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声の主は、何やら廊下の向こうから走って来ていた。
濃紺のブレザー。
だらしなく裾の出た白いカッターシャツ。
ネクタイは二年の赤色。
後ろで緩く結ばれた目立つ金の髪が、床を蹴る度に揺れている。
あれ?
広瀬碧だ。
「クロ!! ……っと、秋ちゃん!」
息を切らせて、珍しく慌てた様子の広瀬碧。
彼は中々のスピードで走って来たかと思うと、そのまま勢いを殺しきれずに何故だか俺の方へ突っ込んできた。
「え、あ、うわぁっ!?」
避けようとするも間に合わず。
「あ」
「う」
"ドスンッ!!"
「あ、秋ちゃんごめん」
「……い、痛い」
日向は二人して床に倒れ込んだ俺と広瀬をちらりと見ると、鬱陶し気に息を吐いた。
「何やってんだお前ら」
俺も訊きたい。
細くて華奢だとばかり思っていた広瀬碧の体は、俺より遥かに大きかった。
だから、非力とか、そういうんじゃなくて。
この体格差だもの。
ぶち当たった衝撃を支えきれる訳がない。
因って、本日二度目のジャストミート。




