、何も守れそうにない感じが。
「秋ちゃんってば!!」
「ななな何ですかっ!?」
閉じかけていた目を開けば、ばっちり夏服に移行した広瀬碧が俺を見ていた。




