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緑愛好家1
「す、杉内」
「僕は杉下だ。緑山くん」
「きょ、今日って、体育祭か何かか?」
「まさか。ただの昼食だよ。君と食べようと思って朝から作ってきたんだけど」
「……じゅる」
「じゅる?」
賤しい。
我ながら品がないと思う。
けれど溢れ出る生唾を止められない。
だって。だって。
コイツの弁当。
「……美味そう」
とある月曜日の昼休み。
俺の机には豪勢な重箱が広げられていた。
正月とか体育祭とか、行事の際にしか使われない、三段のアレだ。
もちろん、中身入り。
それも、レベル高め。
「さぁ、遠慮せずに食べてよ」
相変わらず起伏の無い笑みを貼り付けた委員長の顔を一瞥して、おかずを見つめる。
海老フライ、唐揚げ、ポテトサラダ等々。
俺の好きなものばかりが詰まった夢の弁当だ。
ご丁寧に、漆塗りの箸と箸置きまで用意されている。
そして米は……。
何故か赤飯。
え、何を祝おうとしてんのこの人。




