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頑張れ、俺。
堪えるんだ。
いくら何でも、小動物みたく喰われたりはしないだろ。
俺が、震えだしそうな身体を密かに鼓舞しているというのに、日向は瞬きすらせずに物凄い気迫で見下ろしてくる。
さ、寒い。
まだ六月なのに寒い。
目だけで人を殺せるんじゃないの?って本気で思う。
「ひゅ、ひゅうが……さん?」
「お前、チェスは出来るか?」
「……は?」
「だから、チェスだ」
「……チェス? チェスって、あのチェスですか?」
白黒チェックの盤上に、ルークやらポーンやらビショップやらを並べて、どっちが早くキングの駒を取るかっていう……あのゲーム?
「他に何がある。チェスはチェスだ」
「そ、それだったら……出来ますけども」
決して強くはないが、中学の時よくやっていた。




